2010年12月7日火曜日

イザヤ書 3章

イザヤ書 3章


1 まことに、見よ、万軍の主、主は、エルサレムとユダから、ささえとたよりを除かれる。—すべて頼みのパン、すべて頼みの水、

2 勇士と戦士、さばきつかさと預言者、占い師と長老、

3 五十人隊の長と高官、議官と賢い細工人、巧みにまじないをかける者。

4 わたしは、若い者たちを彼らのつかさとし、気まぐれ者に彼らを治めさせる。

5 民はおのおの、仲間同士で相しいたげ、若い者は年寄りに向かって高ぶり、身分の低い者は高慢な者に向かって高ぶる。

6 そのとき、人が父の家で、自分の兄弟をとらえて言う。「あなたは着る物を持っている。私たちの首領になってくれ。この乱れた世を、あなたの手で治めてくれ。」

7 その日、彼は声を張り上げて言う。「私は医者にはなれない。私の家にはパンもなく、着る物もない。私を民の首領にはしてくれるな。」

8 これはエルサレムがつまずき、ユダが倒れたからであり、彼らの舌と行いとが主にそむき、主のご威光に逆らったからである。

9 彼らの顔つきが、そのことを表している。彼らは罪を、ソドムのように現して、隠そうともしなかった。ああ、彼らにわざわいあれ。彼らは悪の報いを受けるからだ。

10 義人は幸いだと言え。彼らは、その行いの実を食べる。

11 悪者にはわざわいあれ。わざわいが彼にふりかかり、その手の報いがふりかかる。

12 わが民よ。幼子が彼をしいたげ、女たちが彼を治める。わが民よ。あなたの指導者は迷わす者、あなたの歩む道をかき乱す。

13 主は論争するために立ち上がり、民をさばくために立つ。

14 主は民の長老たちや、民のつかさたちと、さばきの座に入る。「あなたがたは、ぶどう畑を荒れすたらせ、貧しい者からかすめた物を、あなたがたの家に置いている。

15 なぜ、あなたがたは、わが民を砕き、貧しい者の顔をすりつぶすのか。—万軍の神、主の御告げ—」

16 主は仰せられた。「シオンの娘たちは高ぶり、首を伸ばし、色目を使って歩き、足に鈴を鳴らしながら小またで歩いている。」それゆえ、

17 主はシオンの娘たちの頭の頂をかさぶただらけにし、主はその額をむき出しにされる。

18 その日、主はもろもろの飾り—足飾り、髪の輪飾り、三日月形の飾り物、

19 耳輪、腕輪、ベール、

20 頭飾り、くるぶしの鎖、飾り帯、香の入れ物、お守り札、

21 指輪、鼻輪、

22 礼服、羽織、外套、財布、

23 手鏡、亜麻布の着物、ターバン、かぶり物を除かれる。

24 こうして、良いかおりは腐ったにおいとなり、帯は荒なわ、結い上げた髪ははげ頭、晴れ着は荒布の腰巻きとなる。その美しさは焼け傷となる。

25 あなたの男たちは剣に倒れ、あなたの勇士たちは戦いに倒れ、

26 その門はみな、悲しみ嘆き、シオンはさびれ果てて地に座す。

イザヤ書 2章

イザヤ書 2章


1 アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて示された先見のことば。

2 終わりの日に、主の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、すべての国々がそこに流れて来る。

3 多くの民が来て言う。「さあ、主の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。私たちはその小道を歩もう。」それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから主のことばが出るからだ。

4 主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。

5 来たれ。ヤコブの家よ。私たちも主の光に歩もう。

6 まことに、あなたは、あなたの民、ヤコブの家を捨てられた。彼らがペリシテ人のように東方からの者、卜者で満ち、外国人の子らであふれているからだ。

7 その国は金や銀で満ち、その財宝は限りなく、その国は馬で満ち、その戦車も数限りない。

8 その国は偽りの神々で満ち、彼らは、自分の手で造った物、指で造った物を拝んでいる。

9 こうして人はかがめられ、人間は低くされた。—彼らをお赦しにならないように。—

10 岩の間に入り、ちりの中に身を隠せ。主の恐るべき御顔を避け、そのご威光の輝きを避けて。

11 その日には、高ぶる者の目も低くされ、高慢な者もかがめられ、主おひとりだけが高められる。

12 まことに、万軍の主の日は、すべておごり高ぶる者、すべて誇る者に襲いかかり、これを低くする。

13 高くそびえるレバノンのすべての杉の木と、バシャンのすべての樫の木、

14 すべての高い山々と、すべてのそびえる峰々、

15 すべてのそそり立つやぐらと、堅固な城壁、

16 タルシシュのすべての船、すべての慕わしい船に襲いかかる。

17 その日には、高ぶるものはかがめられ、高慢な者は低くされ、主おひとりだけが高められる。

18 偽りの神々は消えうせる。

19 主が立ち上がり、地をおののかせるとき、人々は主の恐るべき御顔を避け、ご威光の輝きを避け、ご威光の輝きを避けて、岩のほら穴や、土の穴に入る。

20 その日、人は、拝むために造った銀の偽りの神々と金の偽りの神々を、もぐらや、こうもりに投げやる。

21 主が立ち上がり、地をおののかせるとき、人々は主の恐るべき御顔を避け、ご威光の輝きを避けて、岩の割れ目、巌の裂け目に入る。

22 鼻で息をする人間をたよりにするな。そんな者に、何の値打ちがあろうか。

イザヤ書 1章

イザヤ書 1章


1 アモツの子イザヤの幻。これは彼が、ユダとエルサレムについて、ユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に見たものである。

2 天よ、聞け。地も耳を傾けよ。主が語られるからだ。「子らはわたしが大きくし、育てた。しかし彼らはわたしに逆らった。

3 牛はその飼い主を、ろばは持ち主の飼葉おけを知っている。それなのに、イスラエルは知らない。わたしの民は悟らない。」

4 ああ。罪を犯す国、咎重き民、悪を行う者どもの子孫、堕落した子ら。彼らは主を捨て、イスラエルの聖なる方を侮り、背を向けて離れ去った。

5 あなたがたは、なおもどこを打たれようというのか。反逆に反逆を重ねて。頭は残すところなく病にかかり、心臓もすっかり弱り果てている。

6 足の裏から頭まで、健全なところはなく、傷と、打ち傷と、打たれた生傷。絞り出してももらえず、包んでももらえず、油で和らげてももらえない。

7 あなたがたの国は荒れ果てている。あなたがたの町々は火で焼かれ、畑は、あなたがたの前で、他国人が食い荒らし、他国人の破滅にも似て荒れ果てている。

8 しかし、シオンの娘は残された。あたかもぶどう畑の小屋のように、きゅうり畑の番小屋のように、包囲された町のように。

9 もしも、万軍の主が、少しの生き残りの者を私たちに残されなかったら、私たちもソドムのようになり、ゴモラと同じようになっていた。

10 聞け。ソドムの首領たち。主のことばを。耳を傾けよ。ゴモラの民。私たちの神のみおしえに。

11「あなたがたの多くのいけにえは、わたしに何になろう」と、主は仰せられる。「わたしは、雄羊の全焼のいけにえや、肥えた家畜の脂肪に飽きた。雄牛、子羊、雄やぎの血も喜ばない。

12 あなたがたは、わたしに会いに出て来るが、だれが、わたしの庭を踏みつけよ、とあなたがたに求めたのか。

13 もう、むなしいささげ物を携えて来るな。香の煙—それもわたしの忌みきらうもの。新月の祭りと安息日—会合の召集、不義と、きよめの集会、これにわたしは耐えられない。

14 あなたがたの新月の祭りや例祭を、わたしの心は憎む。それはわたしの重荷となり、わたしは負うのに疲れ果てた。

15 あなたがたが手を差し伸べて祈っても、わたしはあなたがたから目をそらす。どんなに祈りを増し加えても、聞くことはない。あなたがたの手は血まみれだ。

16 洗え。身をきよめよ。わたしの前で、あなたがたの悪を取り除け。悪事を働くのをやめよ。

17 善をなすことを習い、公正を求め、しいたげる者を正し、みなしごのために正しいさばきをなし、やもめのために弁護せよ。」

18 「さあ、来たれ。論じ合おう」と主は仰せられる。「たとい、あなたがたの罪が緋のように赤くても、雪のように白くなる。たとい、紅のように赤くても、羊の毛のようになる。

19 もし喜んで聞こうとするなら、あなたがたは、この国の良い物を食べることができる。

20 しかし、もし拒み、そむくなら、あなたがたは剣にのまれる」と、主の御口が語られたからである。

21 どうして、遊女になったのか、忠信な都が。公正があふれ、正義がそこに宿っていたのに。今は人殺しばかりだ。

22 おまえの銀は、かなかすになった。おまえの良い酒も、水で割ってある。

23 おまえのつかさたちは反逆者、盗人の仲間。みな、わいろを愛し、報酬を追い求める。みなしごのために正しいさばきをせず、やもめの訴えも彼らは取り上げない。

24 おれゆえに、—万軍の主、イスラエルの全能者、主の御告げ—「ああ。わたしの仇に思いを晴らし、わたしの敵に復讐しよう。

25 しかし、おまえの上に再びわが手を伸ばし、おまえのかなかすを灰汁のように溶かし、その浮きかすをみな除こう。

26 こうして、おまえのさばきいつかさたちを初めのように、おまえの議官たちを昔のようにしよう。そうして後、おまえは正義の町、中信な都と呼ばれよう。」

27 シオンは公正によって贖われ、その町の悔い改める者は正義によって贖われる。

28 そむく者は罪人とともに破滅し、主を捨てる者は、うせ果てる。

29 まことに、彼らは、あなたがたの慕った樫の木で恥を見、あなたがたは、みずから選んだ園によってはずかしめを受けよう。

30 あなたがたは葉のしぼんだ樫の木のように、水のない園のようになるからだ。

31 つわものは麻くずに、そのわざは火花になり、その二つとも燃え立って、これを消す者がいない。

雅歌 index

雅歌 第1章
雅歌 第2章
雅歌 第3章
雅歌 第4章
雅歌 第5章
雅歌 第6章
雅歌 第7章
雅歌 第8章

雅歌 8章

雅歌 8章


1 ああ、もし、あなたが私の母の乳房を吸った私の兄弟のようであったなら、私が外であなたに出会い、あなたに口づけしても、だれも私をさげすまないでしょうに。

2 私はあなたを導き、私を育てた私の母の家にお連れして、香料を混ぜたぶどう酒、ざくろの果汁をあなたに飲ませてあげましょう。

3 ああ、あの方の左の腕が私の頭の下にあり、右の手が私を抱いてくださるとよいのに。

4 エルサレムの娘たち。私はあなたがたに誓っていただきます。揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛が目ざめたいと思うときまでは。

5 自分の愛する者に寄りかかって、荒野から上って来るひとはだれでしょう。私はりんごの木の下であなたの目をさまさせた。そこはあなたの母があなたのために産みの苦しみをした所。そこはあなたを産んだ者が産みの苦しみをした所。

6 私を封印のようにあなたの心臓の上に、封印のようにあなたの腕につけてください。愛は死のように強く、ねたみはよみのように激しいからです。その炎は火の炎、すさまじい炎です。

7 大水もその愛を消すことができません。洪水も押し流すことができません。もし、人が愛を得ようとして、自分の財産をことごとく与えても、ただのさげすみしか得られません。

8 私たちの妹は若く、乳房もない。私たちの妹に縁談のある日には、彼女のために何をしてあげよう。

9 もし、彼女が城壁だったら、その上に銀の胸壁を建てよう。彼女が戸であったら、杉の板で囲もう。

10 私は城壁、私の乳房はやぐらのよう。それで、私はあの方の目には平安をもたらす者のようになりました。

11 ソロモンにはバアル・ハモンにぶどう畑があった。彼はぶどう畑を、守る者に任せ、おのおのその収穫によって銀千枚を納めることになっていた。

12 私が持っているぶどう畑が私の前にある。ソロモンよ。あなたには銀千枚、その実を守る者には銀二百枚。

13 庭の中に住む仲間たちは、あなたの声に耳を傾けている。私にそれを聞かせよ。

14 私の愛する方よ。急いでください。香料の山々の上のかもしかや、若い鹿のようになってください。

雅歌 7章

雅歌 7章


1 高貴な人の娘よ。サンダルの中のあなたの足はなんと美しいことよ。あなたの丸みを帯びたももは、名人の手で作られた飾りのようだ。

2 あなたのほぞは、混ぜ合わせたぶどう酒の尽きることのない丸い杯。あなたの腹は、ゆりの花で囲まれた小麦の山。

3 あなたの二つの乳房は、ふたごのかもしか、二頭の子鹿。

4 あなたの首は、象牙のやぐらのようだ。あなたの目は、バテ・ラビムの門のほとり、ヘシュボンの池。あなたの鼻は、ダマスコのほうを見張っているレバノンのやぐらのようだ。

5 あなたの頭はカルメル山のようにそびえ、あなたの乱れた髪は紫色。王はそのふさふさした髪のとりこになった。

6 ああ、慰めに満ちた愛よ。あなたはなんと美しく、快いことよ。

7 あなたの背たけはなつめやしの木のよう、あなたの乳房はぶどうのふさのようだ。

8 私は言った。「なつめやしの木に登り、その枝をつかみたい。あなたの乳房はぶどうのふさのように、あなたの息はりんごのかおりのようであれ。

9 あなたのことばは、良いぶどう酒のようだ。私の愛に対して、なめらかに流れる。眠っている者のくちびるを流れる。」

10 私は、私の愛する方のもの。あの方は私を恋い慕う。

11 さあ、私の愛する方よ。野に出て行って、ヘンナ樹の花の中で夜を過ごしましょう。

12 私たちは朝早くからぶどう畑に行き、ぶどうの木が芽を出したか、花が咲いたか、ざくろの花が咲いたかどうかを見て、そこで私の愛をあなたにささげましょう。

13 恋なすびは、かおりを放ち、私たちの門のそばには、新しいのも、古いのも、すべて、最上の物があります。私の愛する方よ。これはあなたのためにたくわえたものです。

雅歌 6章

雅歌 6章


1 女のなかで最も美しい人よ。あなたの愛する方は、どこへ行かれたのでしょう。あなたの愛する方は、どこへ向かわれたのでしょう。私たちも、あなたといっしょに捜しましょう。

2 私の愛する方は、自分の庭、香料の花壇へ下って行かれました。庭の中で群れを飼い、ゆりの花を集めるために。

3 私は、私の愛する方のもの。私の愛する方は私のもの。あの方はゆりの花の間で群れを飼っています。

4 わが愛する者よ。あなたはティルツァのように美しく、エルサレムのように愛らしい。だが、旗を掲げた軍勢のように恐ろしい。

5 あなたの目を私からそらしておくれ。それが私をひきつける。あなたの髪は、ギルアデから降りて来るやぎの群れのよう。

6 あなたの歯は、洗い場から上って来た雌羊の群れのようだ。それはみな、ふたごを産み、ふたごを産まないものは一頭もいない。

7 あなたの頬は、顔おおいのうしろにあって、ざくろの片割れのようだ。

8 王妃は六十人、そばめは八十人、おとめたちは数知れない。

9 汚れのないもの、私の鳩はただひとり。彼女は、その母のひとり子、彼女を産んだ者の愛する子。娘たちは彼女を見て、幸いだと言い、王妃たち、そばめたちも彼女をほめた。

10 「暁の光のように見おろしている、月のように美しい、太陽のように明るい、旗を掲げた軍勢のように恐ろしいもの。それはだれか。」

11 私はくるみの木の庭へ下って行きました。谷の新緑を見るために。ぶどうの木が芽を出したか、ざくろの花が咲いたかを見るために。

12 私自身が知らないうちに、私の民の高貴な人の車に乗せられていました。

13 帰れ。帰れ。シュラムの女よ。帰れ。帰れ。私たちはあなたを見たい。どうしてあなたがたはシュラムの女を見るのです。二つの陣営の舞のように。

雅歌 5章

雅歌 5章


1 私の妹、花嫁よ。私は、私の庭に入り、没薬と香料を集め、蜂の巣と蜂蜜を食べ、ぶどう酒と乳を飲む。友よ、食べよ。飲め。愛する人たちよ。大いに飲め。

2 私は眠っていましたが、心はさめていました。戸をたたいている愛する方の声。「わが妹、わが愛する者よ。戸をあけておくれ。私の鳩よ。汚れのないものよ。私の頭は露にぬれ、髪の毛も夜のしずくでぬれている。」

3 私は着物を脱いでしまった。どうしてまた、着られましょう。足も洗ってしまった。どうしてまた、よごせましょう。

4 私の愛する方が戸の穴から手を差し入れました。私の心は、あの方のために立ち騒ぎました。

5 私は起きて、私の愛する方のために戸をあけました。私の手から没薬が、私の指から没薬の液が、かんぬきの取っ手の上にしたたりました。

6 私が、愛する方のために戸をあけると、愛する方は、背を向けて去って行きました。あの方のことばで、私は気を失いました。私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。私が呼んでも、答えはありませんでした。

7 町を行き巡る夜回りたちが私を見つけました。彼らは私を打ち、傷つけました。城壁を守る者たちも、私のかぶり物をはぎ取りました。

8 エルサレムの娘たち。誓ってください。あなたがたが私の愛する方を見つけたら、あの方に何と言ってくださるでしょう。私が愛に病んでいる、と言ってください。

9 女のなかで最も美しい人よ。あなたの愛する方は、ほかの愛人より何がすぐれているのですか。あなたがそのように私たちに切に願うとは。あなたの愛する方は、ほかの愛人より何がすぐれているのですか。

10 私の愛する方は、輝いて、赤く、万人よりすぐれ、

11 その頭は純金です。髪の毛はなつめやしの枝で、烏のように黒く、

12 その目は、乳で洗われ、池のほとりで休み、水の流れのほとりにいる鳩のようです。

13 その頬は、良いかおりを放つ香料の花壇のよう。くちびるは没薬の液をしたたらせるゆりの花。

14 その腕は、タルシシュの宝石をはめ込んだ金の棒。からだはサファイヤでおおった象牙の細工。

15 その足は、純金の台座に据えられた大理石の柱。その姿はレバノンのよう。杉のようにすばらしい。

16 そのことばは甘いぶどう酒。あの方のすべてがいとしい。エルサレムの娘たち。これが私の愛する方、これが私の連れ合いです。

雅歌 4章

雅歌 4章


1 ああ、わが愛する者。あなたはなんと美しいことよ。あなたの目は、顔おおいのうしろで鳩のようだ。あなたの髪は、ギルアデの山から降りて来るやぎの群れのよう、

2 あなたの歯は、洗い場から上って来て毛を刈られる雌羊の群れのようだ。それはみな、ふたごを産み、ふたごを産まないものは一頭もいない。

3 あなたのくちびるは紅の糸。あなたの口は愛らしい。あなたの頬は、顔おおいのうしろにあって、ざくろの片割れのようだ。

4 あなたの首は、兵器庫のために建てられたダビデのやぐらのようだ。その上には千の盾が掛けられていて、みな勇士の丸い小盾だ。

5 あなたの二つの乳房は、ゆりの花の間で草を食べているふたごのかもしか、二頭の子鹿のようだ。

6 そよ風が吹き始め、影が消え去るころまでに、私は没薬の山、乳香の丘に行こう。

7 わが愛する者よ。あなたのすべては美しく、あなたには何の汚れもない。

8 花嫁よ。私といっしょにレバノンから、私といっしょにレバノンから来なさい。アマナの頂から、セニル、すなわちヘルモンの頂から、獅子のほら穴、ひょうの山から降りて来なさい。

9 私の妹、花嫁よ。あなたは私の心を奪った。あなたのただ一度のまなざしと、あなたの首飾りのただ一つの宝石で、私の心を奪ってしまった。

10 私の妹、花嫁よ。あなたの愛は、なんと麗しいことよ。あなたの愛は、ぶどう酒よりもはるかにまさり、あなたの香油のかおりは、すべての香料にもまさっている。

11 花嫁よ。あなたのくちびるは蜂蜜をしたたらせ、あなたの舌の裏には蜜と乳がある。あなたの着物のかおりは、レバノンのかおりのようだ。

12 私の妹、花嫁は、閉じられた庭、閉じられた源、封じられた泉。

13 あなたの生み出すものは、最上の実をみのらすざくろの園、ヘンナ樹にナルド、

14 ナルド、サフラン、菖蒲、肉桂に、乳香の取れるすべての木、没薬、アロエに、香料の最上のものすべて、

15 庭の泉、湧き水の井戸、レバノンからの流れ。

16 北風よ、起きよ。南風よ、吹け。私の庭に吹き、そのかおりを漂わせておくれ。私の愛する方が庭に入り、その最上の実を食べることができるように。

雅歌 3章

雅歌 3章


1 私は、夜、床についても、私の愛している人を捜していました。私が捜していても、あの方は見あたりませんでした。

2 「さあ、起きて町を行き巡り、通りや広場で、私の愛している人を捜して来よう。」私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。

3 町を行き巡る夜回りたちが私を見つけました。「私の愛している人を、あなたがたはお見かけになりませんでしたか。」

4 彼らのところを通り過ぎると間もなく、私の愛している人を私は見つけました。この方をしっかりつかまえて、放さず、とうとう、私の母の家に、私をみごもった人の奥の間に、お連れしました。

5 エルサレムの娘たち。私は、かもしかや野の雌鹿をさして、あなたがたに誓っていただきます。揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛が目ざめたいと思う時までは。

6 没薬や乳香、貿易商人のあらゆる香料の粉末をくゆらして、煙の柱のように荒野から上って来るひとはだれ。

7 見なさい。あれはソロモンの乗るみこし。その回りには、イスラエルの勇士、六十人の勇士がいる。

8 彼らはみな剣を帯びている練達の戦士たち。夜襲に備えて、おのおの腰に剣を帯びている。

9 ソロモン王は、レバノンの木で自分のためにみこしを作った。

10 その支柱は銀、背は金、その座席は紫色の布で作った。その内側はエルサレムの娘たちによって美しく切りばめ細工がされている。

11 シオンの娘たち。ソロモン王を見に出かけなさい。ご自分の婚礼の日、心の喜びの日のために、母上からかぶらせてもらった冠をかぶっている。

雅歌 2章

雅歌 2章


1 私はシャロンのサフラン、谷のゆりの花。

2 わが愛する者が娘たちの間にいるのは、いばらの中のゆりの花のようだ。

3 私の愛する方が若者たちの間におられるのは、林の木の中のりんごの木のようです。私はその陰にすわりたいと切に望みました。その実は私の口に甘いのです。

4 あの方は私を酒宴の席に伴われました。私の上に翻るあの方の旗じるしは愛でした。

5 干しぶどうの菓子で私を力づけ、りんごで私を元気づけてください。私は愛に病んでいるのです。

6 ああ、あの方の左の腕が私の頭の下にあり、右の手が私を抱いてくださるとよいのに。

7 エルサレムの娘たち。私は、かもしかや野の雌鹿をさして、あなたがたに誓っていただきます。揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛が目ざめたいと思うときまでは。

8 愛する方の声。ご覧、あの方が来られます。山々をとび越え、丘々の上をはねて。

9 私の愛する方は、かもしかや若い鹿のようです。ご覧、あの方は私たちの壁のうしろにじっと立ち、窓からのぞき、格子越しに伺っています。

10 私の愛する方は、私に語りかけて言われます。「わが愛する者、美しいひとよ。さあ、立って、出ておいで。

11 ほら、冬は過ぎ去り、大雨も通り過ぎて行った。

12 地には花が咲き乱れ、歌の季節がやって来た。山鳩の声が、私たちの国に聞こえる。

13 いちじくの木は実をならせ、ぶどうの木は、花をつけてかおりを放つ。わが愛する者、美しいひとよ。さあ、立って、出ておいで。

14 岩の裂け目、がけの隠れ場にいる私の鳩よ。私に、顔を見せておくれ。あなたの声を聞かせておくれ。あなたの声は愛らしく、あなたの顔は美しい。

15 『私たちのために、ぶどう畑を荒らす狐や小狐を捕らえておくれ。』私たちのぶどう畑は花盛りだから。」

16 私の愛する方は私のもの。私はあの方のもの。あの方はゆりの花の間で群れを飼っています。

17 私の愛する方よ。そよ風が吹き始め、影が消え去るころまでに、あなたは帰って来て、険しい山々の上のかもしかや、若い鹿のようになってください。

雅歌 1章

雅歌 1章


1 ソロモンの雅歌

2 あの方が私に口づけしてくださったらよいのに。あなたの愛はぶどう酒よりも快く、

3 あなたの香油のかおりはかぐわしく、あなたの名はそそがれる香油のよう。それで、おとめらはあなたを愛しています。

4 私を引き寄せてください。私たちはあなたのあとから急いでまいります。王は私を奥の間に連れて行かれました。私たちはあなたによって楽しみ喜び、あなたの愛をぶどう酒にまさってほめたたえ、真心からあなたを愛しています。

5 エルサレムの娘たち。私はケダルの天幕のように、ソロモンの幕のように、黒いけれども美しい。

6 私をご覧にならないでください。私は日に焼けて、黒いのです。私の母の子らが私に向かっていきりたち、私をぶどう畑の見張りに立てたのです。しかし、私は自分のぶどう畑は見張りませんでした。

7 私の愛している人。どうか教えてください。どうで羊を飼い、昼の間は、どこでそれを休ませるのですか。あなたの仲間の群れのかたわらで、私はなぜ、顔おおいをつけた女のようにしていなければならないのでしょう。

8 女のなかで最も美しい人よ。あなたがこれを知らないのなら、羊の群れの足跡について行き、羊飼いの住まいのかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい。

9 わが愛する者よ。私はあなたを、パロの戦車の雌馬になぞらえよう。

10 あなたの頬には飾り輪がつき、首には宝石をちりばめた首飾りがつけてあって、美しい。

11 私たちは銀をちりばめた金の飾り輪をあなたのために作ろう。

12 王がうたげの座に着いておられる間、私のナルドはかおりを放ちました。

13 私の愛する方は、私にとっては、この乳房の間に宿る没薬の袋のようです。

14 私の愛する方は、私にとっては、エン・ゲディのぶどう畑にあるヘンナ樹の花ぶさのようです。

15 ああ、わが愛する者。あなたはなんと美しいことよ。なんと美しいことよ。あなたの目は鳩のようだ。

16 私の愛する方。あなたはなんと美しく、慕わしい方でしょう。私たちの長いいすは青々としています。

17 私たちの家の梁は杉の木、そのたるきは糸杉です。

伝道者の書 index

伝道者の書 第1章
伝道者の書 第2章
伝道者の書 第3章
伝道者の書 第4章
伝道者の書 第5章
伝道者の書 第6章
伝道者の書 第7章
伝道者の書 第8章
伝道者の書 第9章
伝道者の書 第10章
伝道者の書 第11章

伝道者の書 11章

伝道者の書 11章


1 あなたのパンを水の上に投げよ。ずっと後の日になって、あなたはそれを見いだそう。

2 あなたの受ける分を七人か八人に分けておけ。地上でどんなわざわいが起こるかあなたは知らないのだから。

3 雲が雨で満ちると、それは地上に降り注ぐ。木が南風や北風で倒されると、その木は倒れた場所にそのままにある。

4 風を警戒している人は種を蒔かない。雲を見ている者は刈り入れをしない。

5 あなたは妊婦の体内の骨々のことと同様、風の道がどのようなものかを知らない。そのように、あなたはいっさいを行われる神のみわざを知らない。

6 朝のうちにあなたの種を蒔け。夕方も手を放してはいけない。あなたは、あれか、これか、どこで成功するのか知らないからだ。二つとも同じようにうまくいくかもわからない。

7 光は快い。太陽を見ることは目のために良い。

8 人は長年生きて、ずっと楽しむがよい。だが、やみの日も数多くあることを忘れてはならない。すべておこることはみな、むなしい。

9 若い男よ。若いうちに楽しめ。若い日にあなたの心を喜ばせよ。あなたの心のおもむくまま、あなたの目の望むままに歩め。しかし、これらすべての事において、あなたは神のさばきを受けることを知っておけ。

10 だから、あなたの心から悲しみを除き、あなたの肉体から痛みを取り去れ。若さも、青春も、むなしいからだ。

伝道者の書 10章

伝道者の書 10章


1 死んだはえは、調合した香油を臭くし、発酵させる。少しの愚かさは、知恵や栄誉よりも重い。

2 知恵ある者の心は右に向き、愚かな者の心は左に向く。

3 愚かな者が道を行くとき、思慮に欠けている。自分が愚かであることを、みなに知らせる。

4 支配者があなたに向かって立腹しても、あなたはその場を離れてはならない。冷静は大きな罪を犯さないようにするから。

5 私は、日の下に一つの悪があるのを見た。それは権力者の犯す過失のようなものである。

6 愚か者が非常に高い位につけられ、富む者が低い席に着けられている。

7 私は奴隷たちが馬に乗り、君主たちが奴隷のように地を歩くのを見た。

8 穴を掘る者はそれに落ち込み、石垣をくずす者は蛇にかまれる。

9 石を切り出す者は石で傷つき、木を割る者は木で危険にさらされる。

10 もし斧が鈍くなったとき、その刃をとがないと、もっと力がいる。しかし知恵は人を成功させるのに益になる。

11 もし蛇がまじないにかからずにかみつくなら、それは蛇使いに何の益にもならない。

12 知恵ある者が口にすることばは優しく、愚かな者のくちびるはその身を滅ぼす。

13 彼が口にすることばの始まりは、愚かなこと、彼の口の終わりは、みじめな狂気。

14 愚か者はよくしゃべる。人はこれから起こることを知らない。これから後に起こることをだれが告げることができよう。

15 愚かな者の労苦は、おのれを疲れさせる。彼は町に行く道さえ知らない。

16 わざわいなことよ。あなたの王が子どもであって、あなたの首長たちが朝から食事をする国は。

17 幸いなことよ。あなたの王が貴族の出であって、あなたの首長たちが、酔うためでなく、力をつけるために、定まった時に、食事をする国は。

18 なまけていると天井が落ち、手をこまねいていると雨漏りがする。

19 食事をするのは笑うため。ぶどう酒は人生を楽しませる。金銭はすべての必要に応じる。

20 王をのろおうと、ひそかに思ってはならない。寝室でも富む者をのろってはならない。なぜなら、空の鳥がその声を持ち運び、翼のあるものがそのことを告げるからだ。

伝道者の書 9章

伝道者の書 9章


1 というのは、私はこのいっさいを心に留め、正しい人も、知恵のある者も、彼らの働きも、神の御手の中にあることを確かめたからである。彼らの前にあるすべてのものが愛であるか、憎しみであるか、人にはわからない。

2 すべての事はすべての人に同じように起こる。同じ結末が、正しい人にも、悪者にも、善人にも、きよい人にも、汚れた人にも、いけにえをささげる人にも、いけにえをささげない人にも来る。善人にも、罪人にも同様である。誓う者にも、誓うのを恐れる者にも同様である。

3 同じ結末がすべての人に来るということ、これは日の下で行われるすべての事のうちで最も悪い。だから、人の子らの心は悪に満ち、生きている間、その心には狂気が満ち、それから後、死人のところに行く。

4 すべて生きている者に連なっている者には希望がある。生きている犬は死んだ獅子にまさるからである。

5 生きている者は自分が死ぬことを知っているが、死んだ者は何も知らない。彼らにはもはや何の報いもなく、彼らの呼び名も忘れられる。

6 彼らの愛も憎しみも、ねたみもすでに消えうせ、日の下で行われるすべての事において、彼らには、もはや永遠に受ける分はない。

7 さあ、喜んであなたのパンを食べ、愉快にあなたのぶどう酒を飲め。神はすでにあなたの行いを喜んでおられる。

8 いつもあなたは白い着物を着、頭には油を絶やしてはならない。

9 日の下であなたに与えられたむなしい一生の間に、あなたの愛する妻と生活を楽しむがよい。それが、生きている間に、日の下であなたがする労苦によるあなたの受ける分である。

10 あなたの手もとにあるなすべきことはみな、自分の力でしなさい。あなたが行こうとしているよみには、働きも企ても知恵もないからだ。

11 私は再び、日の下を見たが、競走は足の早い人のものではなく、戦いは勇士のものではなく、またパンは知恵ある人のものではなく、また富は悟りのある人のものではなく、愛顧は知識のある人のものではないことがわかった。すべての人が時と機会に出会うからだ。

12 しかも、人は自分の時を知らない。悪い網にかかった魚のように、わなにかかった鳥のように、人の子らもまた、わざわいの時が突然彼らを襲うと、それにかかってしまう。

13 私はまた、日の下で知恵についてこのようなことを見た。それは私にとって大きなことであった。

14 わずかな人々が住む小さな町があった。そこに大王が攻めて来て、これを包囲し、これに対して大きなとりでを築いた。

15 ところが、その町に、貧しいひとりの知恵ある者がいて、自分の知恵を用いてその町を開放した。しかし、だれもこの貧しい人を記憶しなかった。

16 私は言う。「知恵は力にまさる。しかし貧しい者の知恵はさげすまれ、彼の言うことも聞かれない。」

17 知恵ある者は静かなことば、愚かな者の間の支配者の叫びよりは、よく聞かれる。

18 知恵は武器にまさり、ひとりの罪人は多くの良いことを打ちこわす。

伝道者の書 8章

伝道者の書 8章


1 だれが知恵ある者にふさわしいだろう。だれが事物の意義を知りえよう。人の知恵は、その人の顔を輝かし、その顔の固さを和らげる。

2 私は言う。王の命令を守れ。神の誓約があるから。

3 王の前からあわてて退出するな。悪事に荷担するな。王は自分の望むままを何でもするから。

4 王のことばには権威がある。だれが彼に、「あなたは何をするのですか」と言えようか。

5 命令を守る者はわざわいを知らない。知恵ある者の心は時とさばきを知っている。

6 すべての営みには時とさばきがある。人に降りかかるわざわいが多いからだ。

7 何が起こるかを知っている者はいない。いつ起こるかをだれも告げることはできない。

8 風を支配し、風を止めることのできる人はいない。死の日も支配することはできない。この戦いから放免される者はいない。悪は悪の所有者を救いえない。

9 私はこのすべてを見て、日の下で行われるいっさいのわざ、人が人を支配して、わざわいを与える時について、私の心を用いた。

10 そこで、私は見た。悪者どもが葬られて、行くのを。しかし、正しい行いの者が、聖なる方の所を去り、そうして、町で忘れられるのを。これもまた、むなしい。

11 悪い行いに対する宣告がすぐ下されないので、人の子らの心は悪を行う思いで満ちている。

12 罪人が、百度悪事を犯しても、長生きしている。しかし私は、神を恐れる者も、神を敬って、しあわせであることを知っている。

13 悪者にはしあわせがない。その生涯を影のように長くすることはできない。彼らは神を敬わないからだ。

14 しかし、むなしいことが地上で行われている。悪者に対する報いを正しい人がその身に受け、正しい人の行いに対する報いを悪者がその身に受けることがある。これもまた、むなしい、と私は言いたい。

15 私は快楽を賛美する。日の下では、食べて、飲んで、楽しむよりほかに、人にとって良いことはない。これは、日の下で、神が人に与える一生の間に、その労苦に添えてくださるものだ。

16 私は一心に知恵を知り、昼も夜も眠らずに、地上で行われる人の仕事を見ようとしたとき、

17 すべては神のみわざであることがわかった。人は日の下で行われるみわざを見きわめることはできない。人は労苦して捜し求めても、見いだすことはない。知恵ある者が知っていると思っても、見きわめることはできない。

伝道者の書 7章

伝道者の書 7章


1 良い名声は良い香油にまさり、死の日は生まれる日にまさる。

2 祝宴の家に行くよりは、喪中の家に行くほうがよい。そこには、すべての人の終わりがあり、生きている者がそれに心を留めるようになるからだ。

3 悲しみは笑いにまさる。顔の曇りによって心は良くなる。

4 知恵ある者の心は喪中の家に向き、愚かな者の心は楽しみの家に向く。

5 知恵ある者の叱責を聞くのは、愚かな者の歌を聞くのにまさる。

6 愚かな者の笑いは、なべの下のいばらがはじける音に似ている。これもまた、むなしい。

7 しいたげは知恵ある者を愚かにし、まいないは心を滅ぼす。

8 事の終わりは、その初めにまさり、忍耐は、うぬぼれにまさる。

9 軽々しく心をいらだててはならない。いらだちは愚かな者の胸にとどまるから。

10 「どうして、昔のほうが今より良かったのか」と言ってはならない。このような問いは、知恵によるのではない。

11 資産を伴う知恵は良い。日を見る人に益となる。

12 知恵の陰にいるのは、金銭の陰にいるようだ。知恵の益は、知恵がその持ち主を生かすことにある。

13 神のみわざに目を留めよ。神が曲げたものをだれがまっすぐにできようか。

14 順境の日には喜び、逆境の日には反省せよ。これもあれも神のなさること。それは後の事を人にわからせないためである。

15 私はこのむなしい人生において、すべての事を見てきた。正しい人が正しいのに滅び、悪者が悪いのに長生きすることがある。

16 あなたは正しすぎてはならない。知恵がありすぎてはならない。なぜあなたは自分を滅ぼそうとするのか。

17 悪すぎてもいけない。愚かすぎてもいけない。自分の時が来ないのに、なぜ死のうとするのか。

18 一つをつかみ、もう一つを手放さないがよい。神を恐れる者は、この両方を会得している。

19 知恵は町の十人の権力者よりも知恵者を力づける。

20 この地上には、善を行い、罪を犯さない正しい人はひとりもいないから。

21 人の語ることばにいちいち心を留めてはならない。あなたのしもべがあなたをのろうのを聞かないためだ。

22 あなた自身も他人を何度ものろったことを知っているからだ。

23 私は、これらのいっさいを知恵によって試み、そして言った。「私は知恵ある者になりたい」と。しかし、それは私の遠く及ばないことだった。

24 今あることは、遠くて非常に深い。だれがそれを見きわめることができよう。

25 私は心を転じて、知恵と道理を学び、探り出し、捜し求めた。愚かな者の悪行と狂った者の愚かさを学びとろうとした。

26 私は女が死よりも苦々しいことに気がついた。女はわなであり、その心はかせである。神に喜ばれる者は女からのがれるが、罪を犯す者は女に捕らえられる。

27 見よ。「私は道理を見いだそうとして、一つ一つに当たり、見いだしたことは次のとおりである」と伝道者は言う。

28 私はなおも捜し求めているが、見いださない。私は千人のうちに、ひとりの男を見いだしたが、そのすべてのうちに、ひとりの女も見いださなかった。

29 私が見いだした次の事だけに目を留めよ。神は人を正しい者に造られたが、人は多くの理屈を捜し求めたのだ。

伝道者の書 6章

伝道者の書 6章


1 私は日の下で、もう一つの悪があるのを見た。それは人の上に重くのしかかっている。

2 神が富と財宝と誉れとを与え、彼の望むもので何一つ欠けたもののない人がいる。しかし、神は、この人がそれを楽しむようにされる。これはむなしいことで、それは悪い病だ。

3 もし人が百人の子どもを持ち、多くの年月を生き、彼の年が多くなっても、彼が幸いで満たされることなく、墓にも葬られなかったなら、私は言う、死産の子のほうが彼よりはましだと。

4 その子はむなしく生まれて来て、やみの中に去り、その名はやみの中に消される。

5 太陽も見ず、何も知らずに。しかし、この子のほうが彼よりは安らかである。

6 彼が千年の倍も生きても、―しあわせな目に会わなければ―両者とも同じ所に行くのではないか。

7 人の労苦はみな、自分の口のためである。しかし、その食欲は決して満たされない。

8 知恵ある者は、愚かな者より何がまさっていよう。人々の前での生き方を知っている貧しい人も、何がまさっていよう。

9 目が見るところは、心があこがれることにまさる。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。

10 今あるものは、何であるか、すでにその名がつけられ、また彼がどんな人手あるかも知られている。彼は彼よりも力のある者と争うことはできない。

11 多く語れば、それだけむなしさを増す。それは、人にとって何の益になるだろう。

12 だれが知ろうか。影のように過ごすむなしいつかのまの人生で、何が人のために善であるかを。だれが人に告げることができようか。彼の後に、日の下で何が起こるかを。

伝道者の書 5章

伝道者の書 5章


1 神の宮へ行くときは、自分の足に気をつけよ。近寄って聞くことは、愚かな者がいけにえをささげるのにまさる。彼らは自分たちが悪を行っていることを知らないからだ。

2 神の前では、軽々しく、心あせってことばを出すな。神は天におられ、あなたは地にいるからだ。だから、ことばを少なくせよ。

3 仕事が多いと夢を見る。ことばが多いと愚かな者の声となる。

4 神に誓願を立てるときには、それを果たすのを遅らせてはならない。神は愚かな者を喜ばないからだ。誓ったことを果たせ。

5 誓って果たさないよりは、誓わないほうがよい。

6 あなたの口が、あなたに罪を犯させないようにせよ。使者の前で「あれは過失だ」と言ってはならない。神が、あなたの言うことを聞いて怒り、あなたの手のわざを滅ぼしてもよいだろうか。

7 夢が多くなると、むなしいことばも多くなる。ただ、神を恐れよ。

8 ある州で、貧しい者がしいたげられ、権利と正義がかすめられるのを見ても、そのことに驚いてはならない。その上役には、それを見張るもうひとりの上役がおり、彼らよりももっと高い者たちもいる。

9 何にもまして、国の利益は農地を耕させる王である。

10 金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。これもまた、むなしい。

11 財産が増えると、寄食者もふえる。持ち主にとって何の益になろう。彼はそれを目で見るだけだ。

12 働く者は、少し食べても多く食べても、ここちよく眠る。富む者は、満腹しても、安眠をとどめられる。

13 私は日の下に、痛ましいことがあるのを見た。所有者に守られている富が、その人に害を加えることだ。

14 その富は不幸な出来事で失われ、子どもが生まれても、自分の手もとには何もない。

15 母の胎から出て来たときのように、また裸でもとの所に帰る。彼は、自分の労苦によって得たものを、何一つ手に携えて行くことができない。

16 これも痛ましいことだ。出て来たときと全く同じようにして去って行く。風のために労苦して何の益があるだろうか。

17 しかも、人は一生、やみの中で食事をする。多くの苦痛、病気、そして怒り。

18 見よ。私がよいと見たこと、好ましいことは、神がその人に許されるいのちの日数の間、日の下で骨折るすべての労苦のうちに、しあわせを見つけて、食べたり飲んだりすることだ。これが人の受ける分なのだ。

19 実に神はすべての人間に富と財産を与え、これを楽しむことを許し、自分の受ける分を受け、自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。

20 こういう人は、自分の生涯のことをくよくよ思わない。神がかれの心の喜びで満たされるからだ。

伝道者の書 4章

伝道者の書 4章


1 私は再び、日の下で行われるいっさいのしいたげを見た。見よ、しいたげられている者の涙を。彼らには慰める者がいない。しいたげる者が権力をふるう。しかし、彼らには慰める者がいない。

2 私は、まだいのちがあって生きながらえている人よりは、死んだ死人のほうに祝いを申し述べる。

3 また、この両者よりもっと良いのは、今までに存在しなかった者、日の下で行われる悪いわざを見なかった者だ。

4 私はまた、あらゆる労苦とあらゆる仕事の成功を見た。それは人間同士のねたみにすぎない。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。

5 愚かな者は、手をこまねいて、自分の肉を食べる。

6 片手に安楽を満たすことは、両手に労苦を満たして風を追うのにまさる。

7 私は再び、日の下にむなしさのあるのを見た。

8 ひとりぼっちで、仲間もなく、子も兄弟もない人がいる。それでも彼のいっさいの労苦には終わりがなく、彼の目は富を求めて飽き足りることがない。そして、「私はだれのために労苦し、楽しみもなくて自分を犠牲にしているのか」とも言わない。これもまた、むなしく、つらい仕事だ。

9 ふたりはひとりよりもまさっている。ふたりが労苦すれば、良い報いがあるからだ。

10 どちらかが倒れるとき、ひとりがその仲間を起こす。倒れても起こす者のいないひとりぼっちの人はかわいそうだ。

11 また、ふたりがいっしょに寝ると暖かいが、ひとりでは、どうして暖かくなろう。

12 もしひとりなら、打ち負かされても、ふたりなら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単には切れない。

13 貧しくても知恵のある若者は、もう忠言を受けつけない年とった愚かな王にまさる。

14 たとい、彼が牢獄から出て来て王になったとしても、たとい、彼が王国で貧しく生まれた者であったにしても。

15 私は、日の下に生息するすべての生きものが、王に代わって立つ後継の若者の側につくのを見た。

16 すべての民には果てしがない。彼が今あるすべての民の先頭に立っても、これから後の者たちは、彼を喜ばないであろう。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。

伝道者の書 3章

伝道者の書 3章


1 天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある。

2 生まれるのに時があり、死ぬのに時がある。植えるのに時があり、植えた物を引き抜くのに時がある。

3 殺すのに時があり、いやすのに時がある。くずすのに時があり、建てるのに時がある。

4 泣くのに時があり、ほほえむのに時がある。嘆くのに時があり、踊るのに時がある。

5 石を投げ捨てるのに時があり、石を集めるのに時がある。抱擁するのに時があり、抱擁をやめるのに時がある。

6 捜すのに時があり、失うのに時がある。保つのに時があり、投げ捨てるのに時がある。

7 引き裂くのに時があり、縫い合わせるのに時がある。黙っているのに時があり、話をするのに時がある。

8 愛するのに時があり、憎むのに時がある。戦うのに時があり、和睦するのに時がある。

9 働く者は労苦して何の益を得よう。

10 私は神が人の子らに与えて労苦させる仕事を見た。

11 神のなさることは、すべて時にかなって美しい。神はまた、人の心に永遠を与えられた。しかし人は、神が行われるみわざを、初めから終わりまで見きわめることができない。

12 私は知った。人は生きている間に喜び楽しむほか何も良いことがないのを。

13 また、人がみな、食べたり飲んだりし、すべての労苦の中にしあわせを見いだすこともまた神の賜物であることを。

14 私は知った。神のなさることはみな永遠に変わらないことを。それに何かを加えることも、それから何かを取り去ることもできない。神がこのことをされたのだ。人は神を恐れなければならない。

15 今あることは、すでにあったこと。これからあることも、すでにあったこと。神は、すでに追い求められたことをこれからも捜し求められる。

16 さらに私は日の下で、さばきの場に不正があり、正義の場に不正があるのを見た。

17 私は心の中で言った。「神は正しい人も悪者もさばく。そこでは、すべての営みと、すべてのわざには、時があるからだ。」

18 私は心の中で人の子らについて言った。「神は彼らを試み、彼らが獣にすぎないことを、彼らが気づくようにされたのだ。」

19 人の子の結末と獣の結末とは同じ結末だ。これも死ねば、あれも死ぬ。両方とも同じ息を持っている。人は何も獣にまさっていない。すべてはむなしいからだ。

20 みな同じ所に行く。すべてのものはちりから出て、すべてのものはちりに帰る。

21 だれが知っているだろうか。人の子らの霊は上に上り、獣の霊は地の下に降りて行くのを。

22 私は見た。人は、自分の仕事を楽しむよりほかに、何も良いことがないことを。それが人の受ける分であるからだ。だれが、これから後に起こることを人に見せてくれるだろう。

伝道者の書 2章

伝道者の書 2章


1 私は心の中で言った。「さあ、快楽を味わってみるがよい。楽しんでみるがよい。」しかし、これもまた、なんとむなしいことか。

2 笑いか。ばからしいことだ。快楽か。それがいったい何になろう。

3 私は心の中で、私の心は知恵によって導かれているが、からだはぶどう酒で元気づけようと考えた。人の子が短い一生の間、天の下でする事について、何が良いかを見るまでは、愚かさを身につけていようと考えた。

4 私は事業を拡張し、邸宅を建て、ぶどう畑を設け、

5 庭と園を造り、そこにあらゆる種類の果樹を植えた。

6 木の茂った森を潤すために池も造った。

7 私は男女の奴隷を得た。私には家で生まれた奴隷があった。私には、私より先にエルサレムにいただれよりも多くの牛や羊もあった。

8 私はまた、銀や金、それに王たちや諸州の宝も集めた。私は男女の歌うたいをつくり、人の子らの快楽である多くのそばめを手に入れた。

9 私は、私より先にエルサレムにいただれよりも偉大な者となった。しかも、私の知恵は私から離れなかった。

10 私は、私の目の欲するものは何でも拒まず、心のおもむくままに、あらゆる楽しみをした。実に私の心はどんな労苦をも喜んだ。これが、私のすべての労苦による私の受ける分であった。

11 しかし、私が手がけたあらゆる事業と、そのために私が骨折った労苦とを振り返ってみると、なんと、すべてがむなしいことよ。風を追うようなものだ。日の下には何一つ益になるものはない。

12 私は振り返って、知恵と、狂気と、愚かさとを見た。いったい、王の跡を継ぐ者も、すでになされた事をするのにすぎないではないか。

13 私は見た。光がやみにまさっているように、知恵は愚かさにまさっていることを。

14 知恵ある者は、その頭に目があるが、愚かな者はやみの中を歩く。しかし、みな、同じ結末に行き着くことを私は知った。

15 私は心の中で言った。「私も愚かな者と同じ結末に行き着くのなら、それでは私の知恵は私に何の益になろうか。」私は心の中で語った。「これもまたむなしい」と。

16 事実、知恵ある者も愚かな者も、いつまでも記憶されることはない。日がたつと、いっさいは忘れられてしまう。知恵ある者も愚かな者とともに死んでいなくなる。

17 私は生きていることを憎んだ。日の下で行われるわざは、私にとってはわざわいだ。すべてはむなしく、風を追うようなものだから。

18 私は、日の下で骨折ったいっさいの労苦を憎んだ。後継者のために残さなければならないからである。

19 後継者が知恵ある者か愚か者か、だれにわかろう。しかも、私が日の下で骨折り、知恵を使ってしたすべての労苦を、その者が支配するようになるのだ。これもまた、むなしい。

20 私は日の下で骨折ったいっさいの労苦を思い返して絶望した。

21 どんなに人が知恵と知識と才能をもって労苦しても、何の労苦もしなかった者に、自分の分け前を譲らなければならない。これもまた、むなしく、非常に悪いことだ。

22 実に、日の下で骨折ったいっさいの労苦と思い煩いは、人に何になろう。

23 その一生は悲しみであり、その仕事には悩みがあり、その心は夜も休まらない。これもまた、むなしい。

24 人には、食べたり飲んだりし、自分の労苦に満足を見いだすよりほかに、何も良いことがない。これもまた、神の御手によることがわかった。

25 実に、神から離れて、だれが食べ、だれが楽しむことができようか。

26 なぜなら、神は、みこころにかなう人には、知恵と知識と喜びを与え、罪人には、神のみこころにかなう者に渡すために、集め、たくわえる仕事を与えられる。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。

伝道者の書 1章

伝道者の書 1章


1 エルサレムでの王、ダビデの子、伝道者のことば。

2 空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。

3 日の下で、どんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。

4 一つの時代は去り、次の時代が来る。しかし地はいつまでも変わらない。

5 日は上り、日は沈み、またもとの上る所に帰って行く。

6 風は南に吹き、巡って北に吹く。巡り巡って風は吹く。しかし、その巡る道に風は帰る。

7 川はみな海に流れ込むが、海は満ちることはない。川は流れ込む所に、また流れる。

8 すべての事はものうい。人は語ることさえできない。目は見て飽きることもなく、耳は聞いて満ち足りることもない。

9 昔あったものは、これからもあり、昔起こったことは、これからも起こる。日の下に新しいものは一つもない。

10 「これを見よ。これは新しい」と言われるものがあっても、それは、私たちよりはるか先の時代に、すでにあったものだ。

11 先にあったことは記憶に残っていない。これから後に起こることも、それから後の時代の人々には記憶されないであろう。

12 伝道者である私は、エルサレムでイスラエルの王であった。

13 私は、天の下で行われるいっさいの事について、知恵を用いて、一心に尋ね、探り出そうとした。これは、人の子らが労苦するようにと神が与えたつらい仕事だ。

14 私は、日の下で行われたすべてのわざを見たが、なんと、すべてがむなしいことよ。風を追うようなものだ。

15 曲がっていないものを、まっすぐにはできない。なくなっているものを、数えることはできない。

16 私は自分の心にこう語って言った。「今や、私は、私より先にエルサレムにいただれよりも知恵を増し加えた。私の心は多くの知恵と知識を得た。」

17 私は、一心に知恵と知識を、狂気と愚かさを知ろうとした。それもまた風を追うようなものであることを知った。

18 実に、知恵が多くなれば悩みも多くなり、知識を増す者は悲しみを増す。

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