2010年11月25日木曜日

サムエル記 第二 1章

サムエル記 第二 1章


1 サウルの死後、ダビデはアマレク人を打ち破って帰り、二日間、ツィケラグに滞在した。

2 三日目に、突然、ひとりの男がサウルの陣営からやって来た。その着物は裂け、頭には土をかぶっていた。彼は、ダビデのところに来ると、地にひれ伏して礼をした。

3 ダビデは言った。「どこから来たのか。」彼はダビデに言った。「イスラエルの陣営からのがれて来ました。」

4 ダビデは彼に言った。「状況はどうか、話してくれ。」すると彼は言った。「民は戦場から逃げ、また民の多くは倒れて死に、サウルも、その子ヨナタンも死にました。」

5 ダビデは、その報告をもたらした若者に言った。「サウルとその子ヨナタンが死んだことを、どうして知ったのか。」

6 報告をもたらした若者は言った。「私は、たまたま、ギルボア山にいましたが、ちょうどその時、サウルは槍にもたれ、戦車と騎兵があの方に押し迫っていました。

7 サウルが振り返って、私を見て呼びましたが、私が『はい』と答えると、

8 サウルは私に、『おまえはだれだ』と言いましたので、『私はアマレク人です』と答えますと、

9 サウルが、『さあ、近寄って、私を殺してくれ。まだ息があるのに、ひどいけいれんが起こった』と言いました。

10 そこで私は近寄って、あの方を殺しました。もう倒れて生きのびることができないとわかったからです。私はその頭にあった王冠と、腕についていた腕輪を取って、ここに、あなたさまのところに持ってまいりました。」

11 すると、ダビデは自分の衣をつかんで裂いた。そこにいた家来たちもみな、そのようにした。

12 彼らは、サウルのため、その子ヨナタンのため、また、主の民のため、イスラエルの家のためにいたみ悲しんで泣き、夕方まで断食した。彼らが剣に倒れたからである。

13 ダビデは自分に報告した若者に言った。「おまえはどこの者か。」若者は答えた。「私はアマレク人で、在留異国人の子です。」

14 ダビデは言った。「主に油そそがれた方に、手を下して殺すのを恐れなかったとは、どうしたことか。」

15 ダビデは若者のひとりを呼んで言った。「近寄って、これを打て。」そこで彼を打ち殺した。

16 そのとき、ダビデは彼に言った。「おまえの血は、おまえの頭にふりかかれ。おまえ自身の口で、『私は主に油そそがれた方を殺した』と言って証言したからである。」

17 ダビデは、サウルのため、その子ヨナタンのために、この哀歌を作り、

18 この弓の歌をユダの子らに教えるように命じた。これはヤシャルの書にしるされている。

19 「イスラエルの誉れは、おまえの高き所で殺された。ああ、勇士たちは倒れた。

20 これをガテに告げるな。アシュケロンのちまたに告げ知らせるな。ペリシテ人の娘らを喜ばせないために。割礼のない者の娘らを勝ち誇らせないために。

21 ギルボアの山々よ。お前たちの上に、露は降りるな。雨も降るな。いけにえがささげられた野の上にも。そこでは勇士たちの盾は汚され、サウルの盾に油も塗られなかった。

22 ただ、殺された者の血、勇士たちのあぶらのほかは。ヨナタンの弓は、退いたことがなく、サウルの剣は、むなしく帰ったことがなかった。

23 サウルもヨナタンも、愛される、りっぱな人だった。生きているときにも、死ぬときにも離れることなく、鷲よりも早く、雄獅子よりも強かった。

24 イスラエルの娘らよ。サウルのために泣け。サウルは紅の薄絹をおまえたちにまとわせ、おまえたちの装いに金の飾りをつけてくれた。

25 ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンはおまえの高き所で殺された。

26 あなたのために私は悲しむ。私の兄弟ヨナタンよ。あなたは私を大いに喜ばせ、あなたの私への愛は、女の愛にもまさって、すばらしかった。

27 ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器はうせた。」

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