2010年12月2日木曜日

ヨブ記 10章

ヨブ記 10章


1 私は自分のいのちをいとう。私は自分の不平をぶちまけ、私のたましいの苦しみを語ろう。

2 私は神に言おう、「私を罪ある者となさらないように。なぜ私と争われるかを、知らせてください。

3 あなたが人をしいたげ、御手のわざをさげすみ、悪者のはかりごとに光を添えることは良いことでしょうか。

4 あなたは肉の目を持っておられるのですか。あるいは、人間が見るように、あなたも見られるのですか。

5 あなたの日々は人間の日々と同じですか。あるいは、あなたの年は人の年と同じですか。

6 それで、あなたは私の咎を捜し、私の罪を探られるのですか。

7 あなたは、私に罪のないことを知っておられ、だれもあなたの手から救い出せる者はいないのに。

8 あなたの御手は私を形造り、造られました。それなのにあなたは私を滅ぼそうとされます。

9 思い出してください。あなたは私を粘土で造られました。あなたは、私をちりに帰そうとされるのですか。

10 あなたは私を乳のように注ぎ出し、チーズのように固め、

11 皮と肉とを私に着せ、骨と筋とで私を編まれたではありませんか。

12 あなたはいのちと恵みとを私に与え、私を顧みて私の霊を守られました。

13 しかし、あなたはこれらのことを御心に秘めておられました。私はこのことがあなたのうちにあるのを知っています。

14 もし、私が罪を犯すと、あなたは私を待ちもうけておられ、私の咎を見のがされませn。

15 もし、私が罪ある者とされるのなら、ああ、悲しいことです。私は、正しくても、私の頭をもたげることはできません。自分の恥に飽き飽きし、私の悩みを見ていますから。

16 私の頭が上がると、あなたはたける獅子のように、私を駆り立て、再び私に驚くべき力をふるわれるでしょう。

17 あなたは私の前にあなたの新しい証人たちを立て、私に向かってあなたの怒りを増し、私をいよいよ苦しめられるでしょう。

18 なぜ、あなたは私を母の胎から出されたのですか。私が息絶えていたら、だれにも見られなかったでしょうに。

19 私が生まれて来なかったかのように、母の胎から墓に運び去られていたらよかったものを。

20 私の生きる日はいくばくもないのですか。それではやめてください。私にかまわないでください。私はわずかでも明るくなりたいのです。

21 私が、再び帰らぬところ、やみと死の陰の地に行く前に。

22 そこは暗やみのように真っ暗な地、死の陰があり、秩序がなく、光も暗やみのようです。」

ヨブ記 9章

ヨブ記 9章


1 ヨブは答えて言った。

2 まことに、そのとおりであることを私は知っている。しかし、どうして人は自分の正しさを神に訴えることができようか。

3 たとい神と言い争おうと思っても、千に一つも答えられない。

4 神は心に知恵のある方、力の強い方。神に身をこわくして、だれがそのままで済むだろうか。

5 神が山々を移されるが、だれもこれに気づかない。神は怒ってもこれをくつがえされる。

6 神が地をその基から震わすと、その柱は揺れ動く。

7 神が太陽に命じると、それは上らない。星もまた封じ込められる。

8 神はただひとりで天を張り延ばし、海の大波を踏まれる。

9 神は牡牛座、オリオン座、すばる座、それに、南の天の室を造られた。

10 神は大いなることを行って測り知れず、その奇しいみわざは数えきれない。

11 たとい神が私のそばを通り過ぎても、私には見えない。神が進んで行っても、私は認めることができない。

12 ああ、神が奪い取ろうとするとき、だれがそれを引き止めることができようか。だれが神に向かって、「何をされるのか」と言いえよう。

13 神は怒りを翻さない。ラハブを助ける者たちは、みもとに身をかがめる。

14 いったい、この私が神に答えられようか。私が神とことばを交わせようか。

15 たとい、私が正しくても、神に答えることはできない。私をさばく方にあわれみを請うだけだ。

16 たとい、私が呼び、私に答えてくださったとしても、神が私の声に耳を傾けられたとは、信じられない。

17 神はあらしをもって私を打ち砕き、理由もないのに、私の傷を増し加え、

18 私に息もつかせず、私を苦しみで満たしておられる。

19 もし、力について言えば、見よ、神は力強い。もし、さばきについて言えば、だれが私を呼び出すことができるか。

20 たとい私が正しくても、私自身の口が私を罪ある者とし、たとい私が潔白でも、神は私を曲がった者とされる。

21 私は潔白だ。しかし、私には自分自身がわからない。私の自分のいのちをいとう。

22 みな同じことだ。だから私は言う。神は、潔白な者をも悪者をも共に絶ち滅ぼされる。

23 にわか水が突然出て人を殺すと、神は罪のない者の受ける試練をあざける。

24 地は悪者の手にゆだねられ、神はそのさばきつかさらの顔をおおう。もし、神がそうするのでなければ、そうするのはだれか。

25 私の日々は飛脚よりも速い。それは飛び去って、しあわせを見ない。

26 それは葦の舟のように通り過ぎ、獲物に襲いかかる鷲のように通り過ぎる。

27 たとい「不平を忘れ、憂うつな顔を捨てて、明るくなりたい」と私が言いましても、

28 私の受けたすべての苦痛を思うと、私はおびえます。私は知っています。あなたは、私を罪のない者とはしてくださいません。

29 私はきっと、罪ある者とされましょう。ではなぜ、私はいたずらに労するのでしょうか。

30 たとい私が雪の水で身を洗っても、灰汁で私の手をきよめても、

31 あなたは私を墓の穴に突き落とし、私の着物は私を忌みきらいます。

32 神は私のように人間ではないから、私は「さあ、さばきの座にいっしょに行こう」と申し入れることはできない。

33 私たちふたりの上に手を置く仲裁者が私たちの間にはいない。

34 神がその杖を私から取り去られるように。その恐ろしさで私をおびえさせないように。

35 そうすれば、私は語りかけ、神を恐れまい。いま私はそうではないからだ。

ヨブ記 8章

ヨブ記 8章


1 シュアハ人ビルダデが答えて言った。

2 いつまであなたはこのようなことを語るのか。あなたが口にすることばは激しい風のようだ。

3 神は広義を曲げるだろうか。全能者は義を曲げるだろうか。

4 もし、あなたの子らが神に罪を犯し、神が彼らをそのそむきの罪を手中に送り込まれたのなら、

5 もし、あなたが、熱心に神に求め、全能者にあわれみを請うなら、

6 もし、あなたが純粋で正しいなら、まことに神は今すぐあなたのために起き上がり、あなたの義の住まいを回復される。

7 あなたは始めは小さくても、その終わりは、はなはだ大きくなる。

8 さあ、先代の人に尋ねよ。その先祖たちの探求したことを確かめよ。

9 私たちは、きのう生まれた者で、何も知らず、私たちの地上にある日は影だからである。

10 彼らはあなたに教え、あなたに語りかけ、その心からことばを出さないだろうか。

11 パピルスは沼地でなくても育つだろうか。葦は水がなくても伸びるだろうか。

12 これは、まだ若芽のときに刈られないのに、ほかの草に先立って枯れる。

13 すべて神を忘れる者の道はこのようだ。神を敬わない者の望みは消えうせる。

14 その確信は、くもの糸、その信頼は、くもの巣だ。

15 彼は自分の家に寄りかかると、家はそれに耐えきれない。これにすがりつくと、それはもちこたえない。

16 彼が日に当たって青々と茂り、その若枝は庭に生えいで、

17 その根は石くれの山にからまり、それが岩間に生えても、

18 神がもし、その場所からそれを取り除くと、その場所は「私はあなたを見たことがない」と否む。

19 見よ。これが彼の道の喜びである。ほかのものがその地から芽を出そう。

20 見よ。神は潔白な人を退けない。悪を行う者の手を取らない。

21 ついには、神は笑いをあなたの口に満たし、喜びの叫びをあなたのくちびるに満たす。

22 あなたを憎む者は恥を見、悪者どもの天幕は、なくなってしまう。

ヨブ記 7章

ヨブ記 7章


1 地上の人には苦役があるではないか。その日々は日雇い人の日々のようではないか。

2 日陰をあえぎ求める奴隷のように、賃金を待ち望む日雇い人のように、

3 私にはむなしい月々が割り当てられ、苦しみの夜が定めれらている。

4 横たわるとき、私は言う。「私はいつ起きられるだろうか」と。夜は長く、私は暁まで寝返りをうち続ける。

5 私の肉はうじと土くれをまとい、私の皮は固まっては、またくずれる。

6 私の日々は機の杼よりも速く、望みもなく過ぎ去る。

7 思い出してください。私のいのちはただの息であることを。私の目は再び幸いを見ないでしょう。

8 私を見る者の目は、私を認めることができないでしょう。あなたの目が私に向けられても、私はもういません。

9 雲が消え去ってしまうように、よみに下る者は、もう上って来ないでしょう。

10 彼はもう自分の家に帰らず、彼の家も、もう彼を認めないでしょう。

11 それゆえ、私も自分の口を制することをせず、私の霊の苦しみの中から語り、私のたましいの苦悩の中から嘆きます。

12 私は海でしょうか、海の巨獣でしょうか、あなたが私の上に見張りを置かれるとは。

13 「私のふしどが私を慰め、私の寝床が私の嘆きを軽くする」と私が言うと、

14 あなたは夢で私をおののかせ、幻によって私をおびえさせます。

15 それで私のたましいは、むしろ窒息を選び、私の骨よりも死を選びます。

16 私はいのちをいといます。私はいつまでも生きたくありません。私にかまわないでください。私の日々はむなしいものです。

17 人とは何者なのでしょう。あなたがこれを尊び、これに御心を留められるとは。

18 また、朝ごとにこれを訪れ、そのつどこれをためされるとは。

19 いつまで、あなたは私から目をそらされないのですか。つばをのみこむ間も、私を捨てておかれないのですか。

20 私が逸見を犯したといっても、人を見張るあなたに、私は何ができましょう。なぜ、私をあなたの的とされるのですか。

21 どうして、あなたは私のそむきの罪を赦さず、私の不義を除かれないのですか。今、私はちりの中によこたわります。あなたが私を捜されても、私はもうおりません。

ヨブ記 6章

ヨブ記 6章


1 ヨブは答えて言った。

2 ああ、私の苦悶の重さが量られ、私の災害も共にはかりにかけられたら。

3 それは、きっと海の砂よりも重かろう。だから、私のことばが激しかったのだ。

4 全能者の矢が私に刺さり、私のたましいがその毒を飲み、神の脅かしが私に備えられている。

5 野ろばは若草の上で鳴くだろうか。牛は飼葉の上でうなるだろうか。

6 味のない物は塩がなくて食べられようか。卵のしろみに味があろうか。

7 私はそんなものに触れるまい。それは私には腐った食物のようだ。

8 ああ、私の願いがかなえられ、私の望むものを神が与えてくださるとよいのに。

9 私を砕き、御手を伸ばして私を絶つことが神のおぼしめしであるなら、

10 私はなおも、それに慰めを得、容赦のない苦痛の中でも、こおどりして喜ぼう。私は聖なる方のことばを拒んだことがないからだ。

11 私にどんな力があるからといって、私は待たなければならないのか。私にどんな終わりがあるからといって、私は耐え忍ばなければならないのか。

12 私の力は石の力であろうか。私の肉は青銅であろうか。

13 私のうちには、何の助けもないではないか。すぐれた知性も私から追い散らされているではないか。

14 落胆している者には、その友から友情を。さもないと、彼は全能者への恐れを捨てるだろう。

15 私の兄弟たちは川のように裏切った。流れている川筋の流れのように。

16 氷で黒ずみ、雪がその上を隠している。

17 炎天下のころになると、それはなくなり、暑くなると、その所から消える。

18 隊商はその道を変え、荒地に行って、滅びる。

19 テマの隊商はこれを目当てとし、シェバの旅人はこれに期待をかける。

20 彼らはこれにたよったために恥を見、そこまで来て、はずかしめを受ける。

21 今あなたがたは、そのようになった。あなたがたは恐ろしいことを見ておびえている。

22 私が言ったことがあるか。「私に与えよ」とか、「あなたがたの持ち物の中から、私のために贈り物をせよ」と。

23 あるいは、「敵の手から私を救い出せ。横暴な者の手から私を贖え」と。

24 私に教えよ。そうすれば、私は黙ろう。私がどんなあやまちを犯したか、私に悟らせよ。

25 まっすぐなことばはなんと痛いことか。あなたがたは何を責めたてているのか。

26 あなたがたはことばで私を責めるつもりか。絶望した者のことばは風のようだ。

27 あなたがたはみなしごをくじ引きにし、自分の友さえ売りに出す。

28 今、思い切って私のほうを向いてくれ。あなたがたの顔に向かって、私は決してまやかしを言わない。

29 どうか、思い直してくれ。不正があってはならない。もう一度、思い返してくれ。私の正しい訴えを。

30 私の舌に不正があるだろうか。私の口はわざわいをわきまえないだろうか。

ヨブ記 5章

ヨブ記 5章


1 さあ、呼んでみよ。だれかあなたに答える者があるか。聖者のうちのだれかにあなたは向かって行こうとするのか。

2 憤りは愚か者を殺し、ねたみはあさはかな者を死なせる。

3 私は愚か者が根を張るのを見た。しかし、その住みかは、たちまち腐った。

4 その子たちは危険にさらされ、門で押しつぶされても、彼らを救い出す者もいない。

5 彼の刈り入れる物は飢えた人が食べ、いばらの中からさえこれを奪う。渇いた者が彼らの富をあえぎ求める。

6 なぜなら、不幸はちりから出て来ず、苦しみは土から芽を出さないからだ。

7 人は生まれると苦しみに会う。火花が上に飛ぶように。

8 私なら、神に尋ね、私のことを神に訴えよう。

9 神は大いなる事をなして測り知れず、その奇しいみわざは数えきれない。

10 神は地の上に雨を降らし、野の面に水を送る。

11 神は低い者を高く上げ、悲しむ者を引き上げて救う。

12 神は悪賢い者のたくらみを打ちこわす。それで彼らの手は、何の効果ももたらさない。

13 神は知恵のある者を彼ら自身の悪知恵を使って捕らえる。彼らのずるいはかりごとはくつがえされる。

14 彼らは昼間にやみに会い、真昼に、夜のように手さぐりをする。

15 神は貧しい者を剣から、彼らの口から、強い者の手から救われる。

16 こうして寄るべのない者は望みを持ち、不正はその口をつぐむ。

17 ああ、幸いなことよ。神に責められるその人は。だから全能者の懲らしめをないがしろにしてはならない。

18 神は傷つけるが、それを包み、打ち砕くが、その手でいやしてくださるからだ。

19 神は六つの苦しみから、あなたを救い出し、七つ目のわざわいはあなたに触れない。

20 ききんのときには死からあなたを救い、戦いのときにも剣の力からあなたを救う。

21 舌でむち打たれるときも、あなたは隠され、破壊の来るときにも、あなたはそれを恐れない。

22 あなたは破壊とききんとをあざ笑い、地の獣をも恐れない。

23 野の石とあなたは契りを結び、野の獣はあなたと和らぐからだ。

24 あなたは自分の天幕が安全であるのを知り、あなたの牧場を見回っても何も失っていない。

25 あなたは自分の子孫が多くなり、あなたのすえが地の草のようになるのを知ろう。

26 あなたは長寿を全うして墓に入ろう。あたかも麦束がその時期に収めれるように。

27 さあ、私たちが調べ上げたことはこのとおりだ。これを聞き、あなた自身でこれを知れ。

ヨブ記 4章

ヨブ記 4章


1 すると、テマン人エリファズが話しかけて言った。

2 もし、だれかがあなたにあえて語りかけたら、あなたはそれに耐えられようか。しかし、だれが黙っておられよう。

3 見よ。あなたは多くの人を訓戒し、弱った手を力づけた。

4 あなたのことばはつまずく者を起こし、くずおれるひざをしっかり立たせた。

5 だが、今これがあなたにふりかかると、あなたは、これに耐えられない。これがあなたを打つと、あなたはおびえている。

6 あなたが神を恐れていることはあなたの確信ではないか。あなたの望みはあなたの潔白な行いではないか。

7 さあ思い出せ。だれか罪のないのに滅びた者があるか。どこに正しい人で絶たれた者があるか。

8 私の見るところでは、不幸を耕し、害毒を蒔く者が、それを刈り取るのだ。

9 彼らは神のいぶきによって滅び、その怒りの息によって消えうせる。

10 獅子のほえる声、たける獅子の声は共にやみ、若い獅子のきばも砕かれる。

11 雄獅子は獲物がなくて滅び、雌獅子の子らは散らされる。

12 一つのことばが私に忍び寄り、そのささやきが私の耳を捕らえた。

13 夜の幻で思い乱れ、深い眠りが人々を襲うとき、

14 恐れとおののきが私にふりかかり、私の骨々は、わなないた。

15 そのとき、一つの霊が私の顔の上を通り過ぎ、私の身の毛がよだった。

16 それは立ち止まったが、私はその顔だちを見分けることができなかった。しかし、その姿は、私の目の前にあった。静寂…、そして私は一つの声を聞いた。

17 人は神の前に正しくありえようか。人はその造り主の前にきよくありえようか。

18 見よ。神はご自分のしもべさえ信頼せず、その御使いたちにさえ誤りを認められる。

19 まして、ちりの中に土台を据える泥の家に住む者はなおさらのことである。彼らはしみのようにたやすく押しつぶされ、

20 彼らは朝から夕方までに打ち砕かれ、永遠に滅ぼされて、だれも顧みない。

21 彼らの幕屋の綱も彼らのうちから取り去られないであろうか。彼らは知恵がないために死ぬ。

ヨブ記 3章

ヨブ記 3章


1 その後、ヨブは口を開いて自分の生まれた日をのろった。

2 ヨブは声を出して言った。

3 私の生まれた日は滅びうせよ。「男の子が胎に宿った」と言ったその夜も。

4 その日はやみになれ。神もその日を顧みるな。光もその上を照らすな。

5 やみと暗黒がこれを取り戻し、雲がこの上にとどまれ。昼を暗くするものもそれをおびやかせ。

6 その夜は、暗やみがこれを奪い取るように。これを年の日のうちで喜ばせるな。月の数のうちにも入れるな。

7 ああ、その夜は、はらむことのないように。その夜には喜びの声も起こらないように。

8 日をのろう者、レビヤタンを呼び起こせる者がこれをのろうように。

9 その夜明けの星は暗くなれ。光を待ち望んでも、それはなく、暁のまぶたのあくのを見ることがないように。

10 それは、私の母の胎の戸が閉じられず、私の目から苦しみが隠されなかったからだ。

11 なぜ、私は、胎から出たとき、死ななかったのか。なぜ、私は、生まれ出たとき、息絶えなかったのか。

12 なぜ、ひざが私を受けたのか。なぜ、私の吸う乳房があったのか。

13 今ごろ、私は安らかに横になり、眠って休み、

14 自分たちのためにあの廃墟を築いたこの世の王たち、また議官たち、

15 あるいは黄金を持ち、自分の家を銀で満たした首長たちといっしょにいたことであろうに。

16 それとも、私は、ひそかにおろされた流産の子のよう、光を見なかった嬰児のようでなかったのか。

17 かしこでは、悪者どもはいきりたつのをやめ、かしこでは、力のなえた者はいこい、

18 捕らわれ人も共に休み、追い使う者の声も聞かない。

19 かしこでは、下の者も上の者も同じで、奴隷も主人から解き放たれる。

20 なぜ、苦しむ者に光が与えられ、心の痛んだ者にいのちが与えられるのだろう。

21 死を待ち望んでも、死は来ない。それを掘り求めても、隠された宝を掘り求めるのにすぎないとは。

22 彼らの墓を見つけると、なぜ、歓声をあげて喜び、楽しむのだろう。

23 神が囲いに閉じ込めて、自分の道が隠されている人に、なぜ、光が与えられるのだろう。

24 実に、私には食物の代わりに嘆きが来て、私のうめき声は水のようにあふれ出る。

25 私の最も恐れたものが、私を襲い、私のおびえたものが、私の身にふりかかったからだ。

26 私には安らぎもなく、休みもなく、いこいもなく、心はかき乱されている。

ヨブ記 2章

ヨブ記 2章


1 ある日のこと、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンもいっしょに来て、主の前に立った。

2 主はサタンに仰せられた。「おまえはどこから来たのか。」サタンは主に答えて言った。「地を行き巡り、そこを歩き回って来ました。」

3 主はサタンに仰せられた。「おまえはわたしのしもべヨブに心を留めたか。彼のように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者はひとりも地上にはいない。彼はなお、自分の誠実を堅く保っている。おまえは、わたしをそそのかして、何の理由もないのに彼を滅ぼそうとしたが。」

4 サタンは主に答えて言った。「皮のかわりには皮をもってします。人は自分のいのちの代わりには、すべての持ち物を与えるものです。

5 しかし、今あなたの手を伸べ、彼の骨と肉とを打ってください。彼はきっと、あなたをのろうに違いありません。」

6 主はサタンに仰せられた。「では、彼をおまえの手に任せる。ただ彼のいのちには触れるな。」

7 サタンは主の前から出て行き、ヨブの足の裏から頭の頂まで、悪性の腫瘍で彼を打った。

8 ヨブは土器のかけらを取って自分の身をかき、また灰の中にすわった。

9 すると彼の妻が彼に言った。「それでもなお、あなたは自分の誠実を堅く保つのですか。神をのろって死になさい。」

10 しかし、彼は彼女に言った。「あなたは愚かな女が言うようなことを言っている。私たちは幸いを神から受けるのだから、わざわいをも受けなければならないではないか。」ヨブはこのようになっても、罪を犯すようなことを口にしなかった。

11 そのうちに、ヨブの三人の友は、ヨブに降りかかったこのすべてのわざわいのことを聞き、それぞれ自分の所からたずねて来た。すなわち、テマン人ツォファルである。彼らはヨブに悔やみを言って慰めようと互いに打ち合わせて来た。

12 彼らは遠くから目を上げて彼を見たが、それがヨブであることが見分けられないほどだった。彼らは声をあげて泣き、おのおの、自分の上着を切り裂き、ちりを天に向かって投げ、自分の頭の上にまき散らした。

13 こうして、彼らは彼とともに七日七夜、地にすわっていたが、だれも一言も彼に話しかけなかった。彼の痛みがあまりにもひどいのを見たからである。

ヨブ記 1章

ヨブ記 1章


1 ウツの地にヨブという名の人がいた。この人は潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっていた。

2 彼には七人の息子と三人の娘が生まれた。

3 彼は羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭、それに非常に多くのしもべを持っていた。それでこの人は東の人々の中で一番の富豪であった。

4 彼の息子たちは互いに行き来し、それぞれ自分の日に、その家で祝宴を開き、人をやって彼らの三人の姉妹も招き、彼らといっしょに飲み食いするのを常としていた。

5 こうして祝宴の日が一巡すると、ヨブは彼らを呼び寄せ、聖別することにしていた。彼は翌朝早く、彼らひとりひとりのために、それぞれの全焼のいけにえをささげた。ヨブは、「私の息子たちが、あるいは罪を犯し、心の中でのろったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつもこのようにしていた。

6 ある日、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンも来てその中にいた。

7 主はサタンに仰せられた。「おまえはどこから来たのか。」サタンは主に答えて言った。「地を行き巡り、そこを歩き回って来ました。」

8 主はサタンに仰せられた。「おまえはわたしのしもべヨブに心を留めたか。彼のように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者はひとりも地上にはいないのだが。」

9 サタンは主に答えて言った。「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。

10 あなたは彼と、その家とすべての持ち物との回りに、垣を巡らしたではありませんか。あなたが彼の手のわざを祝福されたので、彼の家畜は地にふえ広がっています。

11 しかし、あなたの手を伸べ、彼のすべての持ち物を打ってください。彼はきっと、あなたに向かってのろうに違いありません。」

12 主はサタンに仰せられた。「では、彼のすべての持ち物をおまえの手に任せよう。ただ彼の身に手を伸ばしてはならない。」そこで、サタンは主の前から出て行った。

13 ある日、彼の息子、娘たちが、一番上の兄の家で食事をしたり、ぶどう酒を飲んだりしていたとき、

14 使いがヨブのところに来て言った。「牛が耕し、そのそばで、ろばが草を食べていましたが、

15 シェバ人が襲いかかり、これを奪い、若い者たちを剣の刃で打ち殺しました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」

16 この者がまだ話している間に、他のひとりが来て言った。「神の火が天から下り、羊と若い者たちを焼き尽くしました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」

17 この者がまだ話している間に、また他のひとりが来て言った。「カルデヤ人が三組になって、らくだを襲い、これを奪い、若い者たちを剣の刃で打ち殺しました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」

18 この者がまだ話している間に、また他のひとりが来て言った。「あなたのご子息や娘さんたちは一番上のお兄さんの家で、食事をしたりぶどう酒を飲んだりしておられました。

19 そこへ荒野のほうから大風が吹いて来て、家の四隅を打ち、それがお若い方々の上に倒れたので、みなさまは死なれました。私ひとりだけがのがれて、あなたにお知らせするのです。」

20 このとき、ヨブは立ち上がり、その上着を引き裂き、頭をそり、地にひれ伏して礼拝し、

21 そして言った。「私は裸で母の胎から出て来た。また、裸で私はかしこに帰ろう。主は与え、主は取られる。主の御名はほむべきかな。」

22 ヨブはこのようになっても罪を犯さず、神に愚痴をこぼさなかった。

エステル記 index

エステル記 第1章
エステル記 第2章
エステル記 第3章
エステル記 第4章
エステル記 第5章
エステル記 第6章
エステル記 第7章
エステル記 第8章
エステル記 第9章
エステル記 第10章

エステル記 10章

エステル記 10章


1 後に、アハシュエロス王は、本土と海の島々に苦役を課した。

2 彼の権威と勇気によるすべての功績と、王に重んじられたモルデカイの偉大さについての詳細とは、メディヤとペルシヤの王の年代記の書にしるされてるではないか。

3 それはユダヤ人モルデカイが、アハシュエロス王の次に位し、ユダヤ人の中でも大いなる者であり、彼の多くの同胞たちに敬愛され、自分の民の幸福を求め、自分の全民族に平和を語ったからである。

エステル記 9章

エステル記 9章


1 第十二の月、すなわちアダルの月の十三日、この日に王の命令とその法令が実施された。この日に、ユダヤ人の敵がユダヤ人を征服しようと望んでいたのに、それが一変して、ユダヤ人が自分たちを憎む者たちを征服することとなった。

2 その日、ユダヤ人が自分たちに害を加えようとする者たちを殺そうと、アハシュエロス王のすべての州にある自分たちの町々で集まったが、だれもユダヤ人に抵抗する者はいなかった。民はみなユダヤ人を恐れていたからである。

3 諸州の首長、太守、総督、王の役人もみな、ユダヤ人を助けた。彼らはモルデカイを恐れたからである。

4 というのは、モルデカイは王宮で勢力があり、その名声はすべての州に広がっており、モルデカイはますます勢力を伸ばす人物だったからである。

5 ユダヤ人は彼らの敵をみな剣で打ち殺し、虐殺して滅ぼし、自分たちを憎む者を思いのままに処分した。

6 ユダヤ人はシュシャンの城でも五百人を殺して滅ぼし、

7 また、パルシャヌダタ、ダルフォン、アスパタ、

8 ポラタ、アダルヤ、アリダタ、

9 パルマシュタ、アリサイ、アリダイ、ワイザタ、

10 すなわち、ハメダタの子で、ユダヤ人を迫害する者ハマンの子十人を虐殺した。しかし、彼らは獲物には手をかけなかった。

11 その日、シュシャンの城で殺された者の数が王に報告されると、

12 王は王妃エステルに尋ねた。「ユダヤ人はシュシャンの城で、五百人とハマンの子十人を殺して滅ぼした。王のほかの諸州では、彼らはどうしたであろう。あなたは何を願っているのか。それを授けてやろう。あなたはなおも何を望んでいるのか。それをかなえてやろう。」

13 エステルは答えた。「もしも王さま、よろしければ、あすも、シュシャンにいるユダヤ人に、きょうの法令どおりにすることを許してください。また、ハマンの十人の子を柱にかけてください。」

14 そこで王が、そのようにせよ、と命令したので、法令がシュシャンで布告され、ハマンの十人の子は柱にかけられた。

15 シュシャンにいるユダヤ人は、アダルの月の十四日にも集まって、シュシャンで三百人を殺したが、獲物には手をかけなかった。

16 王の諸州にいるほかのユダヤ人も団結して、自分たちのいのちを守り、彼らの敵を除いて休みを得た。すなわち、自分たちを憎む者七万五千人を殺したが、獲物には手をかけなかった。

17 これは、アダルの月の十三日のことであって、その十四日には彼らは休んで、その日を祝宴と喜びの日とした。

18 しかし、シュシャンにいるユダヤ人は、その十三日にも十四日にも集まり、その十五日に休んで、その日を祝宴と喜びの日とした。

19 それゆえ、城壁のない町々に住むいなかのユダヤ人は、アダルの月の十四日を喜びと祝宴の日、つまり祝日とし、互いにごちそうを贈りかわす日とした。

20 モルデカイは、これらのことを書いて、アハシュエロス王のすべての州の、近い所や、遠い所にいるユダヤ人全部に手紙を送った。

21 それは、ユダヤ人が毎年アダルの月の十四日と十五日を、

22 自分たちの敵を除いて休みを得た日、悲しみが喜びに、喪の日が祝日に変わった月として、祝宴と喜びの日、互いにごちそうを贈り、貧しい者に贈り物をする日と定めるためであった。

23 ユダヤ人は、すでに守り始めていたことを、モルデカイが彼らに書き送ったとおりに実行した。

24 なぜなら、アガグ人ハメダタの子で、全ユダヤ人を迫害する者ハマンが、ユダヤ人を滅ぼそうとたくらんで、プル、すなわちくじを投げ、彼らをかき乱し、滅ぼそうとしたが、

25 そのことが、王の耳に入ると、王は書簡で命じ、ハマンがユダヤ人に対してたくらんだ悪い計略をハマンの頭上に返し、彼とその子らを柱にかけたからである。

26 こういうわけで、ユダヤ人はプルの名を取って、これらの日をプリムと呼んだ。こうして、この書簡のすべてのことばにより、また、このことについて彼らが見たこと、また彼らに起こったことにより、

27 ユダヤ人は、彼らと、その子孫、および彼らにつく者たちがその文書のとおり、毎年定まった時期に、この両日を守って、これを廃止してはならないと定め、これを実行することにした。

28 また、この両日は、代々にわたり、すべての家族、諸州、町々においても記念され、祝わなければならないとし、これらのプリムの日が、ユダヤ人の間で廃止されることがなく、この記念が彼らの子孫の中でとだえてしまわないようにした。

29 アビハイルの娘である王妃エステルと、ユダヤ人モルデカイは、プリムについてのこの第二の書簡を確かなものとするために、いっさいの権威をもって書いた。

30 この手紙は、平和と誠実のことばをもって、アハシュエロスの王国の百二十七州にいるすべてのユダヤ人に送られ、

31 ユダヤ人モルデカイと王妃エステルがユダヤ人に命じたとおり、また、ユダヤ人が自分たちとその子孫のために断食と哀悼に関して定めたとおり、このプリムの両日を定まった時期に守るようにした。

32 エステルの命令は、このプリムのことを規定し、それは書物にしるされた。

エステル記 8章

エステル記 8章


1 その日、アハシュエロス王は王妃エステルに、ユダヤ人を迫害する者ハマンの家を与えた。モルデカイは王の前に来た。エステルが自分と彼の関係を明かしたからである。

2 王はハマンから取り返した自分の指輪をはずして、それをモルデカイに与え、エスエルはモルデカイにハマンの家の管理を任せた。

3 エステルが再び王に告げて、その足もとにひれ伏し、アガグ人ハマンがユダヤ人に対してたくらんだわざわいとそのたくらみを取り除いてくれるように、泣きながら嘆願したので、

4 王はエステルに金の笏を差し伸ばした。そこで、エステルは身を起こして、王の前に立って、

5 言った。「もしも王さま、よろしくて、お許しが得られ、このことを王さまがもっともとおぼしめされ、私をおいれくださるなら、アガグ人ハメダタの子ハマンが、王のすべての州にいるユダヤ人を滅ぼしてしまえと書いたあのたくらみの書簡を取り消すように、詔書を出してください。

6 どうして私は、私の民族に降りかかるわざわいを見てがまんしておられましょうか。」

7 アハシュエロス王は、王妃エステルとユダヤ人モルデカイに言った。「ハマンがユダヤ人を殺そうとしたので、今、私はハマンの家をエステルに与え、彼は柱にかけられたではないか。

8 あなたがたはユダヤ人についてあなたがたのよいと思うように、王の名で書き、王の指輪でそれに印を押しなさい。王の名で書かれ、王の指輪で印が押された文書は、だれも取り消すことができないのだ。」

9 そのとき、王の書記官が召集された。それは第三の月、すなわちシワンの月の二十三日であった。そしてすべてモルデカイが命じたとおりに、ユダヤ人と、太守や、総督たち、およびホドからクシュまで百二十七州の首長たちとに詔書が書き送られた。各州にはその文字で、各民族にはそのことばで、ユダヤ人にはその文字とことばで書き送られた。

10 モルデカイはアハシュエロス王の名で書き、王の指輪でそれに印を押し、その手紙を、早く走る御用馬の早馬に乗る急使に託して送った。

11 その中で王は、どこの町にいるユダヤ人にも、自分たちのいのちを守るために集まって、彼らを襲う民や州の軍隊を、子どもも女たちも含めて残らず根絶やしにし、殺害し、滅ぼすことを許し、また、彼らの家財をかすめ奪うことを許した。

12 このことは、アハシュエロス王のすべての州において、第十二の月、すなわちアダルの月の十三日の一日のうちに行うようになっていた。

13 各州に法令として発布される文書の写しが、すべての民族に公示された。それはユダヤ人が、自分たちの敵に復讐するこの日の準備をするためであった。

14 御用馬の早馬に乗った急使は、王の命令によってせきたてられ、急いで出て行った。この法令はシュシャンの城でも発布された。

15 モルデカイは、青色と白色の王服を着、大きな金の冠をかぶり、白亜麻布と紫色のマントをまとって、王の前から出て来た。するとシュシャンの町は喜びの声にあふれた。

16 ユダヤ人にとって、それは光と、喜びと、楽しみと、栄誉であった。

17 王の命令とその法令が届いたどの州、どの町でも、ユダヤ人は喜び、楽しみ、祝宴を張って、祝日とした。この国の民のうちで、自分がユダヤ人であることを宣言する者が大ぜいいた。それは彼らがユダヤ人を恐れるようになったからである。

エステル記 7章

エステル記 7章


1 王とハマンはやって来て、王妃エステルと酒をくみかわした。

2 この酒宴の二日目にもまた、王はエステルに尋ねた。「あなたは何を願っているのか。王妃エステル。それを授けてやろう。何を望んでいるのか。王国の半分でも、それをかなえてやろう。」

3 王妃エステルは答えて言った。「もしも王さまのお許しが得られ、王さまがよろしければ、私の願いを聞き入れて、私にいのちを与え、私の望みを聞き入れて、私の民族にもいのちを与えてください。

4 私も私の民族も、売られて、根絶やしにされ、殺害され、滅ぼされることになっています。私たちが男女の奴隷として売られるだけなら、私は黙っていたでしょうに。事実、その迫害者は追うの損失を償うことができないのです。」

5 アハシュエロス王は王妃エステルに尋ねて言った。「そんなことをあえてしようとたくらんでいる者は、いったいだれか。どこにいるのか。」

6 エステルは答えた。「その迫害する者、その敵は、この悪いハマンです。」ハマンは王と王妃の前で震え上がった。

7 王は憤って酒宴の席を立って、宮殿の園に出て行った。ハマンは王妃エステルにいのち請いをしようとして、居残った。王が彼にわざわいを下す決心をしたのがわかったからである。

8 王が宮殿の園から酒宴の広間に戻って来ると、エステルのいた長いすの上にハマンがひれ伏していたので、王は言った。「私の前で、この家の中で、王妃に乱暴しようとするのか。」このことばが王の口から出るやいなや、ハマンの顔はおおわれた。

9 そのとき、王の前にいた宦官のひとりハルボナが言った。「ちょうど、王に良い知らせを告げたモルデカイのために、ハマンが用意した五十キュビトの柱がハマンの家に立っています。」すると王は命じた。「彼をそれにかけよ。」

10 こうしてハマンは、モルデカイのために準備しておいた柱にかけられた。それで王の憤りはおさまった。

エステル記 6章

エステル記 6章


1 その夜、王は眠れなかったので、記録の書、年代記を持って来るように命じ、王の前でそれを読ませた。

2 その中に、入口を守っていた王のふたりの宦官ビグタナとテレシュが、アハシュエロス王を殺そうとしていることをモルデカイが報告した、と書かれてあるのが見つかった。

3 そこで王は尋ねた。「このために、栄誉とか昇進とか、何かモルデカイにしたか。」王に仕える若い者たちは答えた。「彼には何もしていません。」

4 王は言った。「庭にいるのはだれか。」ちょうど、ハマンがモルデカイのために準備した柱に彼をかけることを王に上奏しようと、王宮の外庭に入って来たところであった。

5 王に仕える若い者たちは彼に言った。「今、庭に立っているのはハマンです。」王は言った。「ここに通せ。」

6 ハマンが入って来たので、王は彼に言った。「王が栄誉を与えたいと思う者には、どうしたらよかろう。」そのとき、ハマンは心のうちで思った。「王が栄誉を与えたいと思われる者は、私以外にだれがあろう。」

7 そこでハマンは王に言った。「王が栄誉を与えたいと思われる人のためには、

8 王が着ておられた王服を持って来させ、また、王の乗られた馬を、その頭に王冠をつけて引いて来させてください。

9 その王服と馬を、貴族である王の首長のひとりの手に渡し、王が栄誉を与えたいと思われる人に王服を着させ、その人を馬に乗せて、町の広場に導かせ、その前で『王が栄誉を与えたいと思われる人はこのとおりである』と、ふれさせてください。」

10 すると、王はハマンに言った。「あなたが言ったとおりに、すぐ王服と馬を取って来て、王の門のところにすわっているユダヤ人モルデカイにそうしなさい。あなたの言ったことを一つもたがえてはならない。」

11 それで、ハマンは王服と馬を取って来て、モルデカイに着せ、彼を馬に乗せて待ちの広場に導き、その前で「王が栄誉を与えたいと思われる人はこのとおりである」と叫んだ。

12 それからモルデカイは王の門に戻ったが、ハマンは嘆いて、頭をおおい、急いで家に帰った。

13 そして、ハマンは自分の身に起こった一部始終を妻ゼレシュとすべての友人たちに話した。すると、彼の知恵のある者たちと、妻ゼレシュは彼に言った。「あなたはモルデカイに負けかけておいでですが、このモルデカイが、ユダヤ民族のひとりであるなら、あなたはもう彼に勝つことはできません。きっと、あなたは彼に負けるでしょう。」

14 彼らがまだハマンと話しているうちに、王の宦官たちがやって来て、ハマンを急がせ、エステルの設けた宴会に連れて行った。

エステル記 5章

エステル記 5章


1 さて、三日目にエステルは王妃の衣装を着て、王室の正面にある王宮の内庭に立った。王は王室の入口の正面にある王宮の玉座にすわっていた。

2 王が、庭に立っている王妃エステルを見たとき、彼女は王の好意を受けたので、王は手に持っていた金の笏をエステルに差し伸ばした。そこで、エステルは近寄って、その笏の先にさわった。

3 王は彼女に言った。「どうしたのだ。王妃エステル。何がほしいのか。王国の半分でも、あなたにやれるのだが。」

4 エステルは答えた。「もしも、王さまがよろしければ、きょう、私が王さまのために設ける宴会にハマンとごいっしょにお越しください。」

5 すると、王は、「ハマンをせきたてて、エステルの言ったようにしよう」と言った。王とハマンはエステルが設けた宴会に出た。

6 その酒宴の席上、王はエステルに尋ねた。「あなたは何を願っているのか。それを授けてやろう。何を望んでいるのか。王国の半分でも、それをかなえてやろう。」

7 エステルは答えて言った。「私が願い、望んでいることは、

8 もしも王さまのお許しが得られ、王さまがよろしくて、私の願いをゆるし、私の望みをかなえていただけますなら、私が設けるこの宴会に、ハマンとごいっしょに、もう一度お越しください。そうすれば、あす、私は王さまのおっしゃったとおりにいたします。」

9 ハマンはその日、喜び、上きげんで出て行った。ところが、ハマンは、王の門のところにいるモルデカイが立ち上がろうともせず、自分を少しも恐れていないのを見て、モルデカイに対する憤りに満たされた。

10 しかし、ハマンはがまんして家に帰り、人をやって、友人たちと妻ゼレシュを連れて来させた。

11 ハマンは自分の輝かしい富について、また、子どもが大ぜいいることや、王が自分を重んじ、王の首長や家臣たちの上に自分を昇進させてくれたことなどを全部彼らに話した。

12 そして、ハマンは言った。「しかも、王妃エステルは、王妃が設けた宴会に、私のほかはだれも王といっしょに来させなかった。あすもまた、私は王といっしょに王妃に招かれている。

13 しかし、私が、王の門のところにすわっているあのユダヤ人モルデカイを見なければならない間は、これらのことはいっさい私のためにならない。」

14 すると、彼の妻ゼレシュとすべての友人たちは、彼に言った。「高さ五十キュビトの柱を立てさせ、あしたの朝、王に話して、モルデカイをそれにかけ、それから、王といっしょに喜んでその宴会においでなさい。」この進言はハマンの気に入ったので、彼はその柱を立てさせた。

エステル記 4章

エステル記 4章


1 モルデカイは、なされたすべてのことを知った。すると、モルデカイは着物を引き裂き、荒布をまとい、灰をかぶり、大声でひどくわめき叫びながら町の真ん中に出て行き、

2 王の門の前まで来た。だれも荒布をまとったままでは、王の門に入ることができなかったからである。

3 王の命令とその法令が届いたどの州においても、ユダヤ人のうちに大きな悲しみと、断食と、泣き声と、嘆きとが起こり、多くの者は荒布を着て灰の上にすわった。

4 そのとき、エステルの侍女たちと、その宦官たちが入って来て、彼女にこのことを告げたので、王妃はひどく悲しみ、モルデカイに着物を送って、それを着させ、荒布をぬがせようとしたが、彼はそれを受け取らなかった。

5 そこでエステルは、王の宦官のひとりで、王が彼女に仕えさせるために任命していたハタクを呼び寄せ、モルデカイのところへ行って、これはどういうわけか、また何のためかと聞いて来るように命じた。

6 それで、ハタクは王の門の前の町の広場にいるモルデカイのところに出て行った。

7 モルデカイは自分の身に起こったことを全部、彼に告げ、ハマンがユダヤ人を滅ぼすために、王の金庫に納めると約束した正確な金額をも告げた。

8 モルデカイはまた、ユダヤ人を滅ぼすためにシュシャンで発布された法令の文書の写しをハタクに渡し、それをエステルに見せて、事情を知らせてくれと言い、また、彼女が王のところに行って、自分の民族のために王にあわれみを求めるように彼女にいいつけてくれと頼んだ。

9 ハタクは帰って来て、モルデカイの伝言をエステルに伝えた。

10 するとエステルはハタクに命じて、モルデカイにこう伝えさせた。

11 「王の家臣も、王の諸州の民族もみな、男でも女でも、だれでも、召されないで内庭に入り、王のところに行く者は死刑に処せられるという一つの法令があることを知っております。しかし、王がその者に金の笏を差し伸ばせば、その者は生きます。でも、私はこの三十日間、まっだ、王のところへ行くようにと召されていません。」

12 彼がエステルのことばをモルデカイに伝えると、

13 モルデカイはエステルに返事を送って言った。「あなたはすべてのユダヤ人から離れて王宮にいるから助かるだろうと考えてはならない。

14 もし、あなたがこのような時に沈黙を守るなら、別の所から、助けと救いがユダヤ人のために起ころう。しかしあなたも、あなたの父の家も滅びよう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。」

15 エステルはモルデカイに返事を送って言った。

16 「行って、シュシャンにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食をしてください。三日三晩、食べたり飲んだりしないように。私も、私の侍女たちも、同じように断食をしましょう。たとい法令にそむいても私は王のところへまいります。私は、死ななければならないのでしたら、死にます。」

17 そこで、モルデカイは出て行って、エステルが彼に命じたとおりにした。

エステル記 3章

エステル記 3章


1 この出来事の後、アハシュエロス王は、アガグ人ハメダタの子ハマンを重んじ、彼を昇進させて、その席を、彼とともにいるすべての首長たちの上に置いた。

2 それで、王の門のところにいる王の家来たちはみな、ハマンに対してひざをかがめてひれ伏した。王が彼についてこのように命じたからである。しかし、モルデカイはひざもかがめず、ひれ伏そうともしなかった。

3 王の門のところにいる王の家来たちはモルデカイに、「あなたはなぜ、王の命令にそむくのか」と言った。

4 彼らは、毎日そう言ったが、モルデカイが耳を貸さなかったので、モルデカイのこの態度が続けられてよいものかどうかを見ようと、これをハマンに告げた。モルデカイは自分がユダヤ人であることを彼らに打ち明けていたからである。

5 ハマンはモルデカイが自分に対してひざもかがめず、ひれ伏そうともしないのを見て、憤りに満たされた。

6 ところが、ハマンはモルデカイひとりに手を下すことだけで満足しなかった。彼らがモルデカイの民族のことを、ハマンに知らせていたからである。それでハマンは、アハシュエロスの王国中のすべてのユダヤ人、すなわちモルデカイの民族を、根絶やしにしようとした。

7 アハシュエロス王の第十二年の第一の月、すなわちニサンの月に、日と月とを決めるためにハマンの前で、プル、すなわちくじが投げられ、くじは第十二の月、すなわちアダルの月に当たった。

8 ハマンはアハシュエロス王に言った。「あなたの王国のすべての州にいる諸民族の間に、散らされて離れ離れになっている一つの民族がいます。彼らの法令は、どの民族のものとも違っていて、彼らは王の法令を守っていません。それで、彼らをそのままにさせておくことは、王のためになりません。

9 もしも王さま、よろしければ、彼らを滅ぼすようにと書いてください。私はその仕事をする者たちに銀一万タラントを量って渡します。そうして、それを王の金庫に納めさせましょう。」

10 そこで、王は自分の手から指輪をはずして、アガグ人ハメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンに、それを渡した。

11 そして、王はハマンに言った。「その銀はあなたに授けよう。また、その民族もあなたの好きなようにしなさい。」

12 そこで、第一の月の十三日に、王の書記官が召集され、ハマンが、王の太守や、各州を治めている総督や、各民族の首長たちに命じたことが全部、各州にはその文字で、各民族にはそのことばでしるされた。それは、アハシュエロスの名で書かれ、王の指輪で印が押された。

13 書簡は急使によって王のすべての州へ送られた。それには、第十二の月、すなわちアダルの月の十三日の一日のうちに、若い者も年寄りも、子どもも女も、すべてのユダヤ人を根絶やしにし、殺害し、滅ぼし、彼らの家財をかすめ奪えとあった。

14 各州に法令として発布される文書の写しが、この日の準備のために、すべての民族に公示された。

15 急使は王の命令によって急いで出て行った。この法令はシュシャンの城でも発布された。このとき、王とハマンは酒をくみかわしていたが、シュシャンの町は混乱に陥った。

エステル記 2章

エステル記 2章


1 この出来事の後、アハシュエロス王の憤りがおさまると、王は、ワシュティのこと、彼女のしたこと、また、彼女に対して決められたことを思い出した。

2 そのとき、王に仕える若い者たちは言った。「王のために容姿の美しい未婚の娘たちを捜しましょう。

3 王は、王国のすべての州に役人を任命し、容姿の美しい未婚の娘たちをみな、シュシャンの城の婦人部屋に集めさせ、女たちの監督官である王の宦官ヘガイの管理のもとに置き、化粧に必要な品々を彼女たちに与えるようにしてください。

4 そして、王のお心にかなうおとめをワシュティの代わりに王妃としてください。」このことは王の心にかなったので、彼はそのようにした。

5 シュシャンの城にひとりのユダヤ人がいた。その名をモルデカイといって、ベニヤミン人キシュの子シムイの子ヤイルの子であった。

6 このキシュは、バビロンの王ネブカデネザルが捕らえ移したユダの王エコヌヤといっしょに捕らえ移された捕囚の民とともに、エルサレムから捕らえ移された者であった。

7 モルデカイはおじの娘ハダサ、すなわち、エステルを養育していた。彼女には父も母もいなかったからである。このおとめは、姿も顔だちも美しかった。彼女の父と母が死んだとき、モルデカイは彼女を引き取って自分の娘としたのである。

8 王の命令、すなわちその法令が伝えられて、多くのおとめたちがシュシャンの城に集められ、ヘガイの管理のもとに置かれたとき、エステルも王宮に連れて行かれて、女たちの監督官ヘガイの管理のもとに置かれた。

9 このおとめは、ヘガイの心にかない、彼の好意を得た。そこで、彼は急いで化粧に必要な品々とごちそうを彼女に与え、また王宮から選ばれた七人の侍女を彼女にあてがった。そして、ヘガイは彼女とその侍女たちを、婦人部屋の最も良い所に移した。

10 エステルは自分の民族をも、自分の生まれをも明かさなかった。モルデカイが、明かしてはならないと彼女に命じておいたからである。

11 モルデカイは毎日婦人部屋の庭の前を歩き回り、エステルの安否と、彼女がどうされるかを知ろうとしていた。

12 おとめたちは、婦人の規則に従って、十二か月の期間が終わって後、ひとりずつ順番にアハシュエロス王のところに、入って行くことになっていた。これは、準備の期間が、六か月は没薬の油で、次の六か月は香料と婦人の化粧に必要な品々で化粧することで終わることになっていたからである。

13 このようにして、おとめが王のところに入って行くとき、おとめの願うものはみな与えられ、それを持って婦人部屋から王宮に行くことができた。

14 おとめは夕方入って行き、朝になると、ほかの婦人部屋に帰っていた。そこは、そばめたちの監督官である王の宦官シャアシュガズの管理のもとにあった。そこの女は、王の気に入り、指名されるのでなければ、二度と王のところには行けなかった。

15 さて、モルデカイが引き取って、自分の娘とした彼のおじアビハイルの娘エステルが、王のところに入って行く順番が来たとき、彼女は女たちの監督官である王の宦官ヘガイの勧めたもののほかは、何一つ求めなかった。こうしてエステルは、彼女を見るすべての者から好意を受けていた。

16 エステルがアハシュエロス王の王宮に召されたのは、王の治世の第七年の第十の月、すなわちテベテの月であった。

17 王はほかのどの女たちよりもエステルを愛した。このため、彼女はどの娘たちよりも王の好意と恵みを受けた。こうして、王はついに王冠を彼女の頭に置き、ワシュティの代わりに彼女を王妃とした。

18 それから、王はすべての首長と家臣たちの大宴会、すなわち、エステルの宴会を催し、諸州には休日を与えて、王の勢力にふさわしい贈り物を配った。

19 娘たちが二度目に集められたとき、モルデカイは王の門のところにすわっていた。

20 エステルは、モルデカイが彼女に命じていたように、まだ自分の生まれをも、自分の民族をも明かしていなかった。エステルはモルデカイに養育されていた時と同じように、彼の言いつけに従っていた。

21 そのころ、モルデカイが王の門のところにすわっていると、入口を守っていた王のふたりの宦官ビグタンとテレシュが怒って、アハシュエロス王を殺そうとしていた。

22 このことがモルデカイに知れたので、彼はこれを王妃エステルに知らせた。エステルはこれをモルデカイの名で王に告げた。

23 このことが追求されて、その事実が明らかになったので、彼らふたりは木にかけられた。このことは王の前の年代記の書に記録された。

エステル記 1章

エステル記 1章


1 アハシュエロスの時代のこと―このアハシュエロスは、ホドからクシュまで百二十七州を治めていた―

2 アハシュエロス王がシュシャンの城で、王座に着いていたころ、

3 その治世の第三年に、彼はすべての首長と家臣たちのために宴会を催した。それにはペルシヤとメディヤの有力者、貴族たちおよび諸州の首長たちが出席した。

4 そのとき、王は輝かしい王国の富と、そのきらびやかな栄誉を幾日も示して、百八十日に及んだ。

5 この期間が終わると、王はシュシャンの城にいた身分の高い者から低い者に至るまですべての民のために、七日間、王宮の園の庭で、宴会を催した。

6 そこには白綿布や青色の布が、白や紫色の細ひもで大理石の柱の銀の輪に結びつけられ、金と銀でできた長いすが、緑色石、白大理石、真珠貝や黒大理石のモザイクの床の上に置かれていた。

7 彼は金の杯で酒をふるまったが、その杯は一つ一つ違っていた。そして王の勢力にふさわしく王室の酒がたくさんあった。

8 それを飲むとき、法令によって、だれも強いられなかった。だれでもめいめい自分の好みのままにするようにと、王が宮殿のすべての役人に命じておいたからである。

9 王妃ワシュティも、アハシュエロス王の王宮で婦人たちのために宴会を催した。

10 七日目に、王は酒で心が陽気になり、アハシュエロス王に仕える七人の宦官メフマン、ビゼタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスに命じて、

11 王妃ワシュティに王冠をかぶらせ、彼女を王の前に連れて来るようにと言った。それは、彼女の容姿が美しかったので、その美しさを民と首長たちに見せるためであった。

12 しかし、王妃ワシュティが宦官から伝えられた王の命令を拒んで来ようとしなかったので、王は非常に怒り、その憤りが彼のうちで燃え立った。

13 そこで王は法令に詳しい、知恵のある者たちに相談した。―このように、法令と裁判に詳しいすべての者に計るのが、王のならわしであった。

14 王の側近の者はペルシヤとメディヤの七人の首長たちカルシェナ、シェタル、アデマタ、タルシシュ、メレス、マルセナ、メムカンで、彼らは王と面接ができ、王国の最高の地位についていた―

15 「王妃ワシュティは、宦官によって伝えられたアハシュエロス王の命令に従わなかったが、法令により、彼女をどう処分すべきだろうか。」

16 メムカンは王と首長たちの前で答えた。「王妃ワシュティは王ひとりにではなく、すべての首長とアハシュエロス王のすべての州の全住民にも悪いことをしました。

17 なぜなら、王妃の行いが女たちみなに知れ渡り、『アハシュエロス王が王妃ワシュティに王の前に来るように命じたが、来なかった』と言って、女たちは自分の夫を軽く見るようになるでしょう。

18 きょうにでも、王妃のことを聞いたペルシヤとメディヤの首長の夫人たちは、王のすべての首長たちに、このことを言って、ひどい軽蔑と怒りが起こることでしょう。

19 もしも王によろしければ、ワシュティはアハシュエロス王の前に出てはならないという勅令をご自身で出し、ペルシヤとメディヤの法令の中に書き入れて、変更することのないようにし、王は王妃の位を彼女よりもすぐれた婦人に授けてください。

20 王が出される詔勅が、この大きな王国の隅々まで告げ知らされると、女たちは、身分の高い者から低い者に至るまでみな、自分の夫を尊敬するようになりましょう。」

21 この進言は、王と首長たちの心にかなったので、王はメムカンの言ったとおりにした。

22 そこで王は、王のすべての州に書簡を送った。各州にはその文字で、各民族にはそのことばで書簡を送り、男子はみな、一家の主人となること、また、自分の民族のことばで話すことを命じた。

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ネヘミヤ記 第1章
ネヘミヤ記 第2章
ネヘミヤ記 第3章
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