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2010年12月17日金曜日

マタイの福音書 index

マタイの福音書 第1章
マタイの福音書 第2章
マタイの福音書 第3章
マタイの福音書 第4章
マタイの福音書 第5章
マタイの福音書 第6章
マタイの福音書 第7章
マタイの福音書 第8章
マタイの福音書 第9章
マタイの福音書 第10章
マタイの福音書 第11章
マタイの福音書 第12章
マタイの福音書 第13章
マタイの福音書 第14章
マタイの福音書 第15章
マタイの福音書 第16章
マタイの福音書 第17章
マタイの福音書 第18章
マタイの福音書 第19章
マタイの福音書 第20章
マタイの福音書 第21章
マタイの福音書 第22章
マタイの福音書 第23章
マタイの福音書 第24章
マタイの福音書 第25章
マタイの福音書 第26章
マタイの福音書 第27章
マタイの福音書 第28章

マタイの福音書 28章

マタイの福音書 28章


1 さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方、マグダラのマリヤと、ほかのマリヤが墓を見に来た。

2 すると、大きな地震が起こった。それは、主の使いが天から降りて来て、石をわきへころがして、その上にすわったからである。

3 その顔は、いなずまのように輝き、その衣は雪のように白かった。

4 番兵たちは、御使いを見て恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。

5 すると、御使いは女たちに言った。「恐れてはいけません。あなたがたが十字架につけられたイエスを捜しているのを、私は知っています。

6 ここにはおられません。前から言っておられたように、よみがえられたからです。来て、納めてあった場所を見てごらんなさい。

7 ですから急いで行って、お弟子たちにこのことを知らせなさい。イエスが死人の中からよみがえられたこと、そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれ、あなたがたは、そこで、お会いできるということです。では、これだけはお伝えしました。」

8 そこで、彼女たちは、恐ろしくはあったが大喜びで、急いで墓を離れ、弟子たちに知らせに走って行った。

9 すると、イエスが彼女たちに出会って、「おはよう」と言われた。彼女たちは近寄って御足を抱いてイエスを拝んだ。

10 すると、イエスは言われた。「恐れてはいけません。行って、わたしの兄弟たちに、ガリラヤに行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのです。」

11 女たちが行き着かないうちに、もう、数人の番兵が都に来て、起こった事を全部、祭司長たちに報告した。

12 そこで、祭司長たちは民の長老たちとともに集まって協議し、兵士たちに多額の金を与えて、

13 こう言った。「『夜、私たちが眠っている間に、弟子たちがやって来て、イエスを盗んで行った』と言うのだ。

14 もし、このことが総督の耳に入っても、私たちがうまく説得して、あなたがたには心配をかけないようにするから。」

15 そこで、彼らは金をもらって、指図されたとおりにした。それで、この話が広くユダヤ人の間に広まって今日に及んでいる。

16 しかし、十一人の弟子たちは、ガリラヤに行って、イエスの指示された山に登った。

17 そして、イエスにお会いしたとき、彼らは礼拝した。しかし、ある者は疑った。

18 イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても、地においても、いっさいの権威が与えられています。

19 それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、

20 また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい。見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」

マタイの福音書 27章

マタイの福音書 27章


1 さて、夜が明けると、祭司長、民の長老たち全員は、イエスを死刑にするために協議した。

2 それから、イエスを縛って連れ出し、総督ピラトに引き渡した。

3 そのとき、イエスを売ったユダは、イエスが罪に定められたのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して、

4 「私は罪を犯した。罪のない人の血を売ったりして」と言った。しかし、彼らは「私たちの知ったことか。自分で始末することだ」と言った。

5 それで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして、外に出て行って、首をつった。

6 祭司長たちは銀貨を取って、「これを神殿の金庫に入れるのはよくない。血の代価だからだ」と言った。

7 彼らは相談して、その金で陶器師の畑を買い、旅人たちの墓地にした。

8 それで、その畑は、今でも血の畑と呼ばれている。

9 そのとき、預言者エレミヤを通して言われた事が成就した。「彼らは銀貨三十枚を取った。イスラエルの人々に値積もりされた人の値段である。

10 彼らは、主が私にお命じになったように、その金を払って、陶器師の畑を買った。」

11 さて、イエスは総督の前に立たれた。すると、総督はイエスに「あなたは、ユダヤ人の王ですか」と尋ねた。イエスは彼に「そのとおりです」と言われた。

12 しかし、祭司長、長老たちから訴えがなされたときは、何もお答えにならなかった。

13 そのとき、ピラトはイエスに言った。「あんなにいろいろとあなたに不利な証言をしているのに、聞こえないのですか。」

14 それでも、イエスは、どんな訴えに対しても一言もお答えにならなかった。それには総督も非常に驚いた。

15 ところで総督は、その祭りには、群集のために。いつも望みの囚人をひとりだけ赦免してやっていた。

16 そのころ、バラバという名の知れた囚人が捕らえられていた。

17 それで、彼らが集まったとき、ピラトが言った。「あなたがたは、だれを釈放してほしいのか。バラバか、それともキリストと呼ばれているイエスか。」

18 ピラトは、彼らがねたみからイエスを引き渡したことに気づいていたのである。

19 また、ピラトが裁判の席に着いていたとき、彼の妻が彼のもとに人をやって言わせた。「あの正しい人にはかかわり合わないでください。ゆうべ、私は夢で、あの人のことで苦しいめに会いましたから。」

20 しかし、祭司長、長老たちは、バラバのほうを願うよう、そして、イエスを死刑にするよう、群集を説きつけた。

21 しかし、総督は彼らに答えて言った。「あなたがたは、ふたりのうちどちらを釈放してほしいのか。」彼らは言った。「バラバだ。」

22 ピラトは彼らに言った。「では、キリストと言われているイエスを私はどのようにしようか。」彼らはいっせいに言った。「十字架につけろ。」

23 だば、ピラトは言った。「あの人がどんな悪い事をしたというのか。」しかし、彼らはますます激しく「十字架につけろ」と叫び続けた。

24 そこでピラトは、自分では手の下しようがなく、かえって暴動になりそうなのを見て、群衆の目の前で水を取り寄せ、手を洗って、言った。「この人の血について、私には責任がない。自分たちで始末するがよい。」

25 すると、民衆はみな答えて言った。「その人の血は、私たちや子どもたちの上にかかってもいい。」

26 そこで、ピラトは彼らのためにバラバを釈放し、イエスをむち打ってから、十字架につけるために引き渡した。

27 それから、総督の兵士たちは、イエスを官邸の中に連れて行って、イエスの回りに全部隊を集めた。

28 そして、イエスの着物を脱がせて、緋色の上着を着せた。

29 それから、いばらで冠を編み、頭にかぶらせ、右手に葦を持たせた。そして、彼らはイエスの前にひざまずいて、からかって言った。「ユダヤ人の王さま。ばんざい。」

30 また彼らはイエスにつばきをかけ、葦を取り上げてイエスの頭をたたいた。

31 こんなふうに、イエスをからかったあげく、その着物を脱がせて、もとの着物を着せ、十字架につけるために連れ出した。

32 そして、彼らが出て行くと、シモンというクレネ人を見つけたので、彼らは、この人にイエスの十字架を、むりやりに背負わせた。

33 ゴルゴタという所(「どくろ」と言われている場所)に来てから、

34 彼らはイエスに、苦みを混ぜたぶどう酒をのませようとした。イエスはそれをなめただけで、飲もうとはされなかった。

35 こうして、イエスを十字架につけてから、彼らはくじを引いて、イエスの着物を分け、

36 そこにすわって、イエスの見張りをした。

37 また、イエスの頭の上には、「これはユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを掲げた。

38 そのとき、イエスといっしょに、ふたりの強盗が、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけられた。

39 道を行く人々は、頭を振りながらイエスをののしって、

40 言った。「神殿を打ちこわして三日で建てる人よ。もし、神の子なら、自分を救ってみろ。十字架から降りて来い。」

41 同じように、祭司長たちも律法学者、長老たちといっしょになって、イエスをあざけって言った。

42 「彼は他人を救ったが、自分は救えない。イスラエルの王だ。今、十字架から降りてもらおうか。そうしたら、われわれは信じるから。

43 彼は神により頼んでいる。もし神のお気に入りなら、いま救っていただくがいい。『わたしは神の子だ』と言っているのだから。

44 イエスといっしょに十字架につけられた強盗どもも、同じようにイエスをののしった。

45 さて、十二時から、全地が暗くなって、三時まで続いた。

46 三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれた。これは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。

47 すると、それを聞いて、そこに立っていた人々のうち、ある人たちは、「この人はエリヤを呼んでいる」と言った。

48 また、彼らのひとりがすぐ走って行って、海綿を取り、それに酸いぶどう酒を含ませて、葦の棒につけ、イエスに飲ませようとした。

49 ほかの者たちは、「私たちはエリヤが助けに来るかどうかみることとしよう」と言った。

50 そのとき、イエスはもう一度大声で叫んで、息を引き取られた。

51 すると、見よ。神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。そして、地が揺れ動き、岩が裂けた。

52 また、墓が開いて、眠っていた多くの聖徒たちのからだが生き返った。

53 そして、イエスの復活の後に墓から出て来て、聖都に入って多くの人に現れた。

54 百人隊長および彼といっしょにイエスの見張りをしていた人々は、地震やいろいろの出来事を見て、非常な恐れを感じ、「この方はまことに神の子であった」と言った。

55 そこには、遠くからながめている女たちがたくさんいた。イエスに仕えてガリラヤからついて来た女たちであった。

56 その中に、マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、ゼベダイの子らの母がいた。

57 夕方になって、アリマタヤの金持ちでヨセフという人が来た。彼もイエスの弟子になっていた。

58 この人はピラトのところに行って、イエスのからだの下げ渡しを願った。そこで、ピラトは、渡すように命じた。

59 ヨセフはそれを取り降ろして、きれいな亜麻布に包み、

60 岩を掘って造った自分の新しい墓に納めた。墓の入口には大きな石をころがしかけて帰った。

61 そこにはマグダラのマリヤとほかのマリヤとが墓のほうを向いてすわっていた。

62 さて、次の日、すなわち備えの日の翌日、祭司長、パリサイ人たちはピラトのところに集まって、

63 こう言った。「閣下。あの、人をだます男がまだ生きていたとき、『自分は三日の後によみがえる』と言っていたのを思い出しました。

64 ですから、三日目まで墓の番をするように命じてください。そうでないと、弟子たちが来て、彼を盗み出して、『死人の中からよみがえった』と民衆に言うかもしれません。そうなると、この惑わしのほうが、前の場合より、もっとひどいことになります。」

65 ピラトは「番兵を出してやるから、行ってできるだけの番をさせるがよい」と彼らに言った。

66 そこで、彼らは行って、石に封印をし、番兵が墓の番をした。

マタイの福音書 26章

マタイの福音書 26章


1 イエスは、これらの話をすべて終えると、弟子たちに言われた。

2 「あなたがたの知っているとおり、二日たつと過越の祭りになります。人の子は十字架につけられるために引き渡されます。」

3 そのころ、祭司長、民の長老たちは、カヤパという大祭司の家の庭に集まり、

4 イエスをだまして捕らえ、殺そうと相談した。

5 しかし、彼らは、「祭りの間はいけない。民衆の騒ぎがおこるといけないから」と話していた。

6 さて、イエスがベタニヤで、ツァラアトに冒された人シモンの家におられると、

7 ひとりの女がたいへん高価な香油の入った石膏のつぼを持ってみもとに来て、食卓に着いておられたイエスの頭に香油を注いだ。

8 弟子たちはこれを見て、憤慨して言った。「何のために、こんなむだなことをするのか。

9 この香油なら、高く売れて、貧しい人たちに施しができたのに。」

10 するとイエスはこれを知って、彼らに言われた。「なぜ、この女を困らせるのです。わたしに対してりっぱなことをしてくれたのです。

11 貧しい人たちは、いつもあなたがたといっしょにいます。しかし、わたしは、いつもあなたがたといっしょにいるわけではありません。

12 この女が、この香油をわたしのからだに注いだのは、わたしの埋葬の用意をしてくれたのです。

13 まことに、あなたがたに告げます。世界中のどこででも、この福音が宣べ伝えられる所なら、この人のした事も語られて、この人の記念となるでしょう。」

14 そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテ・ユダという者が、祭司長たちのところへ行って、

15 こう言った。「彼をあなたがたに売るとしたら、いったいいくらくれますか。」すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。

16 そのときから、彼はイエスを引き渡す機会をねらっていた。

17 さて、種なしパンの祝いの第一日に、弟子たちがイエスのところに来て言った。「過越の食事をなさるのに、私たちはどこで用意をしましょうか。」

18 イエスは言われた。「都に入って、これこれの人のところに行って、『先生が「わたしの時が近づいた。わたしの弟子たちといっしょに、あなたのところで過越を守ろう」と言っておられる』と言いなさい。」

19 そこで、弟子たちはイエスの言いつけられたとおりにして、過越の食事の用意をした。

20 さて、夕方になって、イエスは十二弟子といっしょに食卓に着かれた。

21 みなが食事をしているとき、イエスは言われた。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたのうちひとりが、わたしを裏切ります。」

22 すると、弟子たちは非常に悲しんで、「主よ。まさか私のことではないでしょう」とかわるがわるイエスに言った。

23 イエスは答えて言われた。「わたしといっしょに鉢に手を浸した者が、わたしを裏切るのです。

24 確かに、人の子は、自分について書いてあるとおりに、去って行きます。しかし、人の子を裏切るような人間はわざわいです。そういう人は生まれなかったほうがよかったのです。」

25 すると、イエスを裏切ろうとしていたユダが答えて言った。「先生。まさか私のことではないでしょう。」イエスは彼に「いや、そうだ」と言われた。

26 また、彼らが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、弟子たちに与えて言われた。「取って食べなさい。これはわたしのからだです。」

27 また杯を取り、感謝をささげて後、こう言って彼らにお与えになった。「みな、この杯から飲みなさい。

28 これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるものです。

29 ただ、言っておきます。わたしの父の御国で、あなたがたと新しく飲むその日までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。」

30 そして、賛美の歌を歌ってから、みなオリーブ山へ出かけて行った。

31 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたはみな、今夜、わたしのゆえにつまずきます。『わたしが羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散り散りになる』と書いてあるからです。

32 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きます。」

33 すると、ペテロがイエスに答えて言った。「たとい全部の者があなたのゆえにつまずいても、私は決してつまずきません。」

34 イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに告げます。今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度、わたしを知らないと言います。」

35 ペテロは言った。「たとい、ごいっしょに死ななければならないとしても、私は、あなたを知らないなどとは決して申しません。」弟子たちはみなそう言った。

36 それからイエスは弟子たちといっしょにゲツセマネという所に来て、彼らに言われた。「わたしがあそこに行って祈っている間、ここにすわっていなさい。」

37 それから、ペテロとゼベダイの子ふたりとをいっしょに連れて行かれたが、イエスは悲しみもだえ始められた。

38 そのとき、イエスは彼らに言われた。「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここを離れないで、わたしといっしょに目をさましていなさい。」

39 それから、イエスは少し進んで行って、ひれ伏して祈って言われた。「わが父よ。できますならば、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願うようにではなく、あなたのみこころのように、なさってください。」

40 それから、イエスは弟子たちのところに戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「あなたがたは、そんなに一時間でも、わたしといっしょに目をさましていることができなかったのか。

41 誘惑に陥らないように、目をさまして、祈っていなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」

42 イエスは二度目に離れて行き、祈って言われた。「わが父よ。どうしても飲まずには済まされぬ杯でしたら、どうぞみこころのとおりをなさってください。」

43 イエスが戻って来て、ご覧になると、彼らはまたも眠っていた。目をあけていることができなかったのである。

44 イエスは、またも彼らを置いて行かれ、もう一度同じことをくり返して三度目の祈りをされた。

45 それから、イエスは弟子たちのところに来て言われた。「まだ眠って休んでいるのですか。見なさい。時が来ました。人の子は罪人たちの手に渡されるのです。

46 立ちなさい。さあ、行くのです。見なさい。わたしを裏切る者が近づきました。」

47 イエスがまだ話しておられるうちに、見よ、十二弟子のひとりであるユダがやって来た。剣や棒を手にした大ぜいの群集もいっしょであった。群衆はみな、祭司長、民の長老たちから差し向けられたものであった。

48 イエスを裏切る者は、彼らと合図を決めて、「私が口づけをするのが、その人だ。その人をつかまえるのだ」と言っておいた。

49 それで、彼はすぐにイエスに近づき、「先生。お元気で」と言って、口づけした。

50 イエスは彼に「友よ。何のために来たのですか」と言われた。そのとき、群集が来て、イエスに手をかけて捕らえた。

51 すると、イエスといっしょにいた者のひとりが、手を伸ばして剣を抜き、大祭司のしもべに撃ってかかり、その耳を切り落とした。

52 そのとき、イエスは彼に言われた。「剣をもとに納めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます。

53 それとも、わたしが父にお願いして、十二軍団よりも多くの御使いを、今わたしの配下に置いていただくことができないとでも思うのですか。

54 だが、そのようなことをすれば、こうならなければならないと書いてある聖書が、どうして実現されましょう。」

55 そのとき、イエスは群集に言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持ってわたしをつかまえに来たのですか。わたしは毎日、宮ですわって教えていたのに、あなたがたは、わたしを捕らえなかったのです。

56 しかし、すべてこうなったのは、預言者たちの書が実現するためです。」そのとき、弟子たちはみな、イエスを見捨てて、逃げてしまった。

57 イエスをつかまえた人たちは、イエスを大祭司カヤパのところへ連れて行った。そこには、律法学者、長老たちが集まっていた。

58 しかし、ペテロも遠くからイエスのあとをつけながら、大祭司の中庭まで入って行き、成り行きを見ようと役人たちといっしょにすわった。

59 さて、祭司長たちと全議会は、イエスを死刑にするために、イエスを訴える偽証を求めていた。

60 偽証者がたくさん出て来たが、証拠はつかめなかった。しかし、最後にふたりの者が進み出て、

61 言った。「この人は、『わたしは神の神殿をこわして、それを三日のうちに建て直せる』と言いました。」

62 そこで、大祭司は立ち上がってイエスに言った。「何も答えないのですか。この人たちが、あなたに不利な証言をしていますが、これはどうなのですか。」

63 しかし、イエスは黙っておられた。それで大祭司はイエスに言った。「私は、生ける神によって、あなたに命じます。あなたは神の子キリストなのか、どうか。その答えを言いなさい。」

64 イエスは彼に言われた。「あなたの言うとおりです。なお、あなたがたに言っておきますが、今からのち、人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見ることになります。」

65 すると、大祭司は、自分の衣を引き裂いて言った。「神への冒瀆だ。これでもまだ、証人が必要でしょうか。あなたがたは、今、神をけがすことばを聞いたのです。

66 どう考えますか。」彼らは答えて、「彼は死刑に当たる」と言った。

67 そうして、彼らはイエスの顔につばきをかけ、こぶしでなぐりつけ、また、他の者たちは、イエスを平手で打って、

68 こう言った。「当ててみろ。キリスト。あなたを打ったのはだれか。」

69 ペテロが外の中庭にすわっていると、女中のひとりが来て言った。「あなたも、ガリラヤ人イエスといっしょにいましたね。」

70 しかし、ペテロはみなの前でそれを打ち消して、「何を言っているのか、私にはわからない」と言った。

71 そして、ペテロが入口まで出て行くと、ほかの女中が、彼を見て、そこにいる人々に言った。「この人はナザレ人イエスといっしょでした。」

72 それで、ペテロは、またもそれを打ち消し、誓って、「そんな人は知らない」と言った。

73 しばらくすると、そのあたりにたっている人々がペテロに近寄って来て、「確かに、あなたもあの仲間だ。ことばのなまりではっきりわかる」と言った。

74 すると彼は「そんな人は知らない」と言って、のろいをかけて誓い始めた。するとすぐに、鶏が鳴いた。

75 そこでペテロは、「鶏が鳴く前に三度、あなたは、わたしを知らないと言います」とイエスの言われたあとのことばを思い出した。そうして、彼は出て行って、激しく泣いた。

マタイの福音書 25章

マタイの福音書 25章


1 そこで、天の御国は、たとえて言えば、それぞれがともしびを持って、花婿を出迎える十人の娘のようです。

2 そのうち五人は愚かで、五人は賢かった。

3 愚かな娘たちは、ともしびは持っていたが、油を用意しておかなかった。

4 賢い娘たちは、ともしびといっしょに、入れ物に油を入れて持っていた。

5 花婿が来るのが遅れたので、みな、うとうとして眠り始めた。

6 ところが、夜中になって、『そら、花婿だ。迎えに出よ』と叫ぶ声がした。

7 娘たちは、みな起きて、自分のともしびを整えた。

8 ところが愚かな娘たちは、賢い娘たちに言った。『油を少し私たちに分けてください。私たちのともしびは消えそうです。』

9 しかし、賢い娘たちは答えて言った。『いいえ、あなたがたに分けてあげるにはとうてい足りません。それよりも店に行って、自分のをお買いなさい。』

10 そこで、買いに行くと、その間に花婿が来た。用意のできていた娘たちは、彼といっしょに婚礼の祝宴に行き、戸がしめられた。

11 そのあとで、ほかの娘たちも来て、『ご主人さま、ご主人さま。あけてください。』と言った。

12 しかし、彼は答えて、『確かなところ、私はあなたがたを知りません』と言った。

13 だから、目をさましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないからです。

14 天の御国は、しもべたちを呼んで、自分の財産を預け、旅に出て行く人のようです。

15 彼は、おのおのその能力に応じて、ひとりには五タラント、ひとりにはニタラント、もうひとりには一タラントを渡し、それから旅に出かけた。

16 五タラント預かった者は、すぐに行って、それで商売をして、さらに五タラントもうけた。

17 同様に、ニタラント預かった者も、さらに二タラントもうけた。

18 ところが、一タラント預かった者は、出て行くと、地を掘って、その主人の金を隠した。

19 さて、よほどたってから、しもべたちの主人が帰って来て、彼らと清算した。

20 すると、五タラント預かった者が来て、もう五タラント差し出して言った。『ご主人さま。私に五タラント預けてくださいましたが、ご覧ください。私はさらに五タラントもうけました。』

21 その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

22 二タラントの者も来て言った。『ご主人さま。私は二タラント預かりましたが、ご覧ください。さらに二タラントもうけました。』

23 その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』

24 ところが、一タラント預かっていた者も来て、言った。『ご主人さま。あなたは、蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。

25 私はこわくなり、出て行って、あなたの一タラントを地の中に隠しておきました。さあどうぞ、これがあなたのものです。』

26 ところが、主人は彼に答えて言った。『悪いなまけ者のしもべだ。私が蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めることを知っていたというのか。

27 だったら、おまえはその私の金を、銀行に預けておくべきだった。そうすれば私は帰って来たときに、利息がついて返してもらえたのだ。

28 だから、そのタラントを彼から取り上げて、それを十タラント持っている者にやりなさい。』

29 だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は持っているものまでも取り上げられるのです。

30 役に立たぬしもべは、外の暗やみに追い出しなさい。そこで泣いて歯ぎしりするのです。

31 人の子が、その栄光を帯びて、すべての御使いたちを伴って来るとき、人の子はその栄光の位に着きます。

32 そして、すべての国々の民が、その御前に集められます。羊飼いが羊と山羊とを分けるように、彼らをより分け、

33 羊を自分の右に、山羊を左に置きます。

34 そうして、王は、その右にいる者たちに言います。『さあ、わたしの父に祝福された人たち。世の初めから、あなたがたのために備えられた御国を継ぎなさい。

35 あなたがたは、わたしが空腹であったとき、わたしに食べ物を与え、わたしが渇いていたときに、わたしに飲ませ、わたしが旅人であったときに、わたしに宿を貸し、

36 わたしが裸のとき、わたしに着る物を与え、わたしが病気をしたとき、わたしを見舞い、わたしが牢にいたとき、わたしをたずねてくれたからです。』

37 すると、その正しい人たちは、答えて言います。『主よ。いつ、私たちは、あなたが空腹なのを見て、食べる物を差し上げ、渇いておられるのを見て、飲ませてあげましたか。

38 いつ、あなたが旅をしておられるときに、泊まらせてあげ、裸なのを見て、着る物を差し上げましたか。

39 また、いつ、私たちは、あなたのご病気やあなたが牢におられるのを見て、おたづねしましたか。』

40 すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。』

41 それから、王はまた、その左にいる者たちに言います。『のろわれた者ども。わたしから離れて、悪魔とその使いたちのために用意された永遠の火に入れ。

42 おまえたちは、わたしが空腹であったとき、食べる物をくれず、渇いていたときにも飲ませず、

43 わたしが旅人であったときにも泊まらせず、裸であったときにも着る物をくれず、病気のときや牢にいたときにもたずねてくれなかった。』

44 そのとき、彼らも答えて言います。『主よ。いつ、私たちは、あなたが空腹であり、渇き、旅をし、裸であり、病気をし、牢におられるのを見て、お世話をしなかったのでしょうか。』

45 すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、おまえたちに告げます。おまえたちが、この最も小さい者たちのひとりにしなかったのは、わたしにしなかったのです。』

46 こうして、この人たちは永遠の刑罰に入り、正しい人たちは永遠のいのちに入るのです。」

マタイの福音書 24章

マタイの福音書 24章


1 イエスが宮を出て行かれるとき、弟子たちが近寄って来て、イエスに宮の建物をさし示した。

2 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「このすべての物に目をみはっているのでしょう。まことに、あなたがたに告げます。ここでは、石がくずされずに、積まれたまま残ることは決してありません。」

3 イエスがオリーブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」

4 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「人に惑わされないように気をつけなさい。

5 わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。

6 また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。これらは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。

7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。

8 しかし、そのようなことはみな、生みの苦しみの始めなのです。

9 そのとき、人々は、あなたがたを苦しいめに会わせ、殺します。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。

10 また、そのときは、人々が大ぜいつまづき、互いに裏切り、憎み合います。

11 また、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。

12 不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。

13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。

14 この御国の福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます。

15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)

16 そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。

17 屋上にいる者は家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。

18 畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。

19 だがその日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。

20 ただ、あなたがたの逃げるのが、冬や安息日にならぬよう祈りなさい。

21 そのときには、世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。

22 もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます。

23 そのとき、『そら、キリストがここにいる』とか、『そこにいる』とか言う者があっても、信じてはいけません。

24 にせキリスト、にせ預言者たちが現れて、できれば選民をも惑わそうとして、大きなしるしや不思議なことをして見せます。

25 さあ、わたしは、あなたがたに前もって話しました。

26 だから、たとい、『そら、荒野にいらっしゃる』と言っても、飛び出して行ってはいけません。『そら、へやにいらっしゃる』と聞いても、信じてはいけません。

27 人の子の来るのは、いなずまが東から出て、西にひらめくように、ちょうどそのように来るのです。

28 死体のある所には、はげたかが集まります。

29 だが、これらの日の苦難に続いてすぐに、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。

30 そのとき、人の子のしるしが天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。

31 人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。

32 いちじくの木から、たとえを学びなさい。枝が柔らかになって、葉が出て来ると、夏の近いことがわかります。

33 そのように、これらのことのすべてを見たら、あなたがたは、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。

34 まことに、あなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。

35 この天地は滅び去ります。しかし、わたしのことばは決して滅びることはありません。

36 ただし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。

37 人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。

38 洪水前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。

39 そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです。

40 そのとき、畑にいるふたりといると、ひとりは取られ、ひとりは残されます。

41 ふたりの女が臼をひいていると、ひとりは取られ、ひとりは残されます。

42 だから、目をさましていなさい。あなたがたは、自分の主がいつ来られるか、知らないからです。

43 しかし、このことは知っておきなさい。家の主人は、どろぼうが夜の何時に来ると知っていたら、目を見張っていたでしょうし、また、おめおめと自分の家に押し入られはしなかっしょう

44 だから、あなたがたも用心していなさい。なぜなら、人の子は、思いがけない時に来るのですから。

45 主人から、その家のしもべたちを任されて、食事時には彼らに食事をきちんとあたえるような忠実な賢いしもべとは、いったいだれでしょう。

46 主人が帰って来たときに、そのようにしているのを見られるしもべは幸いです。

47 まことに、あなたがたに告げます。その主人は彼に自分の全財産を任せるようになります。

48 ところが、それが悪いしもべで、『主人はまだまだ帰るまい』と心の中で思い、

49 その仲間を打ちたたき、酒飲みたちと飲んだり食べてりし始めていると、

50 そのしもべの主人は思いがけない日の思わぬ時間に帰ってきます。

51 そして、彼を厳しく罰して、その報いを偽善者たちと同じにするに違いありません。しもべはそこで泣いて歯ぎしりするのです。

マタイの福音書 23章

マタイの福音書 23章


1 そのとき、イエスは群集と弟子たちに話をして、

2 こう言われた。「律法学者、パリサイ人たちは、モーセの座を占めています。

3 ですから、彼らがあなたがたに言うことはみな、行い、守りなさい。けれども、彼らの行いをまねてはいけません。彼らは言うことは言うが、実行しないからです。

4 また、彼らは重い荷をくくって、人の肩に載せ、自分はそれに指一本さわろうとはしません。

5 彼らのしていることはみな、人に見せるためです。経札の幅を広くしたり、衣のふさを長くしたりするのもそうです。

6 また、宴会の上座や会堂での上座が大好きで、

7 広場であいさつされたり、人から先生と呼ばれたりすることが好きです。

8 しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはいけません。あなたがたの教師はただひとりしかなく、あなたがたはみな兄弟だからです。

9 あなたがたは地上のだれかを、われらの父と呼んではいけません。あなたがたの父はただひとり、すなわち天にいます父だけだからです。

10 また、師と呼ばれてはいけません。あなたがたの師はただひとり、キリストだからです。

11 あなたがたのうちの一番偉大な者は、あなたがたに仕える人でなければなりません。

12 だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます。

13 わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは人々から天の御国をさえぎっているのです。自分も入らず、入ろうとしている人々をも入らせません。

14 〔わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちはやもめの家を食いつぶし、見えのために長い祈りをしています。だから、おまえたちは人一倍ひどい罰を受けます。〕

15 わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは改宗者をひとりつくるのに、海と陸とを飛び回り、改宗者ができると、彼を自分より倍も悪いゲヘナの子にするのです。

16 わざわいだ。目の見えぬ手引きども。おまえたちは言う。『だれでも、神殿をさして誓ったのなら、何でもない。しかし、神殿の黄金をさして誓ったのなら、その誓いを果たさなければならない。』

17 愚かで、目の見えぬ者たち。黄金と、黄金を聖いものにする神殿と、どちらがたいせつなのか。

18 また、言う。『だれでも、祭壇をさして誓ったのなら、何でもない。しかし、祭壇の上の供え物をさして誓ったら、その誓いを果たさなければならない。』

19 目に見えぬ者たち。供え物と、その供え物を聖いものにする祭壇と、どちらがたいせつなのか。

20 だから、祭壇をさして誓う者は、祭壇をも、その上のすべての物をもさして誓っているのです。

21 また、神殿をさして誓う者は、神殿をも、その中に住まわれる方をもさして誓っているのです。

22 天をさして誓う者は、神の御座とそこに座しておられる方をさして誓うのです。

23 わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは、はっか、いのんど、クミンなどの十分の一を納めているが、律法の中でははるかに重要なもの、正義とあわれみと誠実を、おろそかにしているのです。これこそしなければならないことです。ただし、十分の一もおろそかにしてはいけません。

24 目の見えぬ手引きども。ぶよは、こして除くが、らくだは飲み込んでいます。

25 わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは杯や皿の外側はきよめるが、その中は強奪と放縦でいっぱいです。

26 目の見えぬパリサイ人たち。まず、杯の内側をきよめなさい。そうすれば、外側もきよくなります。

27 わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは白く塗った墓のようなものです。墓のその外側は美しく見えても、内側は、死人の骨や、あらゆる汚れたものがいっぱいです。

28 そのように、おまえたちも外側は人に正しく見えても、内側は偽善と不法でいっぱいです。

29 わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは預言者の墓を建て、義人の記念碑を飾って、

30 『私たちが、父祖たちの時代に生きていたら、預言者たちの血を流すような仲間にはならなかっただろう』と言います。

31 こうして、預言者を殺した者たちの子孫だと、自分で証言しています。

32 おまえたちも父祖たちの罪の目盛りの不足分を満たしなさい。

33 おまえたち蛇ども、まむしのすえども。おまえたちは、ゲヘナの刑罰をどうしてのがれることができよう。

34 だから、わたしが預言者、知者、律法学者たちを遣わすと、おまえたちはそのうちのある者を殺し、十字架につけ、またある者を会堂でむち打ち、町から町へと迫害して行くのです。

35 それは、義人アベルの血からこのかた、神殿と祭壇との間で殺されたバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上で流されるすべての正しい血の報復がおまえたちの上に来るためです。

36 まことに、おまえたちに告げます。これらの報いはみな、この時代の上に来ます。

37 ああ、エルサレム、エルサレム。預言者たちを殺し、自分に遣わされた人たちを石で打つ者。わたしは、めんどりがひなを翼の下に集めるように、あなたの子らを幾たび集めようとしたことか。それなのに、あなたがたはそれを好まなかった。

38 見なさい。あなたがたの家は荒れ果てたままに残される。

39 あなたがたに告げます。『祝福あれ。主の御名によって来られる方に』とあなたがたが言うときまで、あなたがたは今後決してわたしをみることはありません。」

マタイの福音書 22章

マタイの福音書 22章


1 イエスはもう一度たとえをもって彼らに話された。

2 「天の御国は、王子のために結婚の披露宴を設けた王にたとえることができます。

3 王は、招待しておいたお客を呼びに、しもべたちを遣わしたが、彼らは来たがらなかった。

4 それで、もう一度、次のように言いつけて、別のしもべたちを遣わした。『お客に招いておいた人たちにこう言いなさい。「さあ、食事の用意ができました。雄牛も太った家畜もほふって、何もかも整いました。どうぞ宴会にお出かけください。」』

5 ところが、彼らは気にもかけず、ある者は畑に、別の者は商売に出て行き、

6 そのほかの者たちは、王のしもべたちをつかまえて恥をかかせ、そして殺してしまった。

7 王は怒って、兵隊を出して、その人殺しどもを滅ぼし、彼らの町を焼き払った。

8 そのとき、王はしもべたちに言った。『宴会の用意はできているが、招待しておいた人たちは、それにふさわしくなかった。

9 だから、大通りに行って、出会った者をみな宴会に招きなさい。』

10 それで、しもべたちは、通りに出て行って、良い人でも悪い人でも出会った者をみな集めたので、宴会場は客でいっぱいになった。

11 ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた。

12 そこで、王は言った。『あなたは、どうして礼服を着ないで、ここに入って来たのですか。』しかし、彼は黙っていた。

13 そこで、王はしもべたちに、『あれの手足を縛って、外の暗やみに放り出せ。そこで泣いて歯ぎしりするのだ』と言った。

14 招待される者は多いが、選ばれる者は少ないのです。」

15 そのころ、パリサイ人たちは出て来て、どのようにイエスをことばのわなにかけようかと相談した。

16 彼らはその弟子たちを、ヘロデ党の者たちといっしょにイエスのもとにやって、こう言わせた。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、真理に基づいて神の道を教え、だれをもはばからない方だと存じています。あなたは、人の顔色を見られないからです。

17 それで、どう思われるのか言ってください。税金をカイザルに納めることは、律法にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」

18 イエスは彼らの悪意を知って言われた。「偽善者たち。なぜ、わたしをためすのか。

19 納め金にするお金をわたしに見せなさい。」そこで彼らは、デナリを一枚イエスのもとに持って来た。

20 そこで彼らに言われた。「これは、だれの肖像ですか。だれの銘ですか。」

21 彼らは、「カイザルのです」と言った。そこで、イエスは言われた。「それなら、カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」

22 彼らは、これを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。

23 その日、復活はないといっているサドカイ人たちが、イエスのところに来て、質問して、

24 言った。「先生。モーセは『もし、ある人が子のないままで死んだなら、その弟は兄の妻をめとって、兄のために子をもうけなければならない』と言いました。

25 ところで、私たちの間に七人兄弟がありました。長男は結婚しましたが、死んで、子がなかったので、その妻を弟に残しました。

26 次男も三男も、七人とも同じようになりました。

27 そして、最後に、その女も死にました。

28 すると復活の際には、その女は七人のうちだれの妻なのでしょうか。彼らはみな、その女を妻にしたのです。」

29 しかし、イエスは彼らに答えて言われた。「そんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからです。

30 復活の時には、人はめとることも、とつぐこともなく、天の御使いたちのようです。

31 それに、死人の復活については、神があなたがたに語られた事を、あなたがたは読んだことがないのですか。

32 『わたしは、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあります。神は死んだ者の神ではありません。生きている者の神です。」

33 群集はこれを聞いて、イエスの教えに驚いた。

34 しかし、パリサイ人たちは、イエスがサドカイ人たちを黙らせたと聞いて、いっしょに集まった。

35 そして、彼らのうちのひとりの律法の専門家が、イエスをためそうとして、尋ねた。

36 「先生。律法の中で、たいせつな戒めはどれですか。」

37 そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』

38 これがたいせつな第一の戒めです。

39 『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。

40 律法全体と預言者とが、この二つの戒めにかかっているのです。」

41 パリサイ人たちが集まっているときに、イエスは彼らに尋ねて言われた。

42 「あなたがたは、キリストについて、どう思いますか。彼はだれの子ですか。」彼らはイエスに言った。「ダビデの子です。」

43 イエスは彼らに言われた。「それでは、どうしてダビデは、御霊によって、彼を主と呼び、

44 『主は私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足の下に従わせるまでは、わたしの右の座に着いていなさい。」』

45 ダビデがキリストを主と呼んでいるのなら、どうして彼はダビデの子なのでしょう。」

46 それで、だれもイエスに一言も答えることができなかった。また、その日以来、もはやだれも、イエスにあえて質問をする者はなかった。

マタイの福音書 21章

マタイの福音書 21章


1 それから、彼らはエルサレムに近づき、オリーブ山のふもとのベテパゲまで来た。そのとき、イエスは、弟子をふたり使いに出して、

2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。そうするとすぐに、ろばがつながれていて、いっしょにろばの子がいるのに気がつくでしょう。それをほどいて、わたしのところに連れて来なさい。

3 もしだれかが何か言ったら、『主がお入用なのです』と言いなさい。そうすれば、すぐに渡してくれます。」

4 これは、預言者を通して言われたことが成就するために起こったのである。

5 「シオンの娘に伝えなさい。『見よ。あなたの王があなたのところに来られる。柔和で、ろばの背に乗って、それも、荷物を運ぶろばの子に乗って。』

6 そこで、弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにした。

7 そして、ろばと、ろばの子とを連れて来て、自分たちの上着をその上に掛けた。イエスはそれに乗られた。

8 すると、群集のうち大ぜいの者が、自分たちのの上着を道に敷き、また、ほかの人々は、木の枝を切って来て、道に敷いた。

9 そして、群集は、イエスの前を行く者も、あとに従う者も、こう言って叫んでいた。「ダビデの子にホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。ホサナ。いと高き所に。」

10 こうして、イエスがエルサレムに入られると、都中がこぞって騒ぎ立ち、「この方は、どういう方なのか」と言った。

11 群集は、「この方は、ガリラヤのナザレの、預言者イエスだ」と言った。

12 それから、イエスは宮に入って、宮の中で売り買いする者たちをみな追い出し、両替人の台や、鳩を売る者たちの腰掛けを倒された。

13 そして彼らに言われた。「『わたしの家は祈りの家と呼ばれる』と書いてある。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている。」

14 また、宮の中で、盲人や足のなえた人たちがみもとに来たので、イエスは彼らをいやされた。

15 ところが、祭司長、律法学者たちは、イエスのなさった驚くべきいろいろのことを見、また宮の中で子どもたちが「ダビデの子にホサナ」と言って叫んでいるのを見て腹を立てた。

16 そしてイエスに言った。「あなたは、子どもたちが何と言っているか、お聞きですか。」イエスは言われた。「聞いています。『あなたは幼子と乳飲み子たちの口に賛美を用意された』とあるのを、あなたがたは読まなかったのですか。

17 イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニアに行き、そこに泊まられた。

18 翌朝、イエスは都に帰る途中、空腹を覚えられた。

19 道ばたにいちじくの木が見えたので、近づいて行かれたが、葉のほかは何もないのに気づかれた。それで、イエスはその木に「おまえの実は、もういつまでも、ならないように」と言われた。すると、たちまちいちじくの木は枯れた。

20 弟子たちは、これを見て、驚いて言った。「どうして、こうすぐにいちじくの木が枯れたのでしょうか。」

21 イエスは答えて言われた。「まことに、あなたがたに告げます。もし、あなたがたが、信仰を持ち、疑うことがなければ、いちじくの木になされたようなことができるだけでなく、たとい、この山に向かって、『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。

22 あなたがた信じて祈り求めるものなら、何でも与えられます。」

23 それから、イエスが宮に入って、教えておられると、祭司長、民の長老たちが、みもとに来て言った。「何の権威によって、これらのことをしておられるのですか。だれが、あなたにその権威を授けたのですか。」

24 イエスは答えて、こう言われた。「わたしも一言あなたがたに尋ねましょう。もし、あなたがたが答えるなら、わたしも何の権威によって、これらのことをしているかを話しましょう。

25 ヨハネのバプテスマは、どこから来たものですか。天からですか。それとも人からですか。」すると、彼らはこう言いながら、互いに論じ合った。「もし、天から、と言えば、それならなぜ、彼を信じなかったか、というだろう。

26 しかし、もし、人から、と言えば、群集がこわい。彼らはみな、ヨハネを預言者と認めているのだから。」

27 そこで、彼らはイエスに答えて、「わかりません」と言った。イエスもまた彼らにこう言われた。「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに話すまい。

28 ところで、あなたがたは、どう思いますか。ある人にふたりの息子がいた。その人は兄のところに来て『きょう、ぶどう園に行って働いてくれ』と言った。

29 兄は答えて『行きます。お父さん』と言ったが、行かなかった。

30 それから、弟のところに来て、同じように言った。ところが、弟は答えて『行きたくありません』と言ったが、あとから悪かったと思って出かけて行った。

31 ふたりのうちどちらが、父の願ったとおりにしたのでしょう。」彼らは言った。「あとの者です。」イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。取税人や遊女たちのほうが、あなたがたより先に神の国に入っているのです。

32 というのは、あなたがたは、ヨハネが義の道を持って来たのに、彼を信じなかった。しかし、取税人や遊女たちは彼を信じたからです。しかもあなたがたは、それを見ながら、あとになって悔いることもせず、彼を信じなかったのです。

33 もう一つのたとえを聞きなさい。ひとりの家の主人がいた。彼はぶどう園を造って、垣を巡らし、その中に酒ぶねを堀り、やぐらを建て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。

34 さて、収穫の時が近づいたので、主人は自分の分を受け取ろうとして、農夫たちのところへしもべたちを遣わした。

35 すると、農夫たちは、そのしもべたちをつかまえて、ひとりは袋だたきにし、もうひとりは殺し、もうひとりは石で打った。

36 そこでもう一度、前よりももっと多くの別のしもべたちを遣わしたが、やはり同じような扱いをした。

37 しかし、そのあと、その主人は、『私の息子なら、敬ってくれるだろう』と言って、息子を遣わした。

38 すると、農夫たちは、その子を見て、こう話し合った。『あれはあと取りだ。さあ、あれを殺して、あれのものになるはずの財産を手に入れようではないか。』

39 そして、彼をつかまえて、ぶどう園の外に追い出して殺してしまった。

40 この場合、ぶどう園の主人が帰って来たら、その農夫たちをどうするでしょう。」

41 彼らはイエスに言った。「その悪党どもを情け容赦なく殺して、そのぶどう園を、季節にはきちんと収穫を納める別の農夫たちに貸すに違いありません。」

42 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、次の聖書のことばを読んだことがないのですか。『家を建てる者たちの見捨てた石。それが礎になった。これは主のなさったことだ。私たちの目には、不思議なことである。』

43 だから、わたしはあなたがたに言います。神の国はあなたがたから取り去られ、神の国の実を結ぶ国民に与えられます。

44 また、この石の上に落ちる者は、粉々に砕かれ、この石が人の上に落ちれば、その人を粉みじんに飛ばしてしまいます。」

45 祭司長たちとパリサイ人たちは、イエスのこれらのたとえを聞いたとき、自分たちをさして話しておられることに気づいた。

46 そこでイエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。群集はイエスを預言者と認めていたからである。

マタイの福音書 20章

マタイの福音書 20章


1 天の御国は、自分のぶどう園で働く労務者を雇いに朝早く出かけた主人のようなものです。

2 彼は、労務者たちと一日一デナリの約束ができると、彼らをぶどう園にやった。

3 それから、九時ごろに出かけてみると、別の人たちが市場に立っており、何もしないでいた。

4 そこで、彼はその人たちに言った。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当のものを上げるから。』

5 彼らは出て行った。それからまた、十二時ごろと三時ごろに出かけて行って、同じようにした。

6 また、五時ごろ出かけてみると、別の人たちが立っていたので、彼らに言った。『なぜ、一日中仕事もしないでここにいるのですか。』

7 彼らは言った。『だれも雇ってくれないからです。』彼は言った。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。』

8 こうして、夕方になったので、ぶどう園の主人は、監督に言った。『労務者たちを呼んで、最後に来た者たちから順に、最初に来た者たちにまで、賃金を払ってやりなさい。』

9 そこで、五時ごとに雇われた者たちが来て、それぞれ一デナリずつもらった。

10 最初の者たちがもらいに来て、もっと多くもらえるだろうと思ったが、彼らもやはりひとり一デナリずつであった。

11 そこで、彼らはそれを受け取ると、主人に文句をつけて、

12 言った。『この最後の連中は一時間しか働かなかったのに、あなたは私たちと同じにしました。私たちは一日中、労苦と焼けるような暑さを辛抱したのです。』

13 しかし、彼はそのひとりに答えて言った。『友よ。私はあなたに何も不当なことはしていない。あなたは私と一デナリの約束をしたではありませんか。

14 自分の分を取って帰りなさい。ただ私としては、この最後の人にも、あなたと同じだけ上げたいのです。

15 自分のものを自分の思うようにしてはいけないという法がありますか。それとも、私が気前がいいので、あなたの目にはねたましく思われるのですか。』

16 このように、あとの者が先になり、先の者があとになるものです。」

17 さて、イエスは、エルサレムに上ろうとしておられたが、十二弟子だけを呼んで、道々彼らに話された。

18 「さあ、これから、わたしたちはエルサレムに向かって行きます。人の子は、祭司長、律法学者たちに引き渡されるのです。彼らは人の子を死刑に定めます。

19 そして、あざけり、むち打ち、十字架につけるため、異邦人に引き渡します。しかし、人の子は三日目によみがえります。」

20 そのとき、ゼベダイの子たちの母が、子どもたちといっしょにイエスのもとに来て、ひれ伏して、お願いがありますと言った。

21 イエスが彼女に、「どんな願いですか」と言われると、彼女は言った。「私のこのふたりの息子が、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるようにおことばを下さい。」

22 けれども、イエスは答えて言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていないのです。わたしが飲もうとしている杯を飲むことができますか。」彼らは「できます」と言った。

23 イエスは言われた。「あなたがたはわたしの杯を飲みはします。しかし、わたしの右と左にすわることは、このわたしの許すことではなく、わたしの父によってそれに備えられた人々があるのです。」

24 このことを聞いたほかの十人は、このふたりの兄弟のことで腹を立てた。

25 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて、言われた。「あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者たちは彼らを支配し、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます。

26 あなたがたの間では、そうではありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。

27 あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、あなたがたのしもべになりなさい。

28 人の子が来たのが、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためであるのと同じです。」

29 彼らがエリコを出て行くと、大ぜいの群集がイエスについて行った。

30 すると、道ばたにすわっていたふたりの盲人が、イエスが通られると聞いて、叫んで言った。「主よ。私たちをあわれんでください。ダビデの子よ。」

31 そこで、群集は彼らを黙らせようとして、たしなめたが、彼らはますます、「主よ。私たちをあわれんでください。ダビデの子よ」と叫び立てた。

32 すると、イエスは立ち止まって、彼らを呼んで言われた。「わたしに何をしてほしいのか。」

33 彼らはイエスに言った。「主よ。この目をあけていただきたいのです。」

34 イエスはかわいそうに思って、彼らの目にさわられた。すると、すぐさま彼らは見えるようになり、イエスについて行った。

マタイの福音書 19章

マタイの福音書 19章


1 イエスはこの話を終えると、ガリラヤを去って、ヨルダンの向こうにあるユダヤ地方に行かれた。

2 すると、大ぜいの群集がついてきたので、そこで彼らをいやされた。

3 パリサイ人たちがみもとにやって来て、イエスを試みて、こう言った。「何か理由があれば、妻を離別することは律法にかなっているでしょうか。」

4 イエスは答えて言われた。「創造者は、初めから人を男と女に造って、

5 『それゆえ、人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりは一体となる』と言われたのです。それを、あなたがたは読んだことがないのですか。

6 それで、もはやふたりではなく、ひとりなのです。こういうわけで、人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません。」

7 彼らはイエスに言った。「では、モーセはなぜ、離婚状を渡して妻を離別せよ、と命じたのですか。」

8 イエスは彼らに言われた。「モーセは、あなたがたの心がかたくななので、その妻を離別することをあなたがたに許したのです。しかし、初めからそうだったのではありません。

9 まことに、あなたがたに告げます。だれでも、不貞のためでなくて、その妻を離別し、別の女を妻にする者は姦淫を犯すのです。」

10 弟子たちはイエスに言った。「もし妻に対する夫の立場がそんなものなら、結婚しないほうがましです。」

11 しかし、イエスは言われた。「そのことばは、だれでも受け入れることができるわけではありません。ただ、それが許されている者だけができるのです。

12 というのは、母の胎内から、そのように生まれついた独身者がいます。また、人から独身者にさせられた者もいます。また、天の御国のために、自分から独身者になった者もいるからです。それができる者はそれを受け入れなさい。」

13 そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、子どもたちが連れて来られた。ところが、弟子たちは彼らをしかった。

14 しかし、イエスは言われた。「子どもたちを許してやりなさい。邪魔をしないでわたしのところに来させなさい。天の御国はこのような者たちの国なのです。」

15 そして、手を彼らの上に置いてから、そこを去って行かれた。

16 すると、ひとりの人がイエスのもとに来て言った。「先生。永遠のいのちを得るためには、どんな良いことをしたらよいのでしょうか。」

17 イエスは彼に言われた。「なぜ、良いことについて、わたしに尋ねるのですか。良い方は、ひとりだけです。もし、いのちに入りたいと思うなら、戒めを守りなさい。」

18 彼は「どの戒めですか」と言った。そこで、イエスは言われた。「殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。偽証をしてはならない。

19 父と母を敬え。あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」

20 この青年はイエスに言った。「そのようなことはみな、守っております。何がまだ欠けているのでしょうか。」

21 イエスは彼に言われた。「もし、あなたが完全になりたいなら、帰って、あなたの持ち物を売り払って貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。そのうえで、わたしについて来なさい。」

22 ところが、青年はこのことばを聞くと、悲しんで去って行った。この人は多くの財産を持っていたからである。

23 それから、イエスは弟子たちに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。金持ちが天の御国に入るのはむずかしいことです。

24 まことに、あなたがたにもう一度、告げます。金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい。」

25 弟子たちは、これを聞くと、たいへん驚いて言った。「それでは、だれが救われることができるのでしょう。」

26 イエスは彼らをじっと見て言われた。「それは人にはできないことです。しかし、神にはどんなことでもできます。」

27 そのとき、ペテロはイエスに答えて言った。「ご覧ください。私たちは、何もかも捨てて、あなたに従ってまいりました。私たちは何がいただけるでしょうか。」

28 そこで、イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。世が改まって人の子がその栄光の座に着く時、わたしに従って来たあなたがたも十二の座に着いて、イスラエルの十二の部族をさばくのです。

29 また、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、あるいは畑を捨てた者はすべて、その幾倍もを受け、また永遠のいのちを受け継ぎます。

30 ただ、先の者があとになり、あとの者が先になることが多いのです。

マタイの福音書 18章

マタイの福音書 18章


1 そのとき、弟子たちがイエスのところに来て言った。「それでは、天の御国では、だれが一番偉いのでしょうか。」

2 そこで、イエスは小さい子どもを呼び寄せ、彼らの真ん中に立たせて、

3 言われた。「まことに、あながたがに告げます。あなたがたも悔い改めて子どもたちのようにならない限り、決して天の御国には、入れません。

4 だから、この子どものように、自分を低くする者が、天の御国で一番偉い人です。

5 また、だれでも、このような子どもひとりを、わたしの名のゆえに受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。

6 しかし、わたしを信じるこの小さい者たちのひとりにでもつまずきを与えるような者は、大きい石臼を首にかけられて、湖の深みでおぼれ死んだほうがましです。

7 つまずきを与えるこの世はわざわいだ。つまずきが起こるのは避けられないが、つまずきをもたらす者はわざわいだ。

8 もし、あなたの手か足の一つがあなたをつまづかせるなら、それを切って捨てなさい。片手片足でいのちに入るほうが、両手両足そろっていて永遠の火に投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。

9 また、もし、あなたの一方の目が、あなたをつまずかせるなら、それをえぐり出して捨てなさい。片目でいのちに入るほうが、両目そろっていて燃えるゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。

10 あなたがたは、この小さい者たちを、ひとりでも見下げたりしないように気をつけなさい。まことに、あなたがたに告げます。彼らの天の御使いたちは、天におられるわたしの父の御顔をいつも見ているからです。

11 〔人の子は、失われている者を救うために来たのです。〕

12 あなたがたはどう思いますか。もし、だれかが百匹の羊を持っていて、そのうちの一匹が迷い出たとしたら、その人は九十九匹を山に残して、迷った一匹を捜しに出かけないでしょうか。

13 そして、もし、いたとなれば、まことに、あなたがたに告げます。その人は迷わなかった九十九匹の羊以上にこの一匹を喜ぶのです。

14 このように、この小さい者たちのひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではありません。

15 また、もし、あなたの兄弟が罪を犯したなら、行って、ふたりだけのところで責めなさい。もし聞き入れたら、あなたは兄弟を得たのです。

16 もし聞き入れないなら、ほかにひとりかふたりをいっしょに連れて行きなさい。ふたりか三人の証人の口によって、すべての事実が確認されるためです。

17 それでもなお、言うことを聞き入れようとしないなら、教会に告げなさい。教会の言うことさえも聞こうとしないなら、彼を異邦人か取税人のように扱いなさい。

18 まことに、あなたがたに告げます。何でもあなたがたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたがたが地上で解くなら、それは天においても解かれているのです。

19 まことに、あなたがたにもう一度、告げます。もし、あなたがたのうちふたりが、どんな事でも、地上で心を一つにして祈るなら、天におられるわたしの父は、それをかなえてくださいます。

20 ふたりでも三人でも、わたしの名において集まる所には、わたしもその中にいるからです。」

21 そのとき、ペテロがみもとに来て言った。「主よ。兄弟が私に対して罪を犯した場合、何度まで赦すべきでしょうか。七度まででしょうか。」

22 イエスは言われた。「七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまでと言います。

23 このことから、天の御国は、地上の王にたとえることができます。王はそのしもべたちと清算をしたいと思った。

24 清算が始まると、まず一万タラントの借りのあるしもべが、王のところに連れて来られた。

25 しかし、彼は返済することができなかったので、その主人は彼に、自分も妻子も持ち物全部も売って返済するように命じた。

26 それで、このしもべは、主人の前にひれ伏して、『どうかご猶予ください。そうすれば全部お払いいたします』と言った。

27 しもべの主人は、かわいそうに思って、彼を赦し、借金を免除してやった。

28 ところが、このしもべは、出て行くと、同じしもべ仲間で、彼から百デナリの借りのある者に出会った。彼はその人をつかまえ、首を絞めて、『借金を返せ』と言った。

29 彼の仲間は、ひれ伏して、『もう少し待ってくれ。そうしたら返すから』と言って頼んだ。

30 しかし彼は承知せず、連れて行って、借金を返すまで牢に投げ入れた。

31 彼の仲間たちは事の成り行きを見て、非常に悲しみ、行って、その一部始終を主人に話した。

32 そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『悪いやつだ。おまえがあんなに頼んだからこそ借金全部を赦してやったのだ。

33 私がおまえをあわれんでやったように、おまえも仲間をあわれんでやるべきではないか。』

34 こうして、主人は怒って、借金を全部返すまで、彼を獄吏に引き渡した。

35 あなたがたもそれぞれ、心から兄弟を赦さないなら、天のわたしの父も、あなたがたに、このようになさるのです。」

マタイの福音書 17章

マタイの福音書 17章


1 それから六日たって、イエスは、ペテロとヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に導いて行かれた。

2 そして彼らの目の前で、御姿が変わり、御顔は太陽のように輝き、御衣は光のように白くなった。

3 しかも、モーセとエリヤが現れてイエスと話し合っているではないか。

4 すると、ペテロが口出ししてイエスに言った。「先生。私たちがここにいることは、すばらしいことです。もし、およろしければ、私が、ここに三つの幕屋を造ります。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」

5 彼がまだ話している間に、見よ、光り輝く雲がその人々を包み、そして、雲の中から、「これは、わたしの愛する子、わたしはこれを喜ぶ。彼の言うことを聞きなさい」と言う声がした。

6 弟子たちは、この声を聞くと、ひれ伏して非常にこわがった。

7 すると、イエスが来られて、彼らに手を触れ、「起きなさい。こわがることはない」と言われた。

8 そこで、彼らが目を上げて見ると、だれもいなくて、ただイエスおひとりだけであった。

9 彼らが山を降りるとき、イエスは彼らに、「人の子が死人の中からよみがえるときまでは、いま見た幻をだれにも話してはならない」と命じられた。

10 そこで、弟子たちは、イエスに尋ねて言った。「すると、律法学者たちが、まずエリヤが来るはずだと言っているのは、どうしてでしょうか。」

11 イエスは答えて言われた。「エリヤが来て、すべてのことを立て直すのです。

12 しかし、わたしは言います。エリヤはもうすでに来たのです。ところが彼らはエリヤを認めようとせず、彼に対して好き勝手なことをしたのです。人の子もまた、彼らから同じように苦しめられようとしています。」

13 そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと気づいた。

14 彼らが群集のところに来たとき、ひとりの人がイエスのそば近くに来て、御前にひざまずいて言った。

15 「主よ。私の息子をあわれんでください。てんかんで、たいへん苦しんでおります。何度も何度も火の中に落ちたり、水の中に落ちたりいたします。

16 そこで、その子をお弟子たちのところに連れて来たのですが、直すことができませんでした。」

17 イエスは答えて言われた。「ああ、不信仰な、曲がった今の世だ。いつまであなたがたといっしょにいなければならないのでしょう。いつまであなたがたにがまんしていなければならないのでしょう。その子をわたしのところに連れて来なさい。」

18 そして、イエスがその子をおしかりになると、悪霊は彼から出て行き、その子はその時から直った。

19 そのとき、弟子たちはそっとイエスのもとに来て、言った。「なぜ。私たちには悪霊を追い出せなかったのですか。」

20 イエスは言われた。「あなたがたの信仰が薄いからです。まことに、あなたがたに告げます。もし、からし種ほどの信仰があったら、この山に、『ここからあそこに移れ』と言えば移るのです。どんなことでもあなたがたにできないことはありません。

21 〔ただし、この主のものは、祈りと断食によらなければ出て行きません。〕」

22 彼らがガリラヤに集まっていたとき、イエスは彼らに言われた。「人の子は、いまに人々の手に渡されます。

23 そして彼らに殺されるが、三日目によみがえります。」すると、彼らは非常に悲しんだ。

24 また、彼らがカペナウムに来たとき、宮の納入金を集める人たちが、ペテロのところに来て言った。「あなたがたの先生は、宮の納入金を納めないのですか。」

25 彼は、「納めます」と言って、家に入ると、先にイエスのほうからこう言い出された。「シモン。どう思いますか。世の王たちはだれから税や貢を取り立てますか。自分の子どもたちからですか。それともほかの人たちからですか。」

26 ペテロが「ほかの人たちからです」と言うと、イエスは言われた。「では、子どもたちにはその義務がないのです。

27 しかし、彼らにつまずきを与えないために、湖に行って釣りをして、最初に釣れた魚を取りなさい。その口をあけるとスタテル一枚が見つかるから、それを取って、わたしとあなたとの分として納めなさい。」

マタイの福音書 16章

マタイの福音書 16章


1 パリサイ人やサドカイ人たちがみそばに寄って来て、イエスをためそうとして、天からのしるしを見せてくださいと頼んだ。

2 しかし、イエスは彼らに答えて言われた。「あなたがたは、夕方には、『夕焼けだから晴れる』と言うし、

3 朝には、『朝焼けでどんよりしているから、きょうは荒れ模様だ』と言う。そんなによく、空模様の見分け方を知っていながら、なぜ時のしるしを見分けることができないのですか。

4 悪い、姦淫の時代はしるしを求めています。しかし、ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられません。」そう言って、イエスは彼らを残して去って行かれた。

5 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れた。

6 イエスは彼らに言われた。「パリサイ人やサドカイ人たちのパン種には注意して気をつけなさい。」

7 すると、彼らは、「これは私たちがパンを持って来なかったからだ」と言って、議論を始めた。

8 イエスはそれに気づいて言われた。「あなたがた、信仰の薄い人たち。パンがないからだなどと、なぜ論じ合っているのですか。

9 まだわからないのですか、覚えていないのですか。五つのパンを五千人に分けあげて、なお幾かご集めましたか。

10 また、七つのパンを四千人に分けてあげて、なお幾かご集めましたか。

11 わたしが言ったのは、パンのことなどではないことが、どうしてあなたがたには、わからないのですか。

12 彼らはようやく、イエスが気をつけよと言われたのは、パン種のことではなくて、パリサイ人やサドカイ人たちの教えのことであることを悟った。

13 さて、ピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。「人々は人の子をだれだと言っていますか。」

14 彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人もあり、エリヤだと言う人もあります。またほかの人たちはエレミヤだとか、また預言者のひとりだとも言っています。」

15 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」

16 シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子キリストです。」

17 するとイエスは、彼に答えて言われた、「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。

18 ではわたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデスの門もそれには打ち勝てません。

19 わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天でも解かれています。」

20 そのとき、イエスはご自分がキリストであることをだれにも言ってはならない、と弟子たちを戒められた。

21 その時から、イエス・キリストは、ご自分がエルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえらなければならないことを弟子たちに示し始められた。

22 するとペテロは、イエスを引き寄せて、いさめ始めた。「主よ。神の御恵みがありますように。そんなことが、あなたに起こるはずはありません。」

23 しかし、イエスは振り向いて、ペテロに言われた。「下がれ。サタン。あなたはわたしの邪魔をするものだ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」

24 それから、イエスは弟子たちに言われた。「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。

25 いのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしのためにいのちを失う者は、それを見いだすのです。

26 人は、たとい全世界を手に入れても、まことのいのちを損じたら、何の得がありましょう。そのいのちを買い戻すのには、人はいったい何を差し出せばよいでしょう。

27 人の子は父の栄光を帯びて、御使いたちとともに、やがて来ようとしているのです。その時には、おのおのその行いに応じて報いをします。

28 まことに、あなたがたに告げます。ここに立っている人々の中には、人の子が御国とともに来るのを見るまでは、決して死を味わわない人々がいます。」

マタイの福音書 15章

マタイの福音書 15章


1 そのころ、パリサイ人や律法学者たちが、エルサレムからイエスのところに来て、言った。

2 「あなたのお弟子たちは、なぜ長老たちの言い伝えを犯すのですか。パンを食べるときに手を洗っていないではありませんか。」

3 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「なぜ、あなたがたも、自分たちの言い伝えのために神の戒めを犯すのですか。

4 神は『あなたの父と母を敬え』、また『父や母をののしる者は死刑に処せられる』と言われたのです。

5 それなのに、あなたがたは、『だれでも、父や母に向かって、私からあなたのために差し上げられる物は、供え物になりましたと言う者は、

6 その物を持って父や母を尊んではならない』と言っています。こうしてあなたがたは、自分たちの言い伝えのために、神のことばを無にしてしまいました。

7 偽善者たち、イザヤはあなたがたについて預言しているが、まさにそのとおりです。

8 『この民は、口先ではわたしを敬うが、その心は、わたしから遠く離れている。

9 彼らが、わたしを拝んでも、むだなことである。人間の教えを、教えとして教えるだけだから。』」

10 イエスは群集を呼び寄せて言われた。「聞いて悟りなさい。

11 口に入る物は人を汚しません。しかし、口から出るもの、これが人を汚します。

12 そのとき、弟子たちが、近寄って来て、イエスに言った。「パリサイ人が、みことばを聞いて、腹を立てたのをご存じですか。」

13 しかし、イエスは答えて言われた。「わたしの天の父がお植えにならなかった木は、みな根こそぎにされます。

14 彼らのことは放っておきなさい。彼らは盲人の手引きをする盲人です。もし、盲人が盲人の手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むのです。」

15 そこで、ペテロは、イエスに答えて言った。「私たちに、そのたとえを説明してください。」

16 イエスは言われた。「あなたがたも、まだわからないのですか。

17 口に入る物はみな、腹に入り、かわやに捨てられることを知らないのですか。

18 しかし、口から出るものは、心から出てきます。それは人を汚します。

19 悪い考え、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、ののしりは心から出て来るからです。

20 これらは、人を汚すものです。しかし、洗わない手で食べることは人を汚しません。」

21 それから、イエスはそこを去って、ツロとシドンの地方に立ちのかれた。

22 すると、その地方のカナン人の女が出て来て、叫び声をあげて言った。「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が、ひどく悪霊にとりつかれているのです。」

23 しかし、イエスは彼女に一言もお答えにならなかった。そこで、弟子たちはみもとに来て、「あの女を帰してやってください。叫びながらあとについて来るのです」と言ってイエスに願った。

24 しかし、イエスは答えて、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外のところには遣わされていません」と言った。

25 しかし、その女は来て、イエスの前にひれ伏して、「主よ。私をお助けください」と言った。

26 すると、イエスは答えて、「子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのはよくないことです。」

27 しかし、女は言った。「主よ。そのとおりです。ただ、小犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます。」

28 そのとき、イエスは彼女に答えて言われた。「ああ、あなたの信仰はりっぱです。その願いどおりになるように。」すると、彼女の娘はその時から直った。

29 それから、イエスはそこを去って、ガリラヤ湖の岸を歩き、山に登って、そこにすわっておられた。

30 すると大ぜいの人の群れが、足のなえた者、手足の不自由な者、盲人、口のきけない者、そのほか多くの人をみもとに連れて来た。そして彼らをイエスの足もとに置いたので、イエスは彼らをいやされた。

31 それで群集は、口のきけない者がものを言い、手足の不自由な者が直り、足のなえた者が歩き、盲人たちが見えるようになるのを見て驚いた。そして彼らはイスラエルの神をあがめた。

32 イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「かわいそうに、この群集はもう三日間もわたしといっしょにいて、食べる物を持っていないのです。彼らを空腹のままで帰らせたくありません。途中で動けなくなるといけないから。」

33 そこで弟子たちは言った。「このへんぴな所で、こんなに大ぜいの人に、十分たべさせるほどたくさんのパンがどこから手に入るでしょう。」

34 すると、イエスは彼らに言われた。「どれくらいパンがありますか。」彼らは言った。「七つです。それに、小さい魚が少しあります。」

35 すると、イエスは群集に、地面に座るよう命じられた。

36 それから、七つのパンと魚を取り、感謝をささげてからそれを裂き、弟子たちに与えられた。そして、弟子たちは群集に配った。

37 人々はみな、食べて満腹した。そして、パン切れの余りを取り集めると、七つのかごにいっぱいあった。

38 食べた者は、女と子どもを除いて、男四千人であった。

39 それから、イエスは群集を解散させて舟に乗り、マガダン地方に行かれた。

マタイの福音書 14章

マタイの福音書 14章


1 そのころ、国主ヘロデは、イエスのうわさを聞いて、

2 侍従たちに言った。「あれはバプテスマのヨハネだ。ヨハネが死人の中からよみがえったのだ。だから、あんな力が彼のうちに働いているのだ。」

3 実は、このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、牢に入れたのであった。

4 それは、ヨハネが彼に、「あなたが彼女をめとるのは不法です」と言い張ったからである。

5 ヘロデはヨハネを殺したかったが、群集を恐れた。というのは、彼らはヨハネを預言者と認めていたからである。

6 たまたまヘロデの誕生祝いがあって、ヘロデヤの娘がみなの前で踊りを踊ってヘロデを喜ばせた。

7 それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした。

8 ところが、娘は母親にそそのかされて、こう言った。「今ここに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて私に下さい。」

9 王は心を痛めたが、自分の誓いもあり、また列席の人々の手前もあって、与えるように命令した。

10 彼は人をやって、牢の中でヨハネの首をはねさせた。

11 そして、その首は盆に載せて運ばれ、少女に与えられたので、少女はそれを母親のところに持って行った。

12 それから、ヨハネの弟子たちがやって来て、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。

13 イエスはこのことを聞かれると、舟でそこを去り、自分だけで寂しい所に行かれた。すると、群集がそれと聞いて、町々から、歩いてイエスのあとを追った。

14 イエスは舟から上がると、多くの群集を見、彼らを深くあわれんで、彼らの病気をいやされた。

15 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは寂しい所ですし、時刻ももう回っています。ですから群集を解散させてください。そして村に行ってめいめいで食物を買うようにさせてください。」

16 しかし、イエスは言われた。「彼らが出かけて行く必要はありません。あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」

17 しかし、弟子たちはイエスに言った。「ここには、パンが五つと魚が二匹よりほかありません。」

18 すると、イエスは言われた。「それを、ここに持って来なさい。」

19 そしてイエスは、群集に命じて草の上にすわらせ、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福し、パンを裂いてそれを弟子たちに与えられたので、弟子たちは群集に配った。

20 人々はみな、食べて満腹した。そして、パン切れの余りを取り集めると、十二のかごにいっぱいあった。

21 食べた者は、女と子どもを除いて、男五千人ほどであった。

22 それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗り込ませて、自分より先に向こう岸へ行かせ、その間に群集を帰してしまわれた。

23 群集を帰したあとで、祈るために、ひとりで山に登られた。夕方になったが、まだそこに、ひとりでおられた。

24 しかし、舟は、陸からもう何キロメートルも離れていたが、風が向かい風なので、波に悩まされていた。

25 すると、夜中の三時ごろ、イエスは湖の上を歩いて、彼らのところに行かれた。

26 弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て、「あれは幽霊だ」と言って、おびえてしまい、恐ろしさのあまり、叫び声を上げた。

27 しかし、イエスはすぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ、恐れることはない」と言われた。

28 すると、ペテロが答えて言った。「主よ。もし、あなたでしたら、私に、水の上を歩いてここまで来い、とお命じになってください。」

29 イエスは「来なさい」と言われた。そこで、ペテロは舟から出て、水の上を歩いてイエスのほうに行った。

30 ところが、風を見て、こわくなり、沈みかけたので叫び出し、「主よ、助けてください」と言った。

31 そこで、イエスはすぐに手を伸ばして、彼をつかんで言われた。「信仰の薄い人だな。なぜ疑うのか。」

32 そして、ふたりが舟に乗り移ると、風がやんだ。

33 そこで、舟の中にいた者たちは、イエスを拝んで、「確かにあなたは神の子です」と言った。

34 彼らは湖を渡ってゲネサレの地に着いた。

35 すると、その地の人々は、イエスと気がついて、付近の地域にくまなく知らせ、病人という病人をみな、みもとに連れて来た。

36 そして、せめて彼らに、着物のふさにでもさわらせてやってくださいと、イエスにお願いした。そして、さわった人々はみな、いやされた。

マタイの福音書 13章

マタイの福音書 13章


1 その日、イエスは家を出て、湖のほとりにすわっておられた。

2 すると、大ぜいの群集がみもとに集まったので、イエスは舟に移って腰をおろされた。それで群集はみな浜に立っていた。

3 イエスは多くのことを、彼らにたとえで話して聞かされた。「種を蒔く人が種蒔きに出かけた。

4 蒔いているとき、道ばたに落ちた種があった。すると鳥が来て食べてしまった。

5 また、別の種が土の薄い岩地に落ちた、土が深くなかったので、すぐに芽を出した。

6 しかし、日が上ると、焼けて、根がないために枯れてしまった。

7 また、別の種はいばらの中に落ちたが、いばらが伸びて、ふさいでしまった。

8 別の種は良い地に落ちて、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結んだ。

9 耳のあるものは聞きなさい。」

10 すると、弟子たちが近寄って来て、イエスに言った。「なぜ、彼らにたとえでお話しになったのですか。」

11 イエスは答えて言われた。「あなたがたには、天の御国の奥義を知ることが許されているが、彼らには許されていません。

12 というのは、持っている者はさらに与えられて豊かになり、持たない者は持っているものまでも取り上げられてしまうからです。

13 わたしが彼らにたとえで話すのは、彼らは見てはいるが見ず、聞いてはいるが聞かず、また、悟ることもしないからです。

14 こうしてイザヤの告げた預言が彼らの上に実現したのです。『あなたがたは確かに聞きはするが、決して悟らない。確かに見てはいるが、決してわからない。

15 この民の心は鈍くなり、その耳は遠く、目はつぶっているからである。それは、彼らがその目で見、その耳で聞き、その心で悟って立ち返り、わたしにいやされることのないためである。」

16 しかし、あなたがたの目は見ているから幸いです。また、あなたがたの耳は聞いているから幸いです。

17 まことに、あなたがたに告げます。多くの預言者や義人たちが、あなたがたの見ているものを見たいと、切に願ったのに見られず、あなたがたの聞いていることを聞きたいと、切に願ったのに聞けなかったのです。

18 ですから、種蒔きのたとえを聞きなさい。

19 御国のことばを聞いても悟らないと、悪い者が来て、その人の心に蒔かれたものを奪って行きます。道ばたに蒔かれるとは、このような人のことです。

20 また岩地に蒔かれるとは、みことばを聞くと、すぐに喜んで受け入れる人のことです。

21 しかし、自分のうちに根がないため、しばらくの間そうするだけで、みことばのために困難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまいます。

22 また、いばらの中に蒔かれるとは、みことばを聞くが、この世の心づかいと富の惑わしとがみことばをふさぐため、実を結ばない人のことです。

23 ところが、良い地に蒔かれるとは、みことばを聞いてそれを悟る人のことで、その人はほんとうに実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結びます。」

24 イエスは、また別のたとえを彼らに示して言われた。「天の御国は、こういう人にたとえることができます。ある人が自分の畑に良い種を蒔いた。

25 ところが、人々が眠っている間に、彼の敵が来て麦の中に毒麦を蒔いて行った。

26 麦が芽ばえ、やがて実ったとき、毒麦も現れた。

27 それで、その家の主人のしもべたちが来て言った。『ご主人。畑には良い麦を蒔かれたではありませんか。どうして毒麦が出たのでしょう。』

28 主人は言った。『敵のやったことです。』すると、しもべたちは言った。『では、私たちが行ってそれを抜き集めましょうか。』

29 だが、主人は言った。『いやいや。毒麦を抜き集めるうちに、麦もいっしょに抜き取るかもしれない。

30 だから、収穫まで、両方とも育つままにしておきなさい。収穫の時期になったら、私は刈る人たちに、まず、毒麦を集め、焼くために束にしなさい。麦のほうは、集めて私の倉に納めなさい、と言いましょう。』」

31 イエスは、また別のたとえを彼らに示して言われた。「天の御国は、からし種のようなものです。それを取って、畑に蒔くと、

32 どんな種よりも小さいのですが、生長すると、どの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て、その枝に巣を作るほどの木になります。」

33 イエスは、また別のたとえを話された。「天の御国は、パン種のようなものです。女が、パン種を取って、三サトンの粉の中に入れると、全体がふくらんで来ます。」

34 イエスは、これらのことをみな、たとえで群集に話され、たとえを使わずには何もお話にならなかった。

35 それは、預言者を通して言われたことが成就するためであった。「わたしはたとえ話をもって口を開き、世の初めから隠されていることどもを物語ろう。」

36 それから、イエスは群集と別れて家に入られた。すると、弟子たちがみもとに来て、「畑の毒麦のたとえを説明してください。」と言った。

37 イエスは答えてこう言われた。「良い種を蒔く者は人の子です。

38 畑はこの世界のことで、良い種とは御国の子どもたち、毒麦とは悪い者の子どもたちのことです。

39 毒麦を蒔いた敵は悪魔であり、収穫とはこの世の終わりのことです。そして、刈り手とは御使いたちのことです。

40 ですから、毒麦が集められて火で焼かれるように、この世の終わりにもそのようになります。

41 人の子はその御使いたちを遣わします。彼らは、つまずきを与える者や不法を行う者たちをみな、御国から取り集めて、

42 火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです。

43 そのとき、正しい者たちは、彼らの父の御国で太陽のように輝きます。耳のある者は聞きなさい。

44 天の御国は、畑に隠された宝のようなものです。人はその宝を見つけると、それを隠しておいて、大喜びで帰り、持ち物を全部売り払ってその畑を買います。

45 また、天の御国は、良い真珠を捜している商人のようなものです。

46 すばらしい値うちの真珠を一つ見つけた者は、行って持ち物を全部売り払ってそれを買ってしまいます。

47 また、天の御国は、海におろしてあらゆる種類の魚を集める地引き網のようなものです。

48 網がいっぱいになると岸に引き上げ、すわり込んで、良いものは器に入れ、悪いものは捨てるのです。

49 この世の終わりにもそのようになります。御使いたちが来て、正しい者の中から悪い者をえり分け、

50 火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです。

51 あなたがたは、これらのことがみなわかりましたか。」彼らは「はい」とイエスに言った。

52 そこで、イエスは言われた。「だから、天の御国の弟子となった学者はみな、自分の倉から新しい物でも古い物でも取り出す一家の主人のようなものです。」

53 これらのたとえを話し終えると、イエスはそこを去られた。

54 それから、ご自分の郷里に行って、会堂で人々を教え始められた。すると、彼らは驚いて言った。「この人は、こんな知恵と不思議な力をどこで得たのでしょう。

55 この人は大工の息子ではありませんか。彼の母親はマリヤで、彼の兄弟は、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではありませんか。

56 妹たちもみな私たちといっしょにいるではありませんか。とすると、いったいこの人は、これらのものをどこから得たのでしょう。」

57 こうして、彼らはイエスにつまづいた。しかし、イエスは彼らに言われた。「預言者が尊敬されないのは、自分の郷里、家族の間だけです。」

58 そして、イエスは、彼らの不信仰のゆえに、そこでは多くの奇蹟をなさらなかった。

マタイの福音書 12章

マタイの福音書 12章


1 そのころ、イエスは、安息日に麦畑を通られた。弟子たちはひもじくなったので、穂を摘んで食べ始めた。

2 すると、パリサイ人たちがそれを見つけて、イエスに言った。「ご覧なさい。あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています。」

3 しかし、イエスは言われた。「ダビデとその連れの者たちが、ひもじかったときに、ダビデが何をしたか、読まなかったのですか。

4 神の家に入って、祭司のほかは自分も共の者たちも食べてはならない供えのパンを食べました。

5 また、安息日に宮にいる祭司たちは安息日の神聖を冒しても罪にならないということを、律法で読んだことはないのですか。

6 あなたがたに言いますが、ここに宮より大きな者がいるのです。

7 『わたしはあわれみは好むが、いけにえは好まない』ということがどういう意味かを知っていたら、あなたがたは、罪のない者たちを罪に定めはしなかったでしょう。

8 人の子は安息日の主です。」

9 イエスはそこを去って、会堂に入られた。

10 そこに片手のなえた人がいた。そこで彼らはイエスに質問して「安息日にいやすのは正しいことでしょうか」と言った。イエスを訴えるためであった。

11 イエスは彼らに言われた。「あなたがたのうち、だれかが一匹の羊を持っていて、もしその羊が安息日に穴に落ちたら、それを引き上げてやらないでしょうか。

12 人間は羊より、はるかに値うちのあるものでしょう。それなら、安息日に良いことをすることは、正しいのです。」

13 それから、イエスはその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。彼が手を伸ばすと、手は直って、もう一方の手と同じようになった。

14 パリサイ人は出て行って、どのようにしてイエスを滅ぼそうかと相談した。

15 イエスはそれを知って、そこを立ち去られた。すると多くの人がついて来たので、彼らをみないやし、

16 そして、ご自分のことを人々に知らせないようにと、彼らを戒められた。

17 これは、預言者イザヤを通して言われたことが成就するためであった。

18 「これぞ、わたしの選んだわたしのしもべ、わたしの心は喜ぶわたしの愛する者。わたしは彼の上にわたしの霊を置き、彼は異邦人に公義を宣べる。

19 争うこともなく、叫ぶこともせず、大路でその声を聞く者もない。

20 彼はいたんだ葦を折ることもなく、くすぶる燈心を消すこともない、公義を勝利に導くまでは。

21 異邦人は彼の名に望みをかける。」

22 そのとき、悪霊につかれて、目も見えず、口もきけない人が連れて来られた。イエスが彼をいやされたので、その人はものを言い、目も見えるようになった。

23 群集はみな驚いて言った。「この人は、ダビデの子なのだろうか。」

24 これを聞いたパリサイ人は言った。「この人は、ただ悪霊どものかしらベルゼブルの力で、悪霊どもを追い出しているだけだ。」

25 イエスは彼らの思いを知ってこう言われた。「どんな国でも、内輪もめして争えば荒れすたれ、どんな町でも家でも、内輪もめして争えば立ち行きません。

26 もし、サタンがサタンを追い出していて仲間割れしたのだったら、どうしてその国は立ち行くでしょう。

27 また、もしわたしがベルゼブルによって悪霊どもを追い出しているのなら、あなたがたの子らはだれによって追い出すのですか。だから、あなたがたの子らが、あなたがたをさばく人となるのです。

28 しかし、わたしが神の御霊によって悪霊どもを追い出しているのなら、もう神の国はあなたがたのところに来ているのです。

29 強い人の家に入って家財を奪い取ろうとするなら、まずその人を縛ってしまわないで、どうしてそのようなことができましょうか。そのようにして初めて、その家を略奪することもできるのです。

30 わたしの味方でない者はわたしに逆らう者であり、わたしとともに集めない者は散らす者です。

31 だから、わたしはあなたがたに言います。人はどんな罪も冒涜も赦していただけます。しかし、御霊に逆らう冒涜は赦されません。

32 また、人の子に逆らうことばを口にする者でも、赦されます。しかし、聖霊に逆らうことを言う者は、だれであっても、この世であろうと次に来る世であろうと、赦されません。

33 木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければその実も悪いとしなさい。木のよしあしはその実によって知られるからです。

34 まむしのすえたち。おまえたち悪い者に、どうして良いことが言えましょう。心に満ちていることを口が話すのです。

35 良い人は、良い倉から良い物を取り出し、悪い人は、悪い倉から悪い物を取り出すものです。

36 わたしはあなたがたに、こう言いましょう。人はその口にするあらゆるむだなことばについて、さばきの日には言い開きをしなければなりません。

37 あなたが正しいとされるのは、あなたのことばによるのであり、罪に定められるのも、あなたのことばによるのです。」

38 そのとき、律法学者、パリサイ人たちのうちのある者がイエスに答えて言った。「先生。私たちは、あなたからしるしを見せていただきたいのです。」

39 しかし、イエスは答えて言われた。「悪い、姦淫の時代はしるしを求めています。だが預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられません。

40 ヨナは三日三晩大魚の腹の中にいましたが、同様に、人の子も三日三晩、地の中にいるからです。

41 ニネベの人々が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めます。なぜなら、ニネベの人々はヨナの説教で悔い改めたからです。しかし、見なさい。ここにヨナよりもまさった者がいるのです。

42 南の女王が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めます。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし、見なさい。ここにソロモンよりもまさった者がいるのです。

43 汚れた霊が人から出て行って、水のない地をさまよいながら休み場を捜しますが、見つかりません。

44 そこで、『出て来た自分の家に帰ろう』と言って、帰って見ると、家はあいていて、掃除してきちんとかたづいていました。

45 そこで、出かけて行って、自分よりも悪いほかの霊を七つ連れて来て、みな入り込んでそこに住みつくのです。そうなると、その人の後の状態は、初めよりもさらに悪くなります。邪悪なこの時代もまた、そういうことになるのです。」

46 イエスがまだ群集に話しておられるときに、イエスの母と兄弟たちが、イエスに何か話そうとして、外に立っていた。

47 すると、だれかが言った。「ご覧なさい。あなたのお母さんと兄弟たちが、あなたに話そうとして外に立っています。」

48 しかし、イエスはそう言っている人に答えて言われた。「わたしの母とはだれですか。また、わたしの兄弟たちとはだれですか。」

49 それから、イエスは手を弟子たちのほうに差し伸べて言われた。「見なさい。わたしの母、わたしの兄弟たちです。

50 天におられるわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。」

マタイの福音書 11章

マタイの福音書 11章


1 イエスはこのように十二弟子に注意を与え、それを終えられると、彼らの町々で教えたり宣べ伝えたりするため、そこを立ち去られた。

2 さて、獄中でキリストのみわざについて聞いたヨハネは、その弟子たちに託して、

3 イエスにこう言い送った。「おいでになるはずの方は、あなたですか。それとも、私たちは別の方を待つべきでしょうか。」

4 イエスは答えて、彼らに言われた。「あなたがたは行って、自分たちの聞いたり見たりしていることをヨハネに報告しなさい。

5 目の見えない者が見、足のなえた者が歩き、ツァラアトに冒された者がきよめられ、耳の聞こえない者が聞き、死人が生き返り、貧しい者たちに福音が宣べ伝えられている。

6 だれでもわたしにつまずかない者は幸いです。」

7 この人たちが行ってしまうと、イエスはヨハネについて群集に話しだされた。「あなたがたは、何を見に荒野に出て行ったのですか。風に揺れる葦ですか。

8 でなかったら、何を見に行ったのですか。柔らかい着物を着た人ですか。柔らかい着物を着た人なら王の宮殿にいます。

9 でなかったら、なぜ行ったのですか。預言者を見るためですか。そのとおり。だが、わたしが言いましょう。預言者よりもすぐれた者をです。

10 この人こそ、『見よ、わたしは使いをあなたの前に遣わし、あなたの道を、あなたの前に備えさせよう。』と書かれているその人です。

11 まことに、あなたがたに告げます。女から生まれた者の中で、バプテスマのヨハネよりすぐれた人は出ませんでした。しかも、天の御国の一番小さい者でも、彼より偉大です。

12 バプテスマのヨハネの日以来今日まで、天の御国は激しく攻められています。そして、激しく攻める者たちがそれを奪い取っています。

13 ヨハネに至るまで、すべての預言者たちと律法とが預言をしたのです。

14 あなたがたが進んで受け入れるなら、実はこの人こそ、きたるべきエリヤなのです。

15 耳のある者は聞きなさい。

16 この時代は何にたとえたらよいでしょう。市場にすわっている子どもたちのようです。彼らは、他の子どもたちに呼びかけて、

17 こう言うのです。『笛を吹いてやっても、君たちは踊らなかった。弔いの歌を歌ってやっても、悲しまなかった。』

18 ヨハネが来て、食べも飲みもしないと、人々は『あれは悪霊にとりつかれているのだ』と言い、

19 人の子が来て食べたり飲んだりしていると、『あれ見よ。食いしんぼうの大酒飲み、取税人や罪人の仲間だ』と言います。でも、知恵の正しいことは、その行いが証明します。」

20 それから、イエスは、数々の力あるわざの行われた町々が悔い改めなかったので、責め始められた。

21 「ああコラジン。ああベツサイダ。おまえたちのうちで行われた力あるわざが、もしもツロとシドンで行われたのだったら、彼らはとうの昔に荒布をまとい、灰をかぶって悔い改めていたことだろう。

22 しかし、そのツロとシドンのほうが、おまえたちに言うが、さばきの日には、まだおまえたちよりは罰が軽いのだ。

23 カペナウム。どうしておまえが天にあげられることがありえよう。ハデスに落とされるのだ。おまえの中でなされた力あるわざが、もしもソドムでなされたのだったら、ソドムはきょうまで残っていたことだろう。

24 しかし、そのソドムの地のほうが、おまえたちに言うが、さばきの日には、まだおまえよりは罰が軽いのだ。」

25 そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主であられる父よ。あなたをほめたたえます。これらのことを、賢い者や知恵のある者には隠して、幼子たちに現してくださいました。

26 そうです、父よ。これがみこころにかなったことでした。

27 すべてのものが、わたしの父から、わたしに渡されています。それで、父のほかには、子を知る者がなく、子と、子が父を知らせようと心に定めた人のほかは、だれも父を知る者がありません。

28 すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。

29 わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたもわたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。そうすればたましいに安らぎが来ます。

30 わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。」

マタイの福音書 10章

マタイの福音書 10章


1 イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊どもを制する権威をお授けになった。霊どもを追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやすためであった。

2 さて、十二使徒の名は次のとおりである。まず、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、

3 ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、

4 熱心党員シモンとイエスを裏切ったイスカリオテ・ユダである。

5 イエスは、この十二人を遣わし、そのとき彼らにこう命じられた。「異邦人の道に行ってはいけません。サマリヤ人の町に入ってはいけません。

6 イスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい。

7 行って、『天の御国が近づいた』と宣べ伝えなさい。

8 病人をいやし、死人を生き返らせ、ツァラアトに冒された者をきよめ、悪霊を追い出しなさい。あなたがたは、ただで受けたのだから、ただで与えなさい。

9 胴巻に金貨や銀貨や銅貨をいれてはいけません。

10 旅行用の袋も、二枚目の下着も、くつも、杖も持たずに行きなさい。働く者が食べ物を与えられるのは当然だからです。

11 どんな町や村に入っても、そこでだれが適当な人かを調べて、そこを立ち去るまで、その人のところにとどまりなさい。

12 その家に入るときには、平安を祈るあいさつをしなさい。

13 その家がそれにふさわしい家なら、その平安はきっとその家に来るし、もし、ふさわしい家でないなら、その平安はあなたがたのところに返って来ます。

14 もしだれも、あなたがたを受け入れず、あなたがたのことばに耳を傾けないなら、その家またはその町を出て行くときに、あなたがたの足のちりを払い落としなさい。

15 まことに、あなたがたに告げます。さばきの日には、ソドムとゴモラの地でも、その町よりはまだ罰が軽いのです。

16 いいですか。わたしが、あなたがたを遣わすのは、狼の中に羊を送り出すようなものです。ですから、蛇のようにさとく、鳩のようにすなおでありなさい。

17 人々には用心しなさい。彼らはあなたがたを議会に引き渡し、会堂でむち打ちますから。

18 また、あなたがたは、わたしのゆえに、総督たちや王たちの前に連れて行かれます。それは、彼らと異邦人たちにあかしをするためです。

19 人々があなたがたを引き渡したとき、どのように話そうか、何を話そうかと心配するには及びません。話すべきことは、そのとき示されるからです。

20 というのは、話すのはあなたがたではなく、あなたがたのうちにあって話されるあなたがたの父の御霊だからです。

21 兄弟は兄弟を死に渡し、父は子を死に渡し、子どもたちは両親に立ち逆らって、彼らを死なせます。

22 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人々に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。

23 彼らがこの町であなたがたを迫害するなら、次の町にのがれなさい。というわけは、確かなことをあなたがたに告げるのですが、人の子が来るときまでに、あなたがたは決してイスラエルの町々を巡り尽くせないからです。

24 弟子はその師にまさらず、しもべはその主人にまさりません。

25 弟子がその師のようになれたら十分だし、しもべがその主人のようになれたら十分です。彼らは家長をベルゼブルと呼ぶくらいですから、ましてその家族の者のことは、何と呼ぶでしょう。

26 だから、彼らを恐れてはいけません。おおわれているもので、現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはありません。

27 わたしが暗やみであなたがたに話すことを明るみでいいなさい。また、あなたがたが耳もとで聞くことを屋上でいい広めなさい。

28 からだを殺しても、たましいを殺せない人たちなどを恐れてはなりません。そんなものより、たましいもからだも、ともにゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい。

29 二羽の雀は一アサリオンで売っているでしょう。しかし、そんな雀の一羽でも、あなたがたの父のお許しなしには地に落ちることはありません。

30 また、あなたがたの頭の毛さえも、みな数えられています。

31 だから恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりもすぐれた者です。

32 ですから、わたしを人の前で認める者はみな、わたしも、天におられるわたしの父の前でその人を認めます。

33 しかし、人の前でわたしを知らないと言うような者なら、わたしも天におられるわたしの父の前で、そんな者は知らないと言います。

34 わたしが来たのは地に平和をもたらすためだと思ってはなりません。わたしは、平和をもたらすために来たのではなく、剣をもたらすために来たのです。

35 なぜなら、わたしは人をその父に、娘をその母に、嫁をそのしゅうとめに逆らわせるために来たからです。

36 さらに、家族の者がその人の敵となります。

37 わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしい者ではありません。また、わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしにふさわしい者ではありません。

38 自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしにふさわしい者ではありません。

39 自分のいのちを自分のものとした者はそれを失い、わたしのために自分のいのちを失った者は、それを自分のものとします。

40 あなたがたを受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。また、わたしを受け入れる者は、わたしを遣わした方を受け入れるのです。

41 預言者を預言者だというので受け入れる者は、預言者の受ける報いを受けます。また、義人を義人だということで受け入れる者は、義人の受ける報いを受けます。

42 わたしの弟子だというので、この小さい者たちのひとりに、水一杯でも飲ませるなら、まことに、あなたがたに告げます。その人は決して報いに漏れることはありません。

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